株式市場では、常に多くの企業の株価が変動しています。
株価が大きく動いた時、その原因を調べると、今後の投資に活用できるヒントが得られることがあります。
今回は、KDDI(9433)を取り上げます。
KDDIの株価は軟調相場の中で上昇し、上場来高値をつけました。
では、なぜその上昇が起こったのか、背景を解説していきます。
■KDDIの株価はどのように推移したのか
KDDIの株価は、2022年3月24日の終値で4,164円と、上場来高値を付けました。
2021年12月30日の終値である3,362円と比較すると、+23.9%の上昇となります。
また、10年前の2012年3月23日の終値である895円と比較すると、実に4.7倍の水準となります。

出所:KDDI株式会社 公式サイト
日本株は2022年、年明けから軟調な動きを見せていました。
しかし、KDDIはそんな逆境下、多くの企業の株価が下落するのを尻目に強い動きを見せました。
なぜ、KDDIの株価はこのように堅調な推移となったのでしょうか。
■KDDIの株価はなぜ上場来高値まで上昇したのか
KDDIの株価の上昇について、「安定感」が買いを誘った可能性はありそうです。
KDDIが2022年1月28日に発表した決算では、売上高が4兆0138億円(前年同期比+2.3%)、営業利益が8745億円(同+0.4%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益純利益が5542億円(同+1.0%)となりました。
増収率と増益率は決して高くないです。
しかし、決算が発表された1月下旬は、日経平均株価が暴落したタイミングでもありました。
投資家はリスクを回避する姿勢が強まっていたと考えられ、結果としてディフェンシブな事業を展開するKDDIの相対的な魅力が高まったのではないでしょうか。
これは、ロシア・ウクライナ情勢に対する警戒が強まった局面でも同じで、国内事業メインのKDDIはリスク回避の買いを誘いやすかった可能性があります。
また、KDDIは前述の決算と併せ、自社株買い計画の拡大を発表しました。
従来、上限1500億円・5200万株(自己株式を除いた発行済株式総数の割合:2.29%)としていた取得枠を、上限2000億円・6900万株(同3.03%)へと引き上げました。
取得期間の期限も、2022年3月24日から2022年5月31日へと延長されました。
これも投資家の好感を誘ったと推察できます。
■KDDIの「安定感」以外の魅力とは
KDDIには、安定感だけでなく「成長性」に関する材料もあります。
2022年1月28日には、ドローン事業拡大に向けて組織再編のリリースを発表しました。
また、2022年2月18日には、韓国のサムスン電子、富士通(6702)と共同で、商用ネットワークに接続するオープン化した5Gスタンドアローンの仮想化基地局によるデータ通信に成功したと発表しました。
これらはまだKDDIの収益に大きく貢献しているわけではないですが、将来の収益に対する期待を高める材料にはなったのではないでしょうか。
■まとめにかえて
株価が上昇したKDDI。
足元ではまだ強い動きが継続しています。
今後も注目です。
■参考資料
- KDDI株式会社 投資家情報(IR)( https://www.kddi.com/corporate/ir/ )
- KDDI株式会社 ニュースリリース( https://www.kddi.com/corporate/newsrelease/2022/ )