この秋に定年退職を迎える方もいます。



定年退職の時点で、これまでの資産運用の実績や退職金の有無、相続等の要因で貯蓄格差が生まれているとも言われます。



筆者は地方自治体で公務員をしていましたが、毎年定年退職を迎えた方からお金の相談を受けることも多かったです。

中でも、しっかりお金を守っている方の相談内容は特徴的でした。富裕層をとりまく現状や特徴を見ていきましょう。



■「富裕層の人口」日本は世界で2位!



近年の物価上昇や円安状況を見るに、日本の経済状況は不安定だとされています。



しかし、仏コンサルティング会社キャップジェミニが2022年6月14日に発行した「THE WORLD WEALTH REPORT 2022」によると、2021年の世界のHNWI(いわゆる富裕層)人口は7.8%増え、その資産は株式市場を背景とする景気回復により8%増加しました。



※HNWI(High Net Worth Individual)とは「1百万米ドル(約1億円)以上の投資資産を保有」する人たちのこと。



そして同調査によれば、日本の富裕層人口はなんと世界2位となっています。意外にも日本の富裕層人口は多いのです。



同調査によれば、2021年のHNWI人口1~4位は米国、日本、ドイツ、中国と続きます。この4カ国で、世界のHNWI人口の63.6%を占めているのです。



【富裕層の人口】日本は世界的に多いって本当?元公務員が語る「お金を守る人」の特徴4選

出所:Capgemini「THE WORLD WEALTH REPORT 2022」



■世界のHNWI(富裕層)人口



  • アメリカ:746万人
  • 日本:365万2000人
  • ドイツ:163万3000人
  • 中国:153万5000人
  • フランス:77万5000人
  • 割合ではなく人口なので、そもそも人口の多い国は有利となるものですが、こちらを加味しても世界から見ると日本の富裕層人口が多いことが分かります。日本に住んでいるとあまり意識することはないかもしれませんが、意外にも富裕層は多いのですね。



    ■参考:世界の富裕層はどのような資産をもっている?



    世界の富裕層は、どのような資産をもっているのでしょうか。



    2018~2022年1月における、世界の富裕層の金融資産の構成を確認します。



    【富裕層の人口】日本は世界的に多いって本当?元公務員が語る「お金を守る人」の特徴4選

    出所:Capgemini「THE WORLD WEALTH REPORT 2022」



    • 株式:29 %
    • 現金及び現金同等物:24%
    • 不動産(住居を除く):15%
    • 債券:18%
    • オルタナティブ投資:14%

    2018~2022年というコロナ禍をまたいだ推移をみた結果、資産内訳の割合はほぼ変わらないことがわかりました。



    流動性の高い現金等が2割強、不労所得が期待できる不動産と債券は約3割、値上がり益を期待する株式が約3割、オルタナティブ投資が1割強となっています。



    つまり、コロナ禍は富裕層の資産にあまり影響を与えなかったと言えます。



    お金をしっかり守っている方は、お金に対してどのように向き合っているのでしょうか。特徴を4つ見ていきましょう。



    ■今すぐ真似したい「お金を守る人の特徴」4選



    富裕層の人口や資産をみると、自分とは縁遠いと感じる方も多いかもしれません。



    日本人は預貯金で備える方も多く、資産の内訳を見るだけでも「一般人とは違う視点」を持っているからこそ、富裕層になりえたとも考えられます。



    富裕層とまではいかなくても、お金をしっかり守る方には共通したポイントがあります。真似しやすいポイントを4つ見ていきましょう。



    ■お金を守る方に共通するポイント1. 常に税金を意識している



    意外に感じるかもしれませんが、お金を持っている方でなおかつお金を守れる方は、常に税金を意識している方が多かったです。



    「税金なんて気にしない」ほうが豪快でお金持ちのイメージにあてはまるものの、2年後、3年後の税金を意識している方がお金を守りきれている印象です。



    実際、会社員の方でも「ふるさと納税がオトクと言われても、面倒だしまた今度でいいか」「医療費がたくさんかかったから医療費控除をするべきと言われたけど、確定申告はよくわからない」という風に放置される方は多いです。



    お金を守るには、「収入を増やす」「支出を減らす」が重要ですが、いかに「節税を意識するか」も大切なのです。



    申告することで減らせる税金は、見逃さないようにしたいですね。



    また一時的に所得が上がる場合、翌年度の住民税があがることもポイントです。お金を守る方はこうした変動にも敏感なので、事前に準備される方が多いです。



    ■お金を守る方に共通するポイント2. 費用対効果を常に意識している



    「お金持ちはケチ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これはあながち間違いではなく、たった数百円の手数料も払わないという方は実際にいらっしゃいます。



    しかし、全てのものに対して財布の紐をしめるわけではありません。



    価値があると思ったものには投資を惜しみませんし、必要ないと思ったものには1円も支払いません。



    投資先はモノに限らず、時間のときもあります。時間や労力をかけるのがムダだと思えば、お金で時間を買うこともあります。



    こうしたお金の使い方で生まれた時間によって、仕事のパフォーマンスを上げられることを知っているのです。



    ■お金を守る方に共通するポイント3. とにかくたくさん情報を仕入れ、最後は自分で判断する



    例えば公的年金の受け取り方法をとっても、65歳からの受給に限らず繰上げ受給や繰下げ受給が選べます。



    ただし、ここには家庭ごとのメリット・デメリットがあるため、簡単に選択することは難しいです。



    お金をしっかり守れる方は、とにかくたくさんの情報を仕入れようとたくさん勉強されます。その上で、自分でしっかり判断されます。



    「制度がよくわからないから、何が一番いいか答えがほしい」と考えてしまう方も多いですが、答えは家庭の状況や価値観によって異なるものです。



    考える材料を一通り集めた上で、自分で答えを出すことが重要になります。



    ■お金を守る方に共通するポイント4. 健康意識が高い



    お金を守る方は、健康意識が高いことも特徴的です。仕事を好きな方が多く、資産を増やすためにも働き続けることを重視しているため、体が資本であることをわかっているのです。



    食事やリフレッシュに気を使い、無理をせずにメリハリのある生活を心がける方が多いですね。



    また健康診断の情報もたくさん知っています。契約している生命保険の付帯サービスを使って割引価格で検診を受けたり、定年退職後も積極的に自治体の特定健診を受診したりしています。



    健康のメリットを把握し、自分が楽しく生きるために健康の維持を重視しているように思えます。



    ■まとめにかえて



    多くの方が遠い存在に感じている富裕層ですが、日本では意外にもその人数が多いことがわかりました。



    お金を守る方には共通した特徴があります。習慣を真似するだけで「お金持ち」になれるわけではありませんが、見習いたい習慣があるのも事実です。



    お金との向き合い方を見直すことで、上手にお金と付き合っていきたいですね。



    ■参考資料



    • Capgemini「THE WORLD WEALTH REPORT 2022」( https://worldwealthreport.com/pdf/Capgemini_WWR_2022_VFinal_Digital.pdf )
    • キャップジェミニ「ヨーロッパの景気回復とアジア太平洋地域の成長鈍化により、増加率ではヨーロッパがアジア太平洋地域を抜いて2位に。世界のHNWIの70%がデジタル資産・通貨に投資」( https://www.capgemini.com/jp-jp/news/north-america-retains-top-spot-for-high-net-worth-population-and-wealth-world-wealth-report-2022/ )
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