■「年金代わりに不動産投資で稼ぐ」の注意点



【不労所得】不動産投資の家賃収入は年金代わりにならない!?諸...の画像はこちら >>

将来の年金に不安を感じている方の中には、不動産投資の「年金代わりになる」という売り文句が気になっている方がいるかもしれません。



「年金代わりになる」とは老後に投資物件を持っていれば、年金のように賃貸マンションの家賃が定期的に得られるという意味です。



しかし実際は家賃収入から、さまざまな諸経費を支払うことになります。この記事では不動産投資を検討するうえで見逃せない、この諸経費のリスクについて解説します。



■家賃収入が年金代わりになる理由



不動産投資の情報サイトの中には、年金代わりになる理由を、「不動産投資は安定して家賃収入を生み出しやすく、年金のように定期収入が得られる」と説明しています。



ちなみに不動産投資の物件として扱われることの多い、都心のワンルームマンションの平均家賃は10万円前後です。



これが毎月収入になるのであれば、年金の代わりとまでは言えないにしても老後の生活費の大きな足しになるはずです。



ただしこの収益モデルには、一つ注意しなければいけないポイントがあります。それがこれからお伝えする諸経費が家賃収入から引かれる点です。



■不動産投資「代表的な諸経費」とその相場



不動産投資物件を購入し所有するには、物件価格以外に諸経費がかかります。まず物件を購入する時には、次のような諸経費が必要になります。



■不動産購入時にかかる諸経費



  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 不動産取得税
  • 司法書士報酬
  • 登録免許税
  • 火災保険料
  • ローン諸経費

これらは投資物件の条件にもよりますが、物件価格のおよそ10%前後が相場と言われています。



さらに物件を購入した後は、次のような諸経費が定期的にかかります。



■不動産を所有しているとかかる諸経費



  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理委託手数料
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 室内修繕費
  • ローン金利
  • 火災保険

これらの諸経費は、物件を所有している限りかかり続けます。



そのためしっかり節約をしないと家賃収入を減らしてしまい、年金代わりには程遠い収入しか得られない可能性があります。



■【不労所得】不動産投資で特に注意したい3つの諸経費



この諸経費の中で、特に意識して節約したいのが「管理委託手数料」「ローン金利」「室内修繕費」です。



■不動産投資で注意したい経費1. 管理委託手数料



管理委託手数料は、入居者からの家賃の管理、クレーム対応、物件の修理などを、所有者に代わって行う管理会社に支払う費用です。



家賃×5%が相場と言われていますが、委託する会社によって割合は異なります。

物件購入のときに、物件を仲介する不動産会社から紹介された管理会社とそのまま契約するケースが多く見られます。

しかし継続して支払う費用になるため、紹介されたところ以外も検討して同じ管理内容で安価なところを探せば出費が削減できるでしょう。



■不動産投資で注意したい経費2. ローン金利



物件購入に不動産投資ローンを利用する場合は、利息の支払いも大きな出費になります。



借入先の金融機関の選択も、物件を仲介する不動産会社から案内されたところで借りる人が多いようです。



しかし金融機関ごとに金利は異なり、より低金利なところで借りた方が出費を抑えられます。



【不労所得】不動産投資の家賃収入は年金代わりにならない!?諸経費のリスクを解説

出所:各行の公式サイトをもとに筆者作成



仮に2000万円を借入して20年で支払ったとき、利息が1.5%と2%とでは支払い総額はおよそ112万円も変わります。投資物件購入に不慣れな方にとって、自分で金融機関を探すのは大変かもしれません。



しかし100万円近く節約できるとすれば、手間暇をかけて検討する価値は十分あるでしょう。



■不動産投資で注意したい経費3. 室内修繕費



マンションの屋上や外壁といった外部、入口や階段などの共用部の修繕は、毎月積み立てる修繕積立金によって計画的に修理が行われます。一方で物件の室内の内装や設備は、所有者自身で状況を判断し必要なタイミングで修繕をしなければなりません。



特に注意したいのがキッチンなどの水回りで、劣化を放置して水漏れなどが発生すれば濡れた内装などの修理費がかかってしまいます。そのため定期的な点検を行い、劣化があれば早めに修理することが大切です。



■不動産投資は諸経費を減らし早期返済するのがポイント



不動産投資は老後まで物件を所有し、家賃収入を生み出し続ければ年金を補ってくれます。しかしそのためには所有する間にかかる諸経費をなるべく抑え、家賃が目減りしないようにすることが大切です。



また、繰り上げ返済を積極的に行い、老後までにローンを完済しておくことも重要です。



老後に返済が残るような計画では、年金代わりの話どころではありません。そのためどうせ不動産投資をするなら、できるだけ若いうちに始めたほうが有利でしょう。



■不動産投資は計画性を持った取組が必要



実際のところ不動産投資で年金代わりになるほどの収益を得るには、複数の物件を所有していないと難しいでしょう。



しかし年金の足しにする目的なら1物件でも可能であり、十分に実現のチャンスはありそうです。



ただしそのためには需要の落ちにくい物件を選び、諸経費を抑えながら早めにローンを返済するといった計画性が必要です。



決して買ったままで多くの収益を得られるほど、甘い投資ではないことは承知しておきましょう。



■参考資料



  • 楽天銀行「楽天銀行不動産担保ローン」( https://www.rakuten-bank.co.jp/loan/mortgage-collateral/ )
  • 東京スター銀行「スター不動産担保ローン」( https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/mortgage_collateral/ )
  • 関西みらい銀行「フリーローン<不動産担保型>」( https://www.kansaimiraibank.co.jp/kojin/freeloan/hudousan/ )
  • オリックス銀行「不動産投資ローン」( https://www.orixbank.co.jp/personal/property/ )
  • CHINTAI、ホームズ「東京23区の家賃相場情報」
  • 住宅保証機構株式会社「返済額の試算」
編集部おすすめ