■65歳以上の介護が必要になった理由も確認
お盆休みも目前、実家に帰省される方もいるのではないでしょうか。
久しぶりに親に会うと、何気ない親のようすや暮らしの変化に年齢を感じたり、時に不安を感じてしまう方もいるでしょう。
たまにしか会わないからこそ、小さな変化を見逃さないようにしたいものですね。
今回は「LIFULL 介護」を運営する株式会社LIFULL seniorが行った「介護施設入居に関する実態調査」より、家族が介護施設に入居した際のきっかけや、影響した認知症の症状などを確認します(2022年8月2日公表)。
■65歳以上「介護が必要になった理由」は?
まずは内閣府の「令和4年版高齢社会白書」より、65歳以上で介護が必要になった人の理由を多い順に確認しましょう。

出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
■65歳以上「介護が必要になった理由」全体
- 認知症:18.1%
- 脳血管疾患(脳卒中):15.0%
- 高齢による衰弱:13.3%
- 骨折・転倒:13.0%
- 関節疾患:11.0%
- 心疾患(心臓病):4.7%
- その他・不明・不詳:25.0%
全体で最も多いのは「認知症」で約2割でした(その他・不明・不詳を除く)。
ただし、この傾向は男女で異なります。
男性で最も多いのは「脳血管疾患(脳卒中)」で24.5%、次に「認知症」(14.4%)。一方の女性は「認知症」(19.9%)「骨折・転倒」(16.5%)でした。
■家族が介護施設に入居したきっかけは?
では株式会社LIFULL seniorの調査より、まずは直近1年間に家族が介護施設に入居した人の入居のきっかけをみていきましょう。

出典:株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2022年8月2日公表)
最も多いのは「自宅で暮らすことが難しい、あるいは危険を伴うようになってきた」(42.4%)と「家族や近親者による介護が難しくなった」(24.0%)で約6割強を占めました。
物理的に自宅に暮らすのが難しい、介護をおこなうことが難しいという理由が多いようですね。
ちなみに同調査によると、家族や近親者による介護が難しくなった理由には、「介護をしている者が疲弊した、体調を崩した」が74.0%にもなりました。介護を担う側の方の体調も重視したいところでしょう。
■介護施設の入居に影響した認知症の症状とは?
先ほどの調査より、「自宅で暮らすことが難しい、あるいは危険を伴うようになってきた」「病院など別の施設から自宅に戻る予定だったが、自宅では暮らせなくなっていた」「医師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど専門職の方から施設入居を勧められた」と答えた人に聞いた、入居のきっかけに影響したご本人の状況を見てみましょう。

出典:株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2022年8月2日公表)
最も多いのは「認知症の症状があった」で44.2%。
次いで「認知症以外の病気や怪我があった」(26.6%)、「足腰が弱くなった」(18.9%)、「日常生活動作が難しくなった」(12.4%)でした。
「認知症の症状があった」と答えた人に、介護施設入居に強く影響した認知症の症状を3つ聞いたところ、以下のような結果になりました。

出典:株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2022年8月2日公表)
■介護施設入居に強く影響した認知症の症状
- お金の管理ができない、買い物トラブル:37.9%
- 火の始末ができない:29.4%
- せん妄(思考力の低下、錯覚や幻覚を見る、など):26.8%
- 日付や曜日がわからない:21.6%
- 排せつの失敗、一人でトイレに行けない:16.9%
お金の管理や火の始末ができない、せん妄など、日常生活や安全に関わるものが多くなりました。
たとえば支給されてすぐに年金を使ってしまったり、高額商品を購入してしまったり、詐欺にあわれてしまったりする方もいます。
生活する上で危険が伴う内容もあるため、対策をとるだけでなく、施設の検討をされることも大切でしょう。
■まとめにかえて
お盆休みは久しぶりに兄弟や親戚に会う方も多いでしょう。不安があれば自分で抱え込むのではなく、ささいな変化でも周囲と相談し、対策や今後の方向性について話し合えると良いですね。
個人での判断に悩んだら、抱え込むのではなく、お近くの地域包括支援センターなどで相談してみてはいかがでしょうか。プロに相談するとまた違った視点が得られたり、新たな情報を得たりすることもできるでしょう。
株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」
※調査対象
- 20~79歳 男女※未既婚不問、有無職不問
- 家族・親族の中で1年以内に介護施設入居者(*)がいる方
- 家族・親族の介護施設の情報収集や選定に関与した方
*「介護施設」:介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、グループホーム、高齢者向け賃貸住宅、シニア向け分譲マンション、ケアハウス、介護老人保健施設。
※調査期間
2022年6月24日~6月28日
■参考資料
- PRTIMES「帰省シーズンを前に「介護施設入居に関する実態調査」を実施」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000049958.html )
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/04pdf_index.html )