差し引き17銘柄も増加!2025年3月末から優待を新設した3月優待株

 野村インベスター・リレーションズの調査によると、2024年に株主優待制度を新たに導入した上場企業は131社。2023年より50社増えて過去最高でした。


 楽天証券の「株主優待検索」でも、2025年3月の株主に優待を贈呈する企業の数は795銘柄。

2024年3月末の778銘柄から差し引き17社も増えています。


 そこで今回2025年3月から新たに株主優待制度をスタートする企業の中から、人気が高く業績も安定していて株価も有望、かつ優待内容も魅力的な銘柄をランキングしました。


 楽天証券口座内の「国内株式」→「適時開示情報」→「適時開示情報検索」をクリックして下の画面を呼び出し、「キーワード」欄から「優待」を選択すれば、優待に関する上場企業の開示情報を1年前までさかのぼって閲覧できます。


3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
適時開示情報 検索欄

 適時開示情報は日本取引所グループ運営の「TDnet(適時開示情報閲覧サービス)」でも検索できますが、閲覧できるのは1カ月前まで。


 楽天証券の「適時開示情報検索」なら1年間という長期間にわたって優待だけでなく企業が開示した業績、経営に関する豊富な情報を閲覧できるので、とても便利です。


No.1は地下鉄無料乗車券が年間6枚の 東京メトロ(9023) !

 3月優待新設株の中で首都圏在住の人には一際、魅力的といえるのが2024年10月23日に新規上場を果たした 東京メトロ(東京地下鉄)(9023) 。


 銀座線、丸ノ内線、東西線など東京都心部などを縦横無尽に走る地下鉄全9路線を運営する半官半民企業です。国と東京都が持ち株の約半分を放出することで株式の新規上場を果たしました。


3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
株主優待検索 東京メトロ

 優待権利取得には200株(※投資金額約36万2,000円)以上の保有が必要です。


※本記事の株価、投資金額、2025年3月期の予想配当利回りなどは2025年2月14日終値を使って計算。以下同。


 優待内容は3月・9月末に200株保有で株主優待乗車証が3枚贈呈されるというもの。1枚につき、東京メトロ線片道1乗車に利用できます。


 東京メトロの最長路線は東京・中野駅と千葉・船橋市の西船橋駅を結ぶ東西線の30.8キロ、23駅。中野から西船橋までの運賃は330円(IC運賃324円)です。全9路線をうまく乗り継げば、さらに高額な運賃を無料で済ますこともできそうです。


 その他にも、


  • ECサイト「メトロの缶詰」300円引きクーポン券1枚
    (3,000円以上の買い物で1年間、何度でも利用可)
  • 東西線葛西駅近くにある「地下鉄博物館」無料招待券5枚
  • 大手町駅などにある「そば処めとろ庵」かき揚げトッピング無料券3枚
    (350円以上の利用に限る)
  • ゴルフ練習場「メトログリーン東陽町」入場料無料券(平日限定)5枚
  • といった関連施設の優待券も贈られます。


     同社は新規上場前の2024年9月20日に早くも株主優待制度の導入を発表。


     新規上場前から株主優待制度導入を決める企業はほとんどなく、魅力のある株主優待で個人投資家にも積極的に株式を買ってもらおうという熱意の表れといえるでしょう。


     同社はいまだ人口増加が続く東京、中でも都心部を走る高収益の地下鉄網を持つため、本業の鉄道事業の安定ぶりは他の首都圏私鉄に比べても高いといえます。


     2025年3月期もオフィス回帰の通勤需要やインバウンド(訪日外国人)の利用増で大幅な増収増益、前期比8円増配となる1株当たり40円の株主配当(予想配当利回りは2.21%)を見込んでいます。


     今後は都心駅の地下・地上など不動産開発の成長余地も豊富。高配当利回りの優良内需株として株価の安定的な上昇が見込めそうです。


    2. ソフトバンク(9434)

     楽天証券の「株主優待検索」で3月優待株を人気順に並べると、 NTT(9432) 、 ソフトバンク(9434) 、 KDDI(9433) という携帯キャリア大手3社が人気上位を独占しています。


     携帯キャリア3社はスマートフォンや光回線の通信料という鉄板の安定収益を持つ優良企業。配当利回りも高く、大手3社はいずれも魅力的な株主優待を導入しています。


     そんな中、2025年3月末から株主優待を新たにスタートするのが携帯キャリア国内3位のソフトバンク(9434)。


    3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
    株主優待検索 ソフトバンク

     3月末に100株以上を1年以上継続保有すると一律で、同社の子会社が手掛けるQRコード決済「PayPay」で利用できる「PayPayマネーライト」1,000円分が贈呈されます。


     最初の優待贈呈までまだ1年以上あるので、人気は非常に高いものの3月優待新設株のランキング2位としました。


     同社はスマホ回線の契約が順調に増加し、傘下の「PayPay」事業も初の黒字化達成予定で今期2025年3月期も増収増益予想です。


     他社に比べて「Yahoo!ショッピング」や「ZOZO」といったEC通販や電子決済事業に強く、今後の成長性にも期待できます。予想配当利回りも携帯キャリア大手3社で最も高い4.12%です。


    3. シマダヤ(250A)

    「流水麺」などチルド麺や冷凍麺を製造する シマダヤ(250A) も2024年10月1日に東証スタンダード市場に上場直後の11月12日に株主優待制度の新設を発表しました。


    3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
    株主優待検索 シマダヤ

     2025年3月末に100株保有で1,000円相当の同社商品詰め合わせが贈呈されます。


     贈呈されるのは「『長持ち麺』たぬきうどん」や「『町中華』皿うどん」など同社の麺製品4点の予定です。


     来年2026年以降は3月末時点で6カ月以上継続保有している株主に対して同じ優待内容になるので、継続保有条件のない今回はお得といえるでしょう。


     同社は人件費・物流費の負担増加で今期2025年3月期は増収減益予想です。


     ただ2025年2月10日に通期利益の上方修正や上場記念配当10円の実施を発表。2025年2月以降は製品の値上げを行っているため、来期2026年3月期の業績回復に期待できそうです。


     株価は上場前の公開価格1,880円を下回る1,490円で推移していますが、予想配当利回りも3.36%と高く、業績も安定推移しています。


    4. セコム(9735)

     最近は株式分割と同時に株主優待制度の新設を発表する企業も多く、セキュリティー会社の セコム(9735) もその1社です。


    3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
    株主優待検索 セコム

     同社は2024年9月30日を基準日として1株を2株にする株式分割を行いましたが、同時に株式分割後の100株以上の株主に対して株主優待制度を新設。


     2025年3月末からは3月末に100株保有で3,000円相当の防災備蓄品が贈呈されます。


     200株(投資金額約104万4,400円)保有だと7,000円相当の防災備蓄品が贈呈され、3年以上保有で8,500円相当に増額される継続保有優待も適用されます。


     同社の株を買っておけば、毎年1回防災備蓄品が贈られてくるので購入の手間も省け、賞味期限を気にすることなく防災備蓄品を確保できます。


     同社は特殊詐欺や闇バイトによる強盗事件など悪化が進む日本の治安を守るサービスを手掛けていることもあり、業績、株価ともに緩やかな右肩上がりが続いています。


     予想利回りは1.87%と低めですが、それは株価が上昇を続けているから。ここ数年は毎年2.5円ずつ増配を続けており、自己資本比率が60%近い高財務企業なので今後もさらなる株主還元策に期待できそうです。


    5. 三井不動産(8801)

      三井不動産(8801) も株式分割とともに株主優待制度の新設を発表した大手優良不動産会社です。


    3月優待ランキング:優待新設ラッシュ!株価も期待大な人気の優待銘柄
    株主優待検索 三井不動産

     同社は2024年3月31日を基準日に株式を3分割し、現在は100株を約13万1,900円で購入できます。


     初の優待実施となる今回2025年3月末は、100株を半年以上保有で同社の「三井ショッピングパークポイント」1,000ポイント(1,000円分)が贈呈されます。


     今回の優待取得条件は2024年9月末から半年継続保有なので、今、同社の株を新たに購入しても優待権利を取得できません。


     次回2026年3月末からは100株を1年以上継続保有が1,000ポイントの通常優待取得の条件になります。


    「三井ショッピングパークポイント」は同社が運営する「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」などの対象施設や三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall」などで利用可能です。


     同社は長期保有者優待制度も導入し、3回連続で通常の優待条件を満たした年には追加で1,000ポイント、5回連続で満たした年には追加で2,000ポイントが贈呈されます。


     通常の長期保有優遇制度とは少し違って、3回・5回連続で通常優待要件を満たした年のみの増額になりますが、株を長期保有する大きなモチベーションになるのは確かでしょう。


     同社は東京湾岸エリアの分譲タワーマンションの販売やホテル事業が好調で今期も増収増益予想。来期2026年3月期は賃料値上げでオフィス・商業ビルの収益が向上しそうです。


     ただ、日本銀行の追加利上げなどで国内金利が上昇。借入金の多い不動産業にとって金利の上昇は収益悪化につながりやすいため、2024年3月に1,709.5円の上場来高値をつけた株価は現在、1,319円まで調整下落しています。


     しかし、長期的な上昇トレンドは鮮明で、地価高騰により2024年3月期末時点で約3.3兆円の賃貸等不動産の含み益があるなど、株価は割安といえるでしょう。予想配当利回りも2.27%に達し、今後も安定的な増配に期待できそうです。


    上場維持などを目的に高額金券の優待新設が増加!

     東京証券取引所では現在、市場に流通して日々取引されている株式(「流通株式」といいます)の比率や時価総額が一定以上あることを上場維持の基準にしています。


     この基準を満たさないと1年間の改善期間を経て、監理・整理銘柄に指定され、原則6カ月後には上場廃止になってしまうため、流通株式の比率が低い企業が新たに株主優待制度を導入して個人株主を獲得しようとするケースが増えています。


     中には高額なQUOカードやデジタルギフトの金券系優待を導入して、株価が急騰している銘柄もあります。


     そうした銘柄の中には業績が低調だったり、株主配当が無配だったり、日々の売買高が少なく取引しづらかったりする銘柄もあるので注意が必要です。


     そんな中でも業績や業態面で安定性が高く、株価も上昇含みの銘柄を厳選しました。


    高額なQUOカードなど金券系優待を新設した3月優待銘柄!

    銘柄名 最低購入金額
    (100株) 配当利回り 優待内容 山形銀行
     (8344) 14万2,300円
    ※株主優待は200株から 3.16% 山形県内陸部が地盤の中堅地方銀行。3月末に200株(投資金額約28万4,600円)を1年以上継続保有でQUOカード2,000円分の優待を2025年2月3日に新設。今回2025年3月末の優待には継続保有の条件はない。同社にとって国内金利上昇は収益向上につながるため追い風。PBR(株価純資産倍率)0.33倍で株価は非常に割安。 日本エコシステム
     (9249) 45万4,500円
    ※株主優待は200株から 1.17% 中部地方で競輪など公営競技場の運営や道路の保守管理などを行う。3月・9月末に200株(投資金額約90万9,000円)保有で1万5,000円分のQUOカード優待を2024年3月末から実施。業績は非常に安定しており、株主配当もここ数年は毎年1円ずつの小幅増配が続く。 BBDイニシアティブ 
    (5259) 12万2,300円
    ※株主優待は500株から 無配 中小企業向けに営業支援クラウドサービスを展開。3月・9月末に500株(投資金額約61万1,500円)保有で2万円相当のデジタルギフト(PayPayマネーライトなどから選択)が贈呈される高額優待を2025年3月末から新設。9月末に関しては1年以上継続保有で3万円分など3年目までは毎年1万円ずつ増額される(最大3年以上で5万円分)。
    モバイルファクトリー
     (3912) 9万6,700円
    ※株主優待は1,000株から 4.14% 「駅メモ!」など位置情報系スマホゲームが主力のゲーム会社。3月・9月末に1,000株(投資金額約96万7,000円)を1年以上保有でデジタルギフト1万円分(Amazonギフトカードなど多数の種類から交換可能)が贈呈される株主優待制度を新設。2025年3月末までに株主になると1年後の2026年3月末の初回基準日に優待権利を取得できる。同社は今期大幅増配で1株当たり37円の株主配当も予定しており、予想配当利回りが4.14%に達している。 ※最低購入金額は2025年2月14日の終値で計算。
    ※配当利回りは2025年3月期の予想値

    (トウシル編集チーム)

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