■在宅介護サービス3種類とは
「もし親の介護が必要になったら、費用はどのくらいかかるのだろう?」
家族が高齢になってくると、こんな心配をする人もいるのではないでしょうか。
今回は、在宅介護にかかる費用について介護費用の平均をご紹介し、在宅介護で利用できる介護サービスの種類と費用の目安について解説します。
■在宅介護にかかる費用の平均は月5万円。介護度別の金額は?
公益財団法人 家計経済研究所が2016年に行った調査によると、在宅介護の費用の平均は1ヵ月当たり「5万円」という結果でした。
在宅介護にかかる費用

出典:公益財団法人 家計経済研究所「在宅介護にかかる費用」をもとに筆者作成
介護度が上がるほど費用負担は重くなっていく傾向があります。これは寝たきりや認知症の進行すると、介護サービスを利用する機会が増えていくからです。
たとえば要介護1では「3万3000円」ですが、要介護5では「7万5000円」と倍以上となっています。
なお、「高額医療・高額介護合算療養費制度」などの制度や自治体による補助などを利用すれば、最終的な費用負担は軽減されることもあります。
■在宅介護で利用できる介護サービスと費用1. 訪問サービス
在宅介護で利用できるサービスには主に「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」の3つのサービスがあります。
ここから、在宅介護で利用できるサービスの内容と、費用の目安を解説していきます。
まず「訪問サービス」は、介護や看護の専門職が自宅へ訪問して必要なサービスを提供してくれるサービスです。
訪問サービスは必要なサービスを必要な分だけ部分的に利用できることが特徴です。また、1日のうちに数回利用することも可能です。
訪問サービスには次のような種類があります。
- 訪問介護
- 訪問入浴
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 夜間対応型訪問介護など
その中でも利用する人の多い「訪問介護」は、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問して食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をしてくれるサービスです。
訪問介護を要介護1~5の人が利用する場合の自己負担の目安は次の通りです。
■訪問介護員(ホームヘルパー)の場合※1回につき(1割負担の場合)

出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」
■身体介護中心
- 20分未満:165円
- 20分以上30分未満:248円
- 30分以上2時間未満:394円
■生活援助中心
- 20分以上45分未満:181円
- 45分以上:223円
■在宅介護で利用できる介護サービスと費用2. 通所サービス
通所サービスとは、自宅から通所施設へ通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられるサービスです。
高齢者を家で1人にさせることに不安があるという場合に、日中を安全に過ごせる場所として利用することも可能です。
通所サービスには、次のような種類があります。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリ
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 療養通所介護
通所サービスの費用は、利用者の介護度や事業所規模、所要時間などで異なっています。
たとえば、通所介護(デイサービス)の利用料金の目安は次の通りです。
■デイサービス (1回につき)※1割負担の場合

出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス)」
■通常規模の事業所の場合(7時間以上8時間未満の利用時間)
- 要介護1:645円
- 要介護2:761円
- 要介護3:883円
- 要介護4:1003円
- 要介護5:1124円
※日常生活費(食費・おむつ代など)などは、別途負担する必要があります。
■在宅介護で利用できる介護サービスと費用3. 短期入所サービス
短期入所サービスとは、介護施設に短期間入所して入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練などが受けられるサービスです。
介護者にとっては、一時的な休息目的で利用できるほかに、出張で数日間家を空けるという場合にも利用できます。
また、将来的に在宅介護から切り変えて施設入所を考える際に、実際に入所して施設の雰囲気や生活を体感できる良い機会になります。
短期入所サービスには、一般的な「短期入所生活介護」と、手厚い医療ケアが受けられる「短期入所療養介護」があります。
例えば、「短期入所生活介護」の費用目安は次の通りです。
■短期入所生活介護※1割負担の場合 併設型・多床室の場合(1日につき)

出典:厚生労働省「短期入所生活介護(ショートステイ)」
- 要介護1:584円
- 要介護2:652円
- 要介護3:722円
- 要介護4:790円
- 要介護5:856円
※日常生活費(食費・滞在費・理美容代など)などは、別途負担する必要があります。そのほかの在宅介護サービスには次のようなものがあります。
- 地域密着型サービス
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売など
■まとめにかえて
ここまで、在宅介護にかかる費用とサービスの種類について見てきました。
在宅介護の費用の平均は月額5万円という結果でした。介護度が上がり、介護サービスを利用する機会が増えていくほど費用負担は重くなっていきます。
介護が必要となった時に介護費用をどうするのか、どのような介護サービスを受けたいのかについては、できるだけ早いうちから本人を含めた家族間で話し合いをしておきましょう。
■参考資料
- 公益財団法人家計経済研究所:「在宅介護のお金と負担」2016年調査報告( http://kakeiken.jp/old_kakeiken/jp/research/kaigo2016/2016result1.html )
- 厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索(介護サービス情報公表システム)( https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/ )