■65歳以上の4人に1人が働く時代へ
もうすぐ敬老の日です。
今年はこれまでにない物価の上昇もあり、高齢者の方にとっては生活が厳しく、また仕事についても考えさせられる方が多いのではないでしょうか。
貯蓄がいくらあれば安心とは言い切れないですが、同年代の貯蓄、そして就業状況については気になる方も多いでしょう。
今回は65歳以上の無職世帯の貯蓄を確認しながら、高齢者の就業状況についても詳しくみていきます。
■65歳以上で無職の世帯、貯蓄はいくらもっているのか
まずは総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」より、二人以上の世帯のうち、世帯主が65歳以上の貯蓄現在高をグラフでを確認しましょう。

出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」
上記によれば貯蓄の平均は2376万円ですが、平均は一部の富裕層に引っ張られます。貯蓄保有世帯の中央値をみれば、1588万円まで下がりました。
くわしく分布を見ると貯蓄4000万円以上という世帯も17.7%ある一方で、貯蓄100万円未満は8.3%います。
同調査より、65歳以上・無職世帯の貯蓄現在高も確認しましょう。

出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」
無職世帯の貯蓄現在高を見ると2021年は2342万円です。2016年以降、2200万円以上で推移していることがわかります。
内訳を見ると生命保険で約400万円、有価証券で388万円保有していることがわかります。貯蓄の一部を運用していることがわかりますね。
ただ先程確認した通り、貯蓄は世帯差が大きくなっています。
■【65歳以上の仕事】就業率は?4人に1人が働く時代に
次に総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 (2021年9月19日公表)」より、65歳以上の高齢者の就業状況を確認しましょう。
2020年の高齢者の就業者数は2004年以降、17年連続で増加しており、2020年には906万人で過去最高となっています。

出典:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」
年齢ごとの就業率も確認しましょう。

出典:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」
60歳代前半の71.0%が、60歳代後半でも49.6%が就業しており、過去最高を更新しています。
65歳以上全体で見ると25.1%と年々増加しており、今や65歳上の4人に1人が働いていることがわかります。
■【65歳以上の仕事】産業別に見ると多いのは「農業、林業」
では、65歳以上の高齢者はどのような分野で働く人が多いのでしょうか。

出典:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」
同調査を見ると「卸売業、小売業」が128万人で最多となっており、次いで「農業、林業」で106万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人、「製造業」や「医療、福祉」が92万人となっています。
就業者に占める高齢就業者の割合は「農業、林業」で53.0%、「不動産業、物品賃貸業」で26.4%、「サービス業(他に分類されないもの)」で23.0%と高くなっています。
■【65歳以上の仕事】雇用形態は?
雇用形態も確認しましょう。

出典:総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」
高齢就業者は「役員を除く雇用者」が57.0%と最多となっており、「自営業主・家族従業者」が30.7%、「会社などの役員」が12.3%となっています。
さらに「役員を除く雇用者」を雇用形態別にみる と、「非正規の職員・従業員」が76.5%。
65歳以上は非正規雇用で働く人が多いとわかります。また、自営業者の割合も多いことがわかるでしょう。
業種や職種によっても雇用形態はさまざまですが、定年前とは違いパートや自営業で働く方が多いことは一つの傾向として覚えておきましょう。
■まとめにかえて
65歳以上の貯蓄は平均では2000万円を超えていたものの世帯差が大きく、年々働く高齢者が増えていることもわかりました。
相次ぐ物価高に2022年度の年金受給額の減額、また70歳までの就業機会の確保、75歳まで繰下げ受給が可能になるなど、働く高齢者が増えることは今後も考えられます。
長く働くことを見据えたライフプランやキャリアプラン、またそれにあわせたマネープランを考えることは今後も重要となっていくことでしょう。
■参考資料
- 総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」( https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics129.pdf )
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」( https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2021_gai4.pdf )