「結局、住むなら東京がいい」ーそう口にするのは筆者の子育て中の知人です。コロナ禍の影響で地方への移住も話題となりましたが、特に子育て中の世帯にとっては東京、もしくは都市部が良いと感じる方もいるようです。
2022年1月27日に東京都が公表した「都民生活に関する世論調査」によれば、東京に今後も住みたいと回答した人は68%。
どこに住むのが良いかは生まれや育ち、配属先や夢、またご家庭の事情によっても異なるもの。今回は東京に視点を当てて、都民の思いや子育て世帯のお金事情についても確認していきます。
■「東京にずっと住みたい」約7割、その理由は?
同調査によれば、東京に今後もずっと住みたい人は68.1%。住みたくないと答えたのは10.0%にとどまりました。
東京に住みたいと答えた人の理由を確認しましょう。

出典:東京都「都民生活に関する世論調査」(2022年01月27日公表)
最も多いのは「交通網が発達していて便利だから」で80.9%。公共交通機関が発達している東京はどこへ行くにもアクセスが良く、地方とは違い車を保有しなくても生活できるのは一つのメリットでしょう。
次に「東京に長く暮らしているから」(54.8%)「医療や福祉などの質が高いから」(36.7%)「文化的な施設やコンサート・スポーツなどの催しが多いから」(27.3%)。
前述の知人は東京の利便性や子育て環境の良さ、また将来進学する際の選択肢の広さからやっぱり東京が良いと思うようです。
■【エリア別】東京の定住意向の割合は
エリア別に、東京の定住意向を確認してみましょう。

出典:東京都「都民生活に関する世論調査」( 2022年01月27日公表)
※〔区 部〕
センター・コア・エリア ---- 千代田・中央・港・新宿・文京・台東・墨田・江東・渋谷・豊島・ 荒川区
区部東部・北部エリア ------ 北・板橋・足立・葛飾・江戸川区
区部西部・南部エリア ------ 品川・目黒・大田・世田谷・中野・杉並・練馬区
※〔市町村部〕
多摩東部エリア ------------ 武蔵野・三鷹・調布・小金井・小平・東村山・国分寺・狛江・ 清瀬・東久留米・西東京市
多摩中央部北エリア -------- 立川・昭島・福生・東大和・武蔵村山・羽村市、瑞穂町
多摩中央部南エリア -------- 八王子・府中・町田・日野・国立・多摩・稲城市
多摩西部・島しょエリア ---- 青梅・あきる野市、日の出町、檜原村、奥多摩・大島町、 利島・新島・神津島・三宅・御蔵島村、八丈町、青ヶ島・小笠原村
23区は60%台、多摩東部と多摩中央部北、多摩西部・島しょで7割を超えました。
一方で、住みたくないと答えた人の理由には「生活費が高いから」(63.6%)「人や車が多過ぎるから」(57.1%)などの理由が挙げられています。
実際に東京に住む人の年収を子育て世帯に視点をあててみていきます。
■東京の子育て世帯「年収1000万円」は2~3割
東京に住むことを考える際、しばしば話題になるのが「お金事情」です。
少し前の調査にはなりますが、小学生までの子どもを養育する3318世帯と20歳未満の子供を養育するひとり親543世帯を合わせた3861世帯に調査した「平成29年度 東京都福祉保健基礎調査『東京の子供と家庭』」より、子育て世帯の年収を確認しましょう。

出典:東京都「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」
上記を見ると、共働き・共働きでない世帯ともに、東京の子育て世帯の世帯年収のボリュームゾーンは「600~800万円未満」(共働き世帯22.8%、共働きでない世帯22.0%)。
共働き世帯では「800~1000万円未満」(16.8%)、「1000~1200万円未満」(13.8%)、「500~600万円未満」(13.4%)と続きます。
一方で共働きでない世帯では「500~600万円未満」(15.9%)、「800~1000万円未満」(15.1%)、「1000~1200万円未満」(9.6%)と続いています。
それぞれ年収1000万円以上の割合を確認しましょう。
■東京の子育て世帯・年収1000万円以上
- 共働き世帯:28.5%
- 共働きでない世帯:18.0%
生命保険文化センターによれば、東京で私立中学に通う割合は25.0%と中学受験が盛んです。東京では東京の子育て世帯で年収1000万円を超えるのは2~3割となり、やはり世帯年収が高いご家庭が多いと考えられる結果となりました。
■あなたはどこに住みたい?
コロナ禍であっても、東京に住み続けたいと考える人は多いことが分かりました。
住む場所はライフステージによって異なることもあります。
また、子どもが巣立てば夫婦だけやひとりの時間が訪れます。定年して田舎暮らしをする方、昔から住みたかった場所へ移住する方、都会で暮らし続ける方とさまざまでしょう。
いずれにしても、いつでもどこにでも住めるわけではなく、人生で住むことができる場所は限られています。今回の東京都の調査を参考にしながら、今、そしてこれから住みたい場所を考えてみるのもよいでしょう。
■参考資料
- 東京都「都民生活に関する世論調査」(2022年01月27日公表)( https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/01/27/01.html )
- 東京都「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」( https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/10/31/13.html )
- 生命保険文化センター「私立中学校に通う割合はどの程度?」( https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/789.html )