■月3万円・20年間・5%で運用した場合を試算
値上げラッシュが続く今日ですが、帝国データバンクが今年8月に実施したアンケートによると、実に企業の25.8%が、今年に入り2回以上の値上げを実施したという結果が出ました(有効回答企業数:824社)。

出所:帝国データバンク「特別企画:企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート(2022年8月)」
また、企業の約3割が今後1年以内に値上げを予定しており、特に10月~12月で値上げラッシュとなる見込みのようです(有効回答企業数:1401社)。

出所:帝国データバンク「特別企画:企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート(2022年8月)」
一方で、この30年間、日本の平均賃金は約400万円から変わっていないと言われています。
そんな中で物の値段だけがどんどん上がってしまうと、これまで以上に生活が苦しくなるのは目に見えています。
ちなみに、国税庁が公表した「令和2年(2020年)分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は433万円になっています。
今回は年収400万円の「一般家庭」にスポットを当てて、リアルな平均貯蓄額について触れていきます。
■年収400万円台、貯蓄平均はいくらか
まずはじめに、年収400万円台の「ふつうの家庭」における貯蓄事情をみていきます。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると以下のようになっています。
※四捨五入の関係で、各項目の合計と平均貯蓄額は一致しない場合があります
■年収400万円~450万円(平均年収426万円)勤労世帯
平均貯蓄額:912万円
■【貯蓄の内訳】
金融機関:897万円
- 通貨性預貯金:317万円
- 定期性預貯金:303万円
- 生命保険など:225万円
- 有価証券:52万円
金融機関外:15万円
■年収450万円~500万円(平均年収474万円)勤労世帯
平均貯蓄額:784万円
■【貯蓄の内訳】
金融機関:765万円
- 通貨性預貯金:277万円
- 定期性預貯金:237万円
- 生命保険など:157万円
- 有価証券:94万円
金融機関外:19万円
平均貯蓄額だけをみると、「もう少しで1000万円の大台に手が届きそう」といったところでしょうか。
中には、子供の教育資金や住宅購入などによって思うようにお金が貯まっていないご家庭もあるかもしれません。
では次は、貯蓄額だけでなく負債額にも着目してみましょう。
■年収400万円台、負債平均はいくらあるのか
貯蓄ばかりに目が行きがちですが、負債も無視できません。先程と同じ資料から、年収400万円世帯の負債額についてみていきましょう。
■年収400万円~450万円世帯の負債
平均負債額:521万円
※うち住宅・土地のための負債:486万円
■年収450万円~500万円世帯の負債
平均負債額:693万円
※うち住宅・土地のための負債:652万円
結果を見ると、年収400万円世帯の負債は、そのほとんどが土地・住宅であることがわかります。
ちなみに、「住宅・土地のための負債」が負債全体に占める割合は、年収400万~450万円、年収450万円~500万円世帯ともに9割以上です。
■年収400万円台、純資産額はいくら?
貯蓄額から負債額を引いた金額を実際の資産(純貯蓄)だと考えると、以下のようになります。
■年収400万円~450万円世帯の順貯蓄額
391万円 (貯蓄912万円-負債521万円)
■年収450万円~500万円世帯の順貯蓄額
91万円 (貯蓄784万円-負債693万円)
こうしてみると、決して余裕があるとはいえない状況です。
同調査では世帯主の平均年齢は50歳となっており、18歳未満の子どもが1人います。これからかかる子どもの教育資金や夫婦の老後資金などを考えると、今後まだまだ貯蓄は必要でしょう。
どういった手段を用いて貯蓄をしていくかでゴールは大きく変わってきます。いかに上手にお金を貯めていくかが今後のポイントだといえそうです。
■効率よく資産を増やすコツは?
効率よく貯蓄を増やしていくには、「お金を働かせる」という点を意識してみてください。
たとえば、同じ毎月3万円ずつ貯金をしたとしても、どういった方法を取るかによって結果は大きく変わってきます。
預貯金で毎月3万円を20年間貯めた場合、720万円貯まります。
一方で、金融商品を活用し、年利5%で20年間運用ができた場合、およそ1200万円貯まります(金融庁「資産運用シミュレーション」にて試算)。

出典:金融庁「資産運用シミュレーション」
もちろん運用ではメリットだけでなくデメリットも含めて考える必要はありますし、年率何パーセントで運用できるかは後にならないとわかりませんが、同じ金額を同じ期間運用しただけで約500万円もの差になっています。
いかに効率よくお金を増やしていくかが、効率よく資産を増やすために重要だということは感じ取っていただけたのではないでしょうか。
■まとめにかえて
今年度から高齢者への年金支給額が4月から0.4%引き下げられています。
今後もこういったことが100%ないとは言い切れません。そうなっても困らないようにするためにも、自分の身は自分で守る必要があります。
まずは、自分にとって何が合っているのかを知ることからはじめるとよいでしょう。最初の一歩が非常に大切です。
■【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
■参考資料
- 帝国データバンク「特別企画:企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート(2022年8月)」( https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220808.pdf )
- 国税庁「令和2年(2020年)分民間給与実態統計調査」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf )
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&stat_infid=000032190999&result_back=1&tclass4val=0 )
- 金融庁「資産運用シミュレーション」( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html )