2022年10月にパートの社会保険適用が拡大されます。総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」によれば、90年代には専業主婦世帯より共働き世帯が増え、2020年は共働き世帯が1240万世帯、専業主婦世帯が571万世帯。



共働き世帯が主流となり、パートの社会保険適用も順次拡大され、今後も働く女性は増えるでしょう。



その一方で、子どもが小さい間は家庭にいたいと考える人やもともと専業主婦が向いている人もいます。2020年10月27日に公表された、ソニー生命が全国の20歳~69歳の女性(1000名)に行った「女性の活躍に関する識調査2020」によると、有職女性(594名)で本当は専業主婦になりたい女性は29.8%。実は働く女性のおよそ3割が専業主婦を希望しています。



年代別に専業主婦になりたいと思う働く女性の割合をながめながら、専業主婦世帯の平均年収を確認しましょう。



■「本当は専業主婦になりたい」働く女性、20代は41.7%



先ほどのソニー生命の調査より、本当は専業主婦になりたい有職女性の割合を年代別にながめましょう。



■本当は専業主婦になりたい有職女性



全体29.8%



  • 20代:41.7%
  • 30代:26.6%
  • 40代:29.4%
  • 50代:27.0%
  • 60代:17.4%

※ソニー生命調べ



最も多いのは20代の41.7%で、少ないのは60代の17.4%でした。意外にも20代で4割を占めるのですね。30~40代になると、実際に育児・家事を行いその大変さを実感する方も多いでしょう。



全体では29.8%ですが、去年の平均36.7%と比べると6.9ポイント下がり、2015年の調査開始以来、専業主婦になりたい人は最も低くなっています。



一方で「今後(も)、バリバリとキャリアを積んでいきたい」有職女性は34.2%。働く女性の中でも、バリバリ仕事をしたい人と本当は専業主婦になりたい人は同程度いるようです。



■専業主婦世帯の平均年収は?



専業主婦になりたいと思っても、家庭の状況によっては女性も働く必要があるでしょう。実際に専業主婦世帯の平均年収はいくらでしょうか。



総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」から、「夫のみ有業世帯」の年間収入を見てみましょう。参考までに、夫婦共働き世帯の年間収入も確認します。



■夫のみ有業世帯の平均年間収入



夫のみ有業世帯:677万円



  • うち夫婦と未婚の子供1人の世帯:699万円(世帯主の年齢45.4歳)
  • うち夫婦と未婚の子供2人の世帯:716万円(世帯主の年齢41.7歳)

夫婦共働き世帯:811万円



夫のみ有業世帯の年収は600万円台です。夫が年収600万円以上あれば、専業主婦で子どもを育てながら貯金もできるという方が多いのでしょう。



国税庁が2021年は9月29日に公表した「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は433万円。男性で年収600万円を超えるのは29.7%です。



■家事や育児環境など、家庭の状況によってさまざま



今回は働く女性の中から、専業主婦になりたいと思う割合を眺めてきました。共働き世帯が多い現代ですが、主に女性が育児・家事を担うという状況はそこまで変化はないようです。



総務省の「平成28年社会生活基礎調査」より、共働き世帯と専業主婦世帯に分けた家事関連時間を確認します。



■共働き世帯:夫/妻



  • 仕事等:8.31時間/4.44時間
  • 家事関連:0.46時間/4.54時間

 うち家事:0.15時間/3.16時間
 うち育児:0.16時間/0.56時間



■専業主婦世帯:夫/妻



  • 仕事等:8.16時間/0.06時間
  • 家事関連:0.50時間/7.56時間

 うち家事:0.10時間/4.35時間
 うち育児:0.21時間/2.24時間



共働き世帯が多いといえど、女性は仕事・家事関連の時間がそれぞれ4時間台。

一方で男性は働く時間が多い分、家事関連にかける時間は1時間以下です。



平成8年からの推移を見ると、夫の家事時間は増えているものの、女性と比べると低い水準が続いています。また、どちらの世帯も夫婦ともに育児時間は増えています。



便利家電などは増えていますが、1人で育児を担うワンオペ育児や実家と遠距離の方が多い現代では、どうしてもやらなければならない家事・育児の負担も大きいでしょう。専業主婦になれるかどうかは、年収だけでなく周囲の環境なども大きく影響しています。



専業主婦や共働きなど、その時代によって主流となる家族のカタチは変わります。ただ実際にはご家庭の環境や事情、また本人の向き不向きもあるでしょう。周囲の変化に影響されるのではなく、自分に合った生活スタイルが確立できるといいですね。



■参考資料



  • 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」( https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/ )
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」 ( https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html )
  • ソニー生命「女性の活躍に関する意識調査2020」( https://www.sonylife.co.jp/company/news/2020/nr_201027.html#sec6 )
  • 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1&tclass4val=0 )
  • 国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf )
  • 総務省「平成28年社会生活基礎調査」( http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf )
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