6月25日のドル/円は、日銀委員の発言をきっかけに円高に動いたものの、海外市場では146円付近まで円安に戻した。しかし、構造的ドル安トレンドが再開する中で上昇も限られた。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは146.10円↓下値メドは144.45円トランプ大統領:保護主義者というよりも押し売り主義者
トランプ関税:世界GDPを1.5%押し下げ、中国製品が欧州を席巻
FRB:クリーブランド連銀総裁「政策金利はほぼ中立に戻った」
米利下げ:インフレが低下しても、利下げ余地ができるわけではない
スイスフラン:SNB「マイナス金利は選択肢の一つ」
前日の市況
6月25日(水曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.39円「円安」の145.27円。1日のレンジ幅は1.34円だった。

2025年126営業日目は144.84円からスタート。東京市場のドル円は下値が堅かった。タカ派として知られる日本銀行の田村直樹委員はこの日、「予想より早く物価目標を達成する可能性がある」との見解を示したことを受け、昼前に一時144.61円まで円高に動いた。
もっとも、日銀はトランプ関税の不確実性が消えるまでは、利上げに動く可能性は低い。日米関税交渉は7回目の協議に入るが、依然として自動車の関税率を巡っては隔たりが大きい。そのため円高の動きは限定的で、前日の安値(144.51円)に届く前に反転すると夜遅くには145.95円まで円安に戻した。
一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーが7月利下げの匂わせ発言をしているため、上値もまた重かった。パウエルFRB議長は、インフレが低下し、労働市場が軟化する状況になった場合、利下げ前倒しの可能性があるとの考えを示している。
レジスタンス:
148.65円 05/12
148.45円 05/13
148.03円 06/23
146.18円 06/24
145.95円 06/25
サポート:
144.60円 06/25
144.51円 06/24
144.33円 06/18
144.33円 06/17
143.65円 06/16
2025年 主要指標

今日の為替ウォーキング Together in Electric Dreams
今日の一言
自分の不運を嘆いたり、怒ったりするのではなく、目を見開いて、辛抱強く、すでに「手にしているもの」を探してみる
Together in Electric Dreams
トランプ大統領の関税政策は、米国経済にどのような影響を与えるのだろうか。市場の多くは、トランプ関税は米国のインフレを大幅に悪化させる要因だと捉えている。ところが意外にも、FRBはインフレへの影響はそれほど大きくないと予測する。
FRBは、トランプ関税の二つのシナリオを用意している。
【シナリオ1:高率関税(25%)継続】
FRBは、高率関税のインフレへの影響は一時的であり、来年の消費者物価指数(CPI)は1.5%から2.0%の上昇にとどまると予測している。インフレで需要後退が起きるが、競争圧力による価格抑制をもたらすため、インフレが著しく上昇することはないと考えている。
しかし、このシナリオでは、景気減速が深刻になり失業率が急上昇する可能性が高い。その場合、米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を、より早く、より大幅に引き下げることを検討するだろう。
【シナリオ2:低率関税(10%)妥結】
トランプ関税が低率でおさまった場合、インフレへの影響は大幅に小さくなる。FRBはCPIが最大で0.5%程度の上昇にとどまるだろうと予測している。関税による経済成長や雇用へのマイナス影響は避けられないものの、限定的な範囲にとどまる。インフレ期待は安定し、雇用や消費活動は継続する可能性が高い。
このシナリオでは、FOMCによる政策対応は限定的で済むと考えられる。昨年の予防的な政策金利引き下げにより、FRBには検討する時間が確保されており、政策の方向性が大きく変わる可能性は低いと考えている。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)