■富裕層の定義や世帯数とは



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新型コロナウイルスの感染が猛威をふるう中、最近では国内に富裕層向けのラグジュアリーホテルの開業が相次いでいます。コロナ後の観光業の復興の鍵を握るのが、「富裕層顧客の獲得」であると考えられているようです。



みなさんは「富裕層」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。



人それぞれ多種多様な印象を持たれるかと思いますが、「金銭的にゆとりがあり羨ましい」「華やかで優雅な暮らしをしている」とイメージされる方もいらっしゃると思います。



実際に筆者が見てきた富裕層の方々は、「お金を大切に使い、無駄遣いを徹底的にしない」という倹約的な考えをお持ちの方が多い印象を受けました。



そこで今回は金融機関に勤めた経験から、富裕層の特徴について、富裕層の方々が意外に気にする節約のポイントについてまとめてみました。



■【富裕層】その定義とお金に対する考え方とは



まずは富裕層とはどのような方を指すのか、その定義について確認してみましょう。



意外と庶民的?富裕層がケチる「意外な節約ポイント」4選を元金融機関社員が解説

出典:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」



2020年に野村総合研究所(NRI)が発表したデータによると、1億円以上5億円未満の純金融資産保有額がある世帯を「富裕層」と定義付けています。全体の割合でいうと、約2%の世帯が富裕層に該当します。



対して、純金融資産保有額が3000万円未満の「マス層」が全体の81.4%を大きく占めています。全体から見ると、富裕層は限られた少数の人々だということが分かりますね。



この結果を見ると、「富裕層」はごく一握りであることが分かります。限られた層の富裕層ですが、節約家・倹約家な一面がある方も多いです。



「節約」というと、「お金にシビア」「ケチ」「お金を切り詰める」というネガティブな捉え方もできますが、「倹約」というと「無駄遣いや贅沢をしない」というような意味が込められています。



富裕層はお金の大切さを知っていることから、普段の生活では無駄遣いをしないといった倹約的な考えを持っているでしょう。



今回は、金融機関での勤務経験を踏まえて「富裕層が気にする意外な節約のポイント」を4つお伝えさせていただきます。



■富裕層の意外な節約ポイント1. お得な情報をフル活用(お得な節税制度・株主優待)



富裕層はご自身で事業を営む方、仕事熱心な方が多いです。そのため、日々のニュースや新聞を通じて、情報に対してのアンテナが高い印象があります。



特に、最新のお得な情報について精通しており、いち早く取り入れられているイメージがあります。



最近でいうと「マイナポイント・地域クーポン・ふるさと納税・エコカー減税」などの国や自治体が主体となる節税制度があります。また、株主優待を活用して、毎年家族との優待券を利用して外食を楽しむ方もいらっしゃいました。

単に消費するのではなく、「自分にとって付加価値のあるものか」を意識して生活されていました。大した差に感じないかもしれませんが、こうした工夫が習慣となり、日々の倹約につながっています。



■富裕層の意外な節約ポイント2. 手数料やコスト面に厳しい



最近ではコンビニATMがどこにでもあり便利ですが、富裕層の方々はコンビニATMや休日・時間外取引は控えている方が多いです。



無駄な手数料については意識されており、なるべく払わない工夫をしています。



手数料は数百円など少額であり、特に気にしないという方も多いでしょう。

ですが、これが年に複数回と積み重なれば、銀行利息よりも手数料が負担となり、貯蓄の妨げになります。

1回1回は小さく見えますが、これが習慣的に癖づいてしまうと日々の積み重ねで大きな金額になります。こうした無駄遣いをしないよう普段から心掛け、コスト管理を意識されていました。



■富裕層の意外な節約ポイント3. 上質なものを長年愛用する



富裕層というと、「ブランド品を多く保有している」「華やかな洋服を纏っている」というイメージがあるかもしれません。



実際はブランドよりも、「機能性」を重視した買い物をされる印象があります。富裕層の方は、ゴルフ、山登り、旅行など身体を動かす趣味を持たれている方も多く、「機能性」の良いものを好まれる傾向があります。



あまりブランドにはこだわらず、流行り廃りのないシンプルなデザインのものを選ばれ、上質で長年使えるものを愛用されています。

「外見よりも内面を磨く」ことに重きを置くという考えが浸透しているのかもしれません。基本的には、TPOに合った清潔感のある身だしなみを心掛けているという印象です。



■富裕層の意外な節約ポイント4. 健康を気遣い、食事は庶民的



富裕層というと、外食や会食が多いイメージを持つ方もいらっしゃるかと思います。ですが、普段の家庭生活は、豪勢な食事ではなく、健康に気遣った食事をされている印象があります。



家庭菜園の野菜やフルーツ、釣りで取った魚など趣味も兼ねて食材を調達し、ごく庶民的で素朴な食事をされていました。

日常生活は贅を尽くすというようなことではなく、自然の恵みを大切にされている印象があります。



質素倹約な生活をして、要所要所でお金を思いっきり使うといったセルフコントロールがきちんと行われていました。



■まとめにかえて



筆者が見てきた「富裕層」の方々についてお伝えしましたが、倹約家である背景があるからこそ富裕層になり得たと言えるのかもしれません。



日本を代表する一流企業である伊藤忠商事やワコール、高島屋の創業者は、「三方良し」の精神で有名な近江商人の出身といわれています。



近江商人とは、滋賀県を拠点として全国を渡り歩いた商人で、江戸時代~明治時代に活躍し、財を成したことで知られています。

そんな近江商人の心得として、「始末してきばる」という教えがあります。「始末」とは、モノの効用を使い切ることが真にモノを生かすことになるという考えを指します。

富裕層の方々は、決して無駄遣いせず、価値のあるものにお金を使うことを習慣づけられています。一度、自分の生活を振り返り、ちょっとした無駄遣いを見つめ直す機会をつくるのも良いかもしれません。



■参考資料



  • 野村総合研究所「日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆と推計」(2020年12月)( https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/1221_1 )
  • 東近江市 近江商人博物館・中路融人記念館「近江商人とは」( https://e-omi-muse.com/omishounin/about6.html )
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