三菱UFJ・三井住友の「買い」継続
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下「三菱UFJ」と表記)、三井住友フィナンシャルグループ(以下「三井住友FG」と表記)は15日、2024年3月期決算を発表しました。決算内容を分析した上で、両社の「買い」判断を継続することをお伝えします。
筆者は2019年以降、一貫して両社の「強い買い推奨」を継続してきました。
三菱UFJ・三井住友FGの2021年以降の年別の株価上昇率
決算の詳細な分析は、後日、別のリポートでお伝えします。今日はとりあえず、投資判断の概要だけお伝えします。
三菱UFJ・三井住友FG株を保有していない方は、買って良いと思います。楽天証券の「かぶミニ」(単元未満株取引)を使えば、1株単位で売買できるので、小口から投資できます。
ただし、これまでの株価上昇率が高いので、両社の保有額が運用資産全体に占める比率が高くなり過ぎた方は、一部、利益確定売りをしても良いと思います。
【告知事項】みずほフィナンシャルグループ(8411)は投資判断の対象外
楽天証券は、みずほフィナンシャルグループの子会社であるみずほ証券の出資(49.0%)を受けている。そのため、みずほFGは投資判断の対象外。筆者は三井住友FG株を5,000株保有。
三菱UFJ、三井住友FG2社の「買い」推奨を継続する理由
以下四つの理由によります。
【1】業績好調
【2】株価割安
【3】安定的に高収益を稼ぐビジネスモデル
【4】魅力的な株主還元
それでは、上記四つのポイントを、以下で説明します。
【1】業績好調:2社とも今期、2期連続で最高益更新の予想
欧米でも日本でも長期金利上昇の恩恵で、預貸金利ザヤ(貸付金利と預金金利の差)が拡大し、前期(2024年3月期)は2社とも純利益は最高益を更新しました。
今期(2025年3月期)も両社とも、最高益更新の予想(目標)を出しています。2社とも、国内商業銀行業務は、長年にわたり長期金利をゼロ近辺に固定する日本銀行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策で大きなダメージを受けてきましたが、日銀が今年3月にYCC政策を撤廃したことが追い風になっています。
三菱UFJ・三井住友FGの連結純利益推移
【2】株価割安:2社とも配当利回りの高いバリュー(割安)株であること
2社とも近年、株価が大きく上昇しました。それでも現時点の株価で見て、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)が低く、配当利回りが高いバリュー株であることに、変わりません。両社株価が「割安」という判断は変わりません。
2社の株価バリュエーション:2024年5月15日時点 コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍 8306 三菱UFJ FG 1,590.5 3.1% 12.7 0.95 8316 三井住友 FG 9,203.0 3.6% 11.5 0.82 出所:両社決算資料より楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは2025年3月期1株当たり年間配当金(会社予想)を5月15日株価で割って算出。1株当たり配当金は、三菱UFJ50円、三井住友FG330円(2024年10月1日に行う1対3の株式分割を考慮して修正した金額)。PERは、5月15日株価を2025年3月期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。三井住友FGは株式分割を考慮して修正した金額。
両社とも、過去4年の株価上昇率が高いとはいっても、それ以前の株価低迷期間が長かったため、長期的に見ると日経平均株価を大幅に下回る株価推移となっており、株価はまだ割安圏にあると言えます。
日経平均および三菱UFJ、三井住友FG株価の動き比較:2007年1月~2024年5月(15日まで)
【3】安定的に高収益を稼ぐビジネスモデル
2社とも、金利上昇の恩恵を受けて最高益を更新していますが、金利低下が続いていた2007~2020年も安定的に高収益を維持していました。
2社とも海外事業拡大・ユニバーサルバンク経営によって低金利でも安定的に高収益をあげるビジネスモデルができあがっていると考えられます。
2社の近年の株価上昇は、金利上昇の恩恵を評価する動きです。ただ、2社の評価ポイントはそこだけではありません。2社は、低金利下でも安定的に高収益をあげるビジネスモデルができあがっていると判断しており、金利動向にかかわらず長期的な投資価値が高いと考えています。特に、海外での利益拡大が、両社の株式価値拡大に寄与していると考えています。
【4】魅力的な株主還元
両社とも株主への利益配分に積極的と評価できます。以下の通り、両社とも、コロナ禍で配当を据え置いた2021年3月期を除けば、安定的に増配を続けています。
三菱UFJ、三井住友FGの1株当たり配当金:2017年3月期実績~2025年3月期(会社予想)
両社とも、さらに自社株買いを積極的に行っていることが高く評価できます。ともに株主への利益配分に積極的です。
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(窪田 真之)