■約30年で子育て世帯の割合は半数以下へ



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2022年10月から、夫婦どちらかの年収が1200万円以上で児童手当の支給がなくなります。物価高に加えて、児童手当がなくなることを厳しく感じるご家庭もあるでしょう。



少し前の調査になりますが、厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の雇用者所得は651万8000円、児童手当等は14万3000円となっています。



減少する子育て世帯「平均年収600万円」生活は厳しいか、グラフで貯蓄と負債の一覧を見る

出所:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」



つまり、現代の子育て世帯の平均年収は600万円台と言えるでしょう。

では、子育て世帯は平均でどれくらい貯蓄や負債を持っているのでしょうか。今回は子育て世帯の貯蓄と負債を確認していきます。



■【一覧表】子育て世帯の貯蓄はいくらか



同調査より、まずは子育て世帯の貯蓄を一覧表で見ていきましょう。



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出所:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」



■【貯蓄】児童のいる世帯(不詳をのぞく)



貯蓄がない‥11.6%

貯蓄がある‥84.4%



  • 50万円未満:4.3%
  • 50~100万円:4.9%
  • 100~200万円:10.1%
  • 200~300万円:8.1%
  • 300~400万円:7.7%
  • 400~500万円:4.4%
  • 500~700万円:10.6%
  • 700~1000万円:8.1%
  • 1000~1500万円:8.7%
  • 1500~2000万円:3.8%
  • 2000~3000万円:4.6%
  • 3000万円以上:3.9%
  • 貯蓄あり貯蓄額不詳:5.3%

貯蓄がない世帯は約1割。平均貯蓄額は723万8000円です。



表で貯蓄分布を見ると、特に多いのは「100~200万円」と「500~700万円」がそれぞれ1割となっています。



全体で見ると貯蓄200万円未満が約2割な一方で、1000万円以上保有している世帯も約2割います。



また、全世帯の平均貯蓄1077万4000円や高齢者世帯の平均貯蓄1213万2000円に比べると、子育て世帯は貯蓄平均額が低いこともわかります。



子育て世帯と言っても、夫婦ともに若く乳幼児を抱えて片働きの世帯から、子どもが中高生になり夫婦共働きの世帯など、家族により働き方や年齢が異なります。



ただ年齢が若かったり、働き方がセーブされたり、養育や教育費にお金がかかる分、貯蓄をする厳しさはあるでしょう。



■子育て世帯の負債はいくらか



次に負債額も確認します。



■【負債】児童のいる世帯(不詳をのぞく)



借入金がない‥38.9%

借入金がある‥55.8%



  • 50万円未満:1.0%
  • 50~100万円:1.2%
  • 100~200万円:2.3%
  • 200~300万円:1.9%
  • 300~400万円:1.3%
  • 400~500万円:0.8%
  • 500~700万円:2.1%
  • 700~1000万円:3.1%
  • 1000~1500万円7.1%
  • 1500~2000万円:7.7%
  • 2000~3000万円:15.2%
  • 3000万円以上:10.1%
  • 借入金あり額不詳:2.0%

「借入金がある」と答えたのは55.8%で、平均1119万7000円でした。

他の世帯と比べると、全世帯の負債は425万1000円、高齢者世帯は72万3000円となっており、住宅ローンを抱える子育て世帯が最も負債が多く、生活の厳しさが垣間見えます。



■減少する子育て世帯。30年余りで半分以下に



同調査では、子育て世帯の割合の推移も確認できます。



減少する子育て世帯「平均年収600万円」生活は厳しいか、グラフで貯蓄と負債の一覧を見る

出所:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」



1986年には子育て世帯は46.3%でしたが、2001年には28.7%、2019年には21.6%と、子育て世帯はこの30年余りで半数以下に減っています。



考えられる一因として、平均年収の減少があるでしょう。



1989~2018年のあいだ日本の平均年収は400万円台で推移しており、以前は400万円台後半だったものの、リーマンショックの2008年以降400万円台前半に下がっています。



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出典:厚生労働省「図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」



その一方で社会保険料やモノ、サービスの値上がりもあり、文部科学省によれば私立大学の授業料の平均額は2008~2021年で約8万円値上がりしています。



このような経済状況が子育て世帯へ与える影響は大きいでしょう。



■まとめにかえて



現代は教育費や住宅ローンのほか、老後資金も自分で備える必要があり、昨今の物価高では生活が厳しい子育て世帯が多いでしょう。



共働き世帯が主流とはなっていますが、パートタイムで働く女性は多く、子どもの年齢や人数等によっては仕事と育児の両立が難しいご家庭も多いものです。



今後、子育て世帯の働き方や貯蓄の工夫がより求められる一方で、児童手当の所得制限等が与える影響についても、今一度考えたいものです。



■参考資料



  • 厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」世帯数と世帯人員の状況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/02.pdf )
  • 厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」各種世帯の所得等の状況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )
  • 厚生労働省「図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」( https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html )
  • 文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」( https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm )
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