■年収800万円世帯の共働き率も見る



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共働きが増えている現代。



内閣府が2022年6月14日に公表した「男女共同参画白書 令和4年版」によれば、2021年は専業主婦世帯を妻がフルタイムの共働き世帯が上回っています。



「共働きで年収800万円」は理想か。年収800万円世帯の貯蓄・負債はいくら?

出典:内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」



2021年の世帯数は以下の通り。



  • 共働き世帯(妻がパート週35時間未満就業・妻64歳以下):691万世帯
  • 共働き世帯(妻がフルタイム週35時間以上就業・妻64歳以下):486万世帯
  • 専業主婦世帯:458万世帯

専業主婦世帯は最も少なくなりましたね。



一方で、少し前の調査にはなりますが、厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」によると日本人の1世帯あたりの平均所得金額の中央値は437万円となっています。



「共働きで年収800万円」は理想か。年収800万円世帯の貯蓄・負債はいくら?

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査」



世帯年収400万円が「日本のふつう」となっていますが、共働きであればその倍、「年収800万円」を達成することは可能でしょうか。



日本の平均的な年収や、世帯年収800万円の貯蓄事情を見ていきます。



■平均年収は男女でいくらか



国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均年収は433万円。



男性は532万円、女性は293万円です。



「共働きで年収800万円」は理想か。年収800万円世帯の貯蓄・負債はいくら?

出典:国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」



実際には雇用形態や職種、年齢などによってさまざまですが、夫婦ともにそれぞれ平均年収に達成していると考えた場合、世帯年収は800万円になりますね。



共働きで世帯年800万円は理想ではなく、現実的と言えるでしょう。



■【年収800万円世帯】貯蓄・負債や家族のようすを見る



では総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)第8-2表」より、「年収800万円台勤労世帯」の貯蓄を見ていきましょう。



■「年収800万円~900万円世帯」家族のようす



  • 世帯主の年齢:49.2歳
  • 世帯人員:3.42人(18歳未満人員0.96人)
  • 女性の有業率:63.2%
  • 持ち家率:83.5%

共働きは6割強と、世帯年収800万円ではやはり共働き家庭が多いと分かります。



マイホーム保有は8割を超えていますね。

貯蓄も見ていきましょう。



■「年収800万円~900万円世帯」貯蓄と負債



貯蓄合計:1671万円



  • 通貨性預貯金:558万円
  • 定期性預貯金:473万円
  • 生命保険など:345万円
  • 有価証券:249万円
  • 金融機関外:47万円

負債:1052万円(うち住宅・土地のための負債が977万円)



世帯年収800万円台世帯の貯蓄は1671万円でした。



2019年には老後2000万円が必要といわれましたが、50歳で15000万円超です。余裕がある印象ですね。



一方で、これから大学などに進学する予定のお子さんが1人おり、また住宅ローンも残っています。



教育費用の中で最も金額が大きい大学費用ですが、4年間で平均的にいくらかかるのでしょうか。



■一般的な大学費用は4年間でいくらかかるのか



日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」を参考に、大学4年間の入学費用と4年間の学費を国公立と私立(文系・理系)で確認します。



■入学費用と4年間の学費



  • 国公立:67万2000円+414万円=481万2000円
  • 私立文系:81万8000円+608万円=689万8000円
  • 私立理系:88万8000円+732万8000円=821万6000円

※「学校教育費」とは、授業料、通学費(通学定期代、通学用の自動車の燃料費や維持費など)、その他の学校教育費(教科書・教材費、学用品の購入費、施設設備費など)。
※「家庭教育費」とは、補習教育費(学習塾・家庭教師の月謝、通信教育費、参考書・問題集の購入費など)と、おけいこごとにかかる費用。



国公立であれば約500万円ですが、私立文系で約700万円、私立理系で約800万円になりますね。お子さんの進学先によっては教育費でまとまった金額がかかり、2人以上いればさらにかかることになります。



教育費の負担を考えると、まとまった貯蓄はあるものの老後資金は計画的に貯める必要があると言えるでしょう。



■共働き世帯も計画的なマネープランが大事



共働きで世帯年収が上がることはメリットですが、一方で世帯年収が上がってもなかなか貯蓄ができない世帯もあります。



忙しくて外食が増えたり、年収が上がるにつれ生活水準が上がったりと、少しの気の緩みが意外とお金を減らすものです。



日々の疲れを減らし、長く共働きを続けていくためにも、さまざまなサービスや便利家電などを使うことは重要でしょう。一方で、教育資金や老後資金を考えると計画的なマネープランを立てておきたいところです。



先ほどの貯蓄1671万円のうち、有価証券が249万円と一部でまとまった運用を行っていることもわかりました。



「貯蓄から投資へ」の流れが進みますが、なかなか投資をはじめられない方もいます。まとまった貯蓄がある場合、一部を運用することでお金に働いてもらうのは有効な手段でしょう。



今は証券会社等もスマホアプリを用意しており、スマホで運用ができる時代です。さまざまな情報も得られ、つみたてNISAやiDeCoのように運用益が非課税になる制度もあるため、以前より投資のハードルは下がったでしょう。



まずはリスクを含めて、夫婦で情報収集からはじめてみてはいかがでしょうか。



■参考資料



  • 内閣府「男女共同参画白書 令和4年版 特集編 人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」( https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/pdf/r04_tokusyu.pdf )
  • 国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf )
  • 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」Ⅱ 各種世帯の所得等の状況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )
  • 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)詳細結果表(2021年(令和3年)第8-2表)」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&stat_infid=000032190999&result_back=1&tclass4val=0 )
  • 日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」( https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf )
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