「ノーマスク」で化粧品需要復活!?

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染予防で推奨していたマスク着用について、3月13日以降、個人の判断に委ねる方針に転換します。さらに、本人の意思に反してマスクの着脱を強いられることがないよう、個人の判断が尊重されるよう配慮してほしいと呼びかけています。


 コロナ禍で生じたことでは、感染拡大に伴う行動制限、医療体制の行き詰まり、ワクチン接種などがイメージされますが、それらが一服した現在、マスク着用が継続している「制限」の一つと捉えられます。


 感染防止という一義的な目的に加え、「周囲の人に不安を与えないようにしよう」という心理的な側面からもマスクを着用したり、着用しなければならないと考えてきたりしましたが、今後は大きく変化しようとしています。


 ちなみに厚労省は、13日以降も、特に高齢者など重症化リスクが高い方への感染を防ぐため、主に以下のような場面ではマスク着用が望ましいとしています。


・医療機関受診時
・高齢者が多く入院・生活する医療機関や施設などへの訪問時
・通勤ラッシュ時など、混雑した電車・バス乗車時


 こうした方針転換を受けて株式市場で起こり得る動きを想像してみましょう。マスク着用によって需要が抑制されていたモノは、かなりの勢いで回復する可能性があります。


 まず「化粧品」に焦点を当て、関連銘柄に注目してみます。口紅や肌ケア用品などは、コロナ禍のマスク着用で使用頻度が減っていましたが、需要復活の兆しが既に出てきています。


 化粧品はインバウンド(訪日外国人)消費にも左右されます。コロナ禍前に百貨店やドラッグストアで化粧品を爆買いする中国人観光客らの姿を見かけた方もたくさんいらっしゃるかと思います。


 折しも、1日に中国からの渡航者の水際対策が緩和されました。入国者全員に義務付けられてきた検査は一部を対象としたサンプル検査に切り替えられ、出国前72時間以内の陰性証明を示せば入国できるようになりました。化粧品は複数の要因から注目できるサブセクターと言えます。


化粧品関連5銘柄

資生堂(4911・プライム)

 化粧品国内最大手。中国を「第二の本社」と位置づけ積極展開しています。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

コーセー(4922・プライム)

 化粧品大手。雪肌精の日焼け止めのCMに米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手を起用するなど、性別にとらわれないジェンダーレス市場の開拓を進めています。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

ポーラ・オルビスホールディングス(4927・プライム)

 化粧品国内4位、高級品のポーラ、通販のオルビスが主軸です。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

ファンケル(4921・プライム)

 通販主力の無添加化粧品メーカーで、サプリや健康食品も展開。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

ノエビアホールディングス(4928・プライム)

 訪問販売化粧品メーカーで、傘下に「南天のど飴」の常盤薬品も擁します。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

 このほかにも、高級化粧品の「 シーボン(4926・スタンダード) 」、基礎化粧品ファブレスメーカーの「 Waqoo(4937・グロース) 」、訪問販売主体の「 アイビー化粧品(4918・スタンダード) 」、さらには化粧品のOEM生産(他社ブランドの製品を製造)の「 日本色材工業研究所(4920・スタンダード) 」などが関連銘柄として指摘できます。


 ただし、流動性に乏しく、適時に売買できない可能性があるため、積極的な売買対象とするのは難しいかもしれません。


 さらに、化粧品原料メーカーの側面を持つ「 KHネオケム(4189・プライム) 」、「 ADEKA(4401・プライム) 」なども関連株と捉えられます。


居酒屋、カラオケにも好影響あるか?

 さらに連想を広げ、ノーマスクをきっかけに業績回復が確かなものになる可能性があるサブセクターを指摘すると、「飲酒を伴う外食やカラオケ」です。


 東名阪の三大都市圏中心に焼き鳥チェーン「鳥貴族」を展開する「 鳥貴族ホールディングス(3193・プライム) 」は7日、2月の既存店売上高が前年同月の約2.7倍に拡大し、15カ月連続でのプラス推移となっていると公表しました。


 これが好感され同社株は翌8日、前日終値比4.7%高となる場面がありました。2022年12月初以降目立って低迷していた同社株が反発するきっかけになると期待されています。

他の銘柄についても、このタイミングで再注目する意味があるのではないかと考えています。


居酒屋・カラオケ関連5銘柄

鳥貴族ホールディングス(3193・プライム)  

 焼き鳥チェーン「鳥貴族」を幅広く展開しています。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

コロワイド(7616・プライム)

 居酒屋展開が軸。傘下にカッパ・クリエイト、大戸屋ホールディングスなどを擁します。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

ワタミ(7522・プライム)

 居酒屋「三代目鳥メロ」などを国内外で展開しています。焼き肉・唐揚げに注力中。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

第一興商(7458・プライム)

 通信カラオケ「DAM」で業界首位、直営ボックス、飲食店を多数運営しています。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

コシダカホールディングス(2157・プライム)

「カラオケまねきねこ」、ひとりカラオケ「ワンカラ」を展開しています。


「マスク着用は個人判断」が化粧品株の追い風に!?
赤:株価移動平均(13週)
青:株価移動平均(26週)
緑:株価移動平均(52週)

(天海 源一郎)

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