本日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは104.20円↓下値メドは101.85円人々はV字で以前の生活に戻るわけではない。ワクチンが広まり安全だと確信できるまでは、経済回復も非常に緩やかであり続ける
週明けのマーケットはドル全面高の展開となりました。1月第2週を103.85円からスタートしたドル/円の、この日の安値は103.84円で始値から全く下がらないままアジア時間のうちに104円台にのせると、NY時間には104.40円まで上昇、約1カ月ぶりの高値をつけました。
昨年末から年明けにかけてのドル買いラッシュが、早くも反転したような動き。先週1.2349ドルまで上昇したユーロ/ドルは1.2132ドルまで下落。豪ドルや金価格も大きく下げています。理由は米金利上昇。バイデン新政権の大型景気刺激策によって米国経済が欧州経済より先に立ち直るとの期待が高まります。
ドル安は終了、ドル高が始まるのか?それはまだわかりません。ユーロや豪ドル、ポンドは対ドルで2018年以来の高値圏まで上昇してポジションが急速に積み上がっていたため、ここで調整が入っても不思議ではない。一巡したら再びドル安の流れに戻るという見方も多いようです。ドル/円についていえば、円高の動きも中途半端だっただけに、戻りの円安もあまり期待しないほうがいいかもしれません。
トランプ大統領が米連邦議会の乱入騒動を扇動したとして、民主党はトランプ大統領の罷免を求める弾劾訴追の決議案を提出しました。仮に決議案が可決された場合、トランプ氏は4年後の大統領選挙に立候補する資格を失うことになります。
先週発表された米雇用統計は、はっきりいって「良くない」数字でした。雇用者数はマイナスになったのは、新型コロナに関係なく過去にも何度か起きていますが、それはハリケーンや寒波などが主な原因。今回は自然災害とは関係ない。しかし、株価を見る限り、マーケットは全く心配していません。なぜか?今日の注目通貨をご覧ください。
主要指標 終値

今日の一言
戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ – 孫子
※為替Walkerは13日、14日、15日休載します。
今日の注目通貨
ドル/円: 雇用統計は弱かった。でも、そんなの関係ない!
先週1月8日に発表された、BLS(米労働省労働統計局)による雇用統計では、12月のNFP(非農業部門雇用者数)が14.0万人減少。失業率は6.7%で前月比横ばいでした。下のチャートをご覧ください。
12月は、レジャーや接客業、そして教育部門の雇用減が特に目立ちました。大幅な雇用減少は、新型コロナ感染者拡大とそれを食い止める努力を反映した結果です。
11月の失業率は6.7%、失業者は1、070万人で前月から横ばい。失業率は4月から8ポイント低下しましたが、コロナ拡大前の2月時点(失業率3.5%、失業者580万人)に比べると、まだ2倍の開きがあります。
失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は277,000人増えて300万人。4月時点の1,800万人に比べると大幅に少なくなりましたが、2月時点よりまだ230万人多い。10月の永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は348,000人減り340万人。2月時点に比べるとまだ210万人多い。また、10月の労働参加率は61.5%で前月比横ばい。2月時点に比べると1.8ポイント低いですが、コロナ禍が深刻な状況でも労働参加率が低下しなかったことは明るい材料といえます。
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数が昨年4月以来のマイナスに落ち込みました。コロナ感染拡大が止まらず全米の約1/3が部分的なロックダウンに置かれている状況で雇用市場が縮小するのは当然です。しかし、マーケットに動揺は見られず、逆に米株式市場では主要3指標が揃って最高値を更新。これはなぜかというと、ワクチン接種が順調に展開するなら、いずれ問題は解決するだろうという楽観的な見方が強いから。
12月非農業部門雇用者数のマイナスは、レジャーや接客業の雇用減が主因ですが、「新型コロナの直撃を受けたこれらのセクターを除くと、雇用の状況は見出しの数字が示すよりもバランスが取れている」とクラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長は指摘しています。FRBも雇用縮小は一時的という見方に賛成している。別の見方をすると、これ以上の緩和政策は期待できないとことになります。

米失業率と雇用者数の推移(2020年5月~12月)


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(荒地 潤)