■讃岐うどんは今や外食産業市場の牽引役



うどん県のうどんはそんなに美味しいのか? 香川県を食べ歩きの画像はこちら >>

■国内の外食産業市場は4年連続前年超え、しかし停滞感が強い



国内の外食産業は、市場の成熟化と緩やかな縮小が続いています。日本フードサービス協会が発表した「平成27年外食産業市場規模推計について」によれば、同年(2015年)の市場規模は対前年比+2.2%増の25兆1,816億円になったと見られ、これで4年連続での前年超えとなります。



しかし、一方では、ピーク時である平成9年の約29兆円に対して、依然として▲13%以上落ち込んだままという現実があります。外食産業市場が停滞している要因としては、消費者の節約志向の高まりに加え、持ち帰り弁当やテイクアウト惣菜などいわゆる“中食”市場の増加等が挙げられているようです。



皆さんの中にも、“昔に比べると外食しなくなったなぁ”という人も多いのではないでしょうか。



■外食産業で非常に高い伸び率を示す「そば・うどん店」



さて、停滞気味の外食産業ですが、全部が全部、不振というわけではありません。実際、前掲の発表資料によると、外食産業市場の約3分の2を占める「飲食店」の内訳では、「そば・うどん店」が同+5.8%増となっており、他の分類よりも非常に高い伸び率を示しています。



なお、同資料の分類「そば・うどん店」には、“立ち食いそば・うどん店を含む”という注釈が付いています。しかし、駅の立ち食いそば屋さんが大幅に増加している印象は乏しく、実態としては、そば・うどんの専門店、およびファストフード(主にセルフ系)の店が増えていると考えられます。



■急速に人気が高まってきた讃岐うどん、チェーン店も急成長中



その中でも、近年人気が高まっているのが「讃岐うどん」ではないでしょうか。



讃岐うどんは、セルフ系店舗の登場により、その認知度が急速に高まってきたと言えます。最新のデータではありませんが、2016年初時の国内店舗数では、最大手の「丸亀製麺」が約780、第2位の「はなまるうどん」が約370となっており、いずれも急成長が続いています。



讃岐うどんのチェーン店としては、この2つ以外にも都心部では「楽釜製麺所」「麦まる」などがありますが、全国レベルで見れば、本当に数多くのチェーン店があるようです。



■セルフ系店舗の登場で認知度は一躍全国レベルに?



ところで、ご存知の方も多いとは思いますが、讃岐うどんは香川県の特産物であり、その歴史は江戸時代から始まったと言われています。

その後、昭和の高度経済成長期以降に讃岐うどんは何回かのブームを迎えましたが、それでも香川県の地方名産料理の1つという認識が強かったと考えられます。



しかし、2000年代前半から前述したセルフ系のチェーン店が全国展開するようになり、一躍脚光を浴びるようになったと言ってもいいでしょう。



■人口10万人当たりのうどん店舗数は香川県が全国で断トツの1位



香川県の讃岐うどんはそんなに有名なのでしょうか? 少し古いデータですが、平成24年の都道府県別うどん店舗数を見ると、香川県は604店舗です。



単純な店舗数では、東京(約5,000店舗)、埼玉(約2,350店舗)、大阪(約2,050店舗)など人口の多い大都市圏の方が多くなっていますが、人口10万人当たりの店舗数では香川県が61.1店舗で断トツの1位です。香川県が「うどん県」と呼ばれる理由がここにあります。なお、第2位は群馬県の47.0店舗でした。



■店によって明らかに違いがある味とコシ



うどん県のうどんはそんなに美味しいのか? 香川県を食べ歩き

さて、その讃岐うどんの本場である香川県に行ってみました。県庁所在地である高松市内にも数多くのうどん店があります。さすがに全てを回ることは不可能ですが、筆者の感覚では、本場でもセルフ系が7割以上のようです。セルフ系の店のスタイルは、東京にあるチェーン店とほぼ同じです。



ただ、どの店も、うどんの“コシ”に明らかな違いがあり、その店のオリジナリティを感じることができました。“うどんの味はどこも変わらない”という見方は間違いであることがよくわかります。



野菜かき揚げをトッピング。カレーチャーハンのおにぎりを付けて



うどん県のうどんはそんなに美味しいのか? 香川県を食べ歩き

■丸亀市で食べた讃岐うどんは目からウロコが落ちる美味しさ



また、筆者は、高松駅からJR予讃線で約40分にある丸亀駅にも足を延ばしました。丸亀市は先般放送されたNHK「ブラタモリ」でも“コンビニ店舗よりうどん店の方が多い”と取り上げられていました。ただ、実際に行くと、駅周辺を歩いた限りですが、コンビニ店舗を探すのが一苦労という状況でした。



それでも、ようやく見つけた讃岐うどん店(セルフ系ではない)で食べたうどんは、正しく“目からウロコが落ちる”美味しさでした。



丸亀市で食べた讃岐うどんは目からウロコが落ちる美味しさ



うどん県のうどんはそんなに美味しいのか? 香川県を食べ歩き

■讃岐うどんを食べに香川県に行く価値は十分ある



東京や大阪で食べる讃岐うどんも美味しいですが、本場の香川県で食べる讃岐うどんは格別というのが正直な感想です。高松市内でも、郊外に行くと様々なうどん店があるようです。現在、国内の外食産業市場の牽引役になりつつある「うどん」は、まだまだ拡大余地があることを実感させられた気がしました。



こちらは牛肉と温玉



うどん県のうどんはそんなに美味しいのか? 香川県を食べ歩き
編集部おすすめ