この日のマーケットは、一転してドル売りが優勢に。151円台攻略に失敗したドル/円は…149円台まで押し流されました。

このドル安の理由は?


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは150.25下値メドは148.55円

軍事:トランプ政権はNATOとの緊密な関係を維持する必要。NATO離脱すれば軍事力で中国やロシアより劣勢に
利下げor利上げ:NY連銀総裁「FRBはどのようなリスクにも対応できる準備ができている」
ECB利下げ:ギリシャ中銀総裁「利下げの遅れはインフレ下振れリスクと予想以上の景気悪化を引き起こす」
FRB:ボウマン理事「米国はFRBが考えていた以上に中立金利に近づいている」
南ア:南アフリカの企業信頼感が20年ぶり高水準


前日の市況

 3月25日(火曜)のドル/円相場の終値は149.91円。前日終値比0.78円の「円高」だった。
2025年60営業日目は150.60円からスタートした後、東京時間昼前に前日の高値(150.76円)を超えて150.94円をつけた。


 しかし、151円台を目前に燃料切れとなると、その後はずるずると下げ続けた。未明には150円を下抜けて149.55円まで下落、この日の安値をつけた。前日の安値(149.37円)までは下がらなかった。24時間のレンジ幅は1.39円。


ドル/円151円失敗、149円台へ戻す
出所:楽天証券作成

 この日発表された米国の指標は一様に悪化した。3月の米消費者信頼感とフィラデルフィア連邦準備銀行景況感指数は共に4年ぶりの水準に落ち込んだ。トランプ大統領の関税政策は、とどのつまり輸入品に対する消費税増税である。将来の物価上昇を懸念して米消費者のセンチメントが後ろ向きになっている。


 格付け会社ムーディーズは、米国の財政状況が悪化の一途をたどっていると警告した。ドルと米国債が持つ強みが、財政赤字拡大と債務余裕度低下のマイナスを相殺し続けるという期待感は薄れてきたと述べた。

また、関税が長期的には成長を妨げ、歳入増の効果を希薄化してしまう点なども指摘している。


 ドル/円は「151円台の重さ」と「148円台の底堅さ」を確認して、週後半に向けてどちらに進むべきかを探る動きになるだろう。もっとも、相場のそのカギを握るのはトランプ大統領が4月2日導入予定の相互関税の具体的内容だ。


週中から週後半のドル/円 サポートとレジスタンス

短期:【円安】高値と安値の50%=148.93円


ドル/円151円失敗、149円台へ戻す
出所:楽天証券作成

レジスタンス:
152.31円    02/19
151.43円    02/20
151.31円    03/03
150.94円    03/25


サポート:
149.55円    03/25
149.37円    03/24
148.58円    03/21
148.18円    03/20


2025年 主要指標 終値

ドル/円151円失敗、149円台へ戻す
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今日の為替ウォーキング

今日の一言

分別過ぐれば、大事の合戦は成し難し - 黒田官兵衛
(あまり賢すぎると、深く考え過ぎたり用心し過ぎたりして、勝つチャンスを失ってしまう)


Sunshine Of Your Love

 4年前にFRB(米連邦準備制度理事会)は、新型コロナ後の「物価上昇は一過性である」という痛恨の判断ミスをして、インフレの大暴走を招いてしまった。


 リーマンショック以降、新型コロナ流行までの間、米国のインフレ率が3.0%を超えることはほとんどなかった。(米CPI(消費者物価指数)の推移グラフ参照)ところが、現在は3.0%を下回ることはほとんどない。インフレの方向は明らかだ。高止まりするか、上昇するかだ。


 FRBに課せられた、物価と成長という二つのマンデート(使命)でトレードオフするならば、今優先するべき課題はインフレである。FRBは、新型コロナ流行後のような不測の事態を絶対に招くわけにはいかないのだ。


 それなのに、今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)でパウエル議長は、関税による「インフレは一過性」との見解を開陳した。成長リスクを優先するために、FRBの信用失墜のリスクを冒してまで、インフレ抑制を犠牲にするということである。しかし、皮肉にもこのFRBのハト派姿勢が、結果として米国経済をより悪化させることになりかねない。


ドル/円151円失敗、149円台へ戻す
出所:楽天証券作成

今週の注目経済指標

ドル/円151円失敗、149円台へ戻す
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(荒地 潤)

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