■「551蓬莱」と「蓬莱本館」は同じルーツを持つ会社だった



豚まんの蓬莱は2つある! なぜ大阪・難波に並んで出店している...の画像はこちら >>

大阪を代表する豚まん、蓬莱。実は、蓬莱ブランドの豚まんは2種類あることをご存じでしょうか? 大阪・難波に行くと、蓬莱の看板を掲げた異なる2軒の店舗が並んで豚まんを販売している不思議な光景を目にすることができます。



■2種類ある豚まんの蓬莱



蓬莱の豚まんをお土産に買ったことのある方もいらっしゃると思いますが、実は蓬莱は2種類存在しています。関西では比較的知られているのですが、他地域での認知は低いようです。



この事実を知らない方が大阪・難波の蓬莱本社付近に行くと、2つの蓬莱に戸惑われるのではないでしょうか。商店街の南側にある「551蓬莱」と、マクドナルドを挟んだ北隣にある「蓬莱本館」が、同じように豚まんを販売しています。ちなみに、いずれの店も2階はレストランです。



2つのお店は別の会社が運営しており、豚まんの味も異なります。

関西圏の駅などに売店を構えているのは551蓬莱で、蓬莱本館は楽天を始めとする通販や、卸売りに注力しています。



■蓬莱の歴史



蓬莱が2軒存在している理由は、551の蓬莱のサイトに記載があります(551蓬莱会社案内「551って?( http://www.551horai.co.jp/company/company2.html )」)。



蓬莱は昭和20年、大阪難波の地に故 羅邦強(株式会社蓬莱前会長)と、あと2人の仲間によって産声を上げました。やがて3人は中国語で桃源郷を意味する「蓬莱」を血のにじむような努力で成長させていったのです。そして更なる発展のため3人はそれぞれ、蓬莱本館・蓬莱別館・株式会社蓬莱と、独立して事業を続ける事にしました。



上に引用した通り、551蓬莱=株式会社蓬莱と蓬莱本館は別会社ですが、ルーツを同じくするものです。

こうした両社の歴史を知れば、ほぼ隣同士に店を構えているのも“なるほど”と納得できます。



■2つの蓬莱は「のれん分け」の名残り?



日本には昔から「のれん分け」というものがあります。店の商号・ブランド・ノウハウを共有することで、奉公人が円満に独立を果たすことができる仕組みです。現代のフランチャイズ(FC)ビジネスに通じるとも言えますが、過去多くの企業や店舗がのれん分けを経て独立を果たしています。



近年ではラーメンの「大勝軒」が有名です。蓬莱とは逆に、大勝軒にのれん分けの店舗が多い話は関西ではそれほど知られていません。

一方、関西には「餃子の王将」と「大阪王将」の例もあります。大阪王将は餃子の王将からのれん分けで独立した会社です。



ガチガチの契約関係に基づくFCとは異なり、のれん分けは店の主人と奉公人の人間関係に基づくゆるい制度とも言え、商号の利用等に厳密なルールはありません。



■難波で食べ比べはいかが?



頑なに関西地域にこだわりながらも、今やその名が海外にも知られる551蓬莱。そのルーツは難波の豚まんの店頭小売の店です。そして、難波で蓬莱ブランドを利用している豚まん店が2軒並ぶ姿は、チェーン店で画一化された外食店舗を見慣れている目には奇妙に映る光景かもしれません。



しかしそこには、人間関係をベースにしたのれん分けの名残や古き良き時代の商店経営を感じることもできます。もし大阪・難波を訪れる機会があれば、551蓬莱と蓬莱本館が隣接する姿をご覧になり、豚まんの食べ比べをされてはいかがでしょうか。絶好の大阪の土産話になりますよ。