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著者の窪田真之が解説しています。
「 トヨタ・サプライズ!日経平均急反発。FOMC・日銀会合は無難に通過 」
日経平均・米ナスダック総合指数とも急反発
先週(営業日:10月30日~11月2日)の日経平均株価は1週間で958円上昇して3万1,949円となりました。10月26日に一時3万0,567円まで下がりましたが、そこからV字反発を達成しました。
日経平均週足:2023年1月4日~11月2日

日経平均は、米金利上昇を嫌気して、2番天井をつけて下げる「弱い形」から、3万1,000円割れを3回トライしましたが、いずれも短期間で反発しています。先週の急反発で大きなV字反発を達成したことから、3万1,000円は下値支持線として機能していることが確認されました。
V字反発の原動力は、以下三つです。
【1】10月31日:日銀金融政策決定会合を無事通過
長期(10年)金利1%超を許容する決定がされました。ただ、急激な正常化(金利引き上げ)はなく株式市場にショックを与えることはありませんでした。
【2】11月1日:米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)を無事通過
利上げ(FF金利の引き上げ)は、2会合連続でありませんでした。事前の予想通りですが、安心感が広がり、ナスダック(ナスダック総合指数)など米国株の反発につながりました。今後、米景気がさらに減速し、利上げは打ち止めになるとの見方が広がりました。
米ナスダック総合週足:2023年1月3日~11月3日

【3】11月1日:トヨタ自動車(7203)が発表した7-9月決算がポジティブ・サプライズ
トヨタ好決算で、市場のムードが変わりました。
トヨタは7ー9月好決算を受けて、通期(2024年3月期)の連結純利益見通しを2兆5,800億円から3兆9,500億円へ、1兆3,700億円、上方修正しました。新予想は、2022年3月期の最高益(2兆8,501億円)よりも1兆円超、高い水準です。
トヨタの連結純利益推移:2021年3月期~2024年3月期(会社予想)

TOPIX100、3月期決算企業の7ー9月は19.2%増益
トヨタだけでなく、7-9月の企業業績は、全般的に好調です。円安・米景気好調・リオープンが追い風です。決算発表と同時に、通期(2024年3月期)の業績(会社予想)を上方修正する企業が多数出ています。
TOPIX100(東京証券取引所の時価総額上位100社)に含まれる100社のうち、3月期決算企業は83社です。うち、11月2日までに7-9月決算を発表したのは40社です。そのうち、決算発表時に通期の連結純利益(会社予想)を上方修正したのが18社、下方修正したのが6社でした。
TOPIX100、3月期決算企業の7-9月決算

上方修正に寄与したもっとも大きな要因は、円安です。米景気が堅調であることに加え、大幅な円安進行が、輸出企業の利益を押し上げました。
輸出企業だけでなく、内需企業も好調でした。コロナ禍からのリオープンの恩恵で、東京ディズニーリゾートを運営する オリエンタルランド(4661) や JR東海(9022) も、利益見通しの上方修正を発表しました。
一方、中国景気の悪化で、 オムロン(6645) など、中国関連株(中国ビジネスが大きい日本企業)には下方修正がありました。また、半導体不況を受けて、 アドバンテスト(6857) など半導体関連株が下方修正を発表しました。
ただ、半導体関連株については、足元不振でも、先行きに強気の経営者がほとんどでした。今、半導体不況でも、来年にかけて生成AI(人工知能)投資が盛り上がり、その関連で半導体需要が拡大すると考えられているからです。来年には半導体ブームが復活する可能性があります。
通期業績見通しを上方修正、日本株の投資判断
楽天証券経済研究所では、7ー9月の業績好調を受けて、東証上昇企業の通期(2024年3月期)業績見通しを、以下の通り、上方修正しました。
東証プライム上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2024年3月期予想

日本株の投資判断はいつも通り、変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
米景気はソフトランディングに向かうと予想していますが、米金利上昇・米景気減速にからむショック安で、一時的に株が下がることはこれからもあると考えています。したがってリスク管理は大切です。
時間分散しながら少しずつ割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。
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