6月30日のドル/円は、144円台後半で円安が止まったあとは、143.78円まで円高に動いた。下げは限定的だったものの、144円台には売りが集まってきているようだ。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは144.60円↓下値メドは143.15円トランプ関税:アルミニウム関税は缶ビールの値段に転嫁される
ECB:シュナーベル理事「ECB利下げで欧州の構造的経済問題は解決できない」
トルコリラ:外貨準備高が過去最高水準に。リラ防衛の資金余裕
豪ドル:RBAの次の利下げは 8月。終着政策金利3.6%
FRB:クリーブランド連銀総裁「インフレが2%に下がるのか確信持てない
前日の市況
6月30日(月曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.66円「円高」の144.00円。1日のレンジ幅は0.98円だった。
2025年129営業日目は144.41円からスタート。トランプ大統領が「自動車関税25%の見直しはしない」と発言して対日貿易交渉の打ち切りを示唆したことでリスクオフの円高に振れる場面があった。しかし月末や四半期末のドル買い需要で買い戻されて東京時間昼前に144.76円をつけた。ただ前日の高値(144.95円)には届かなかった。その後は失速して夕方に前日の安値(144.17円)を抜けると143.78円まで円高に動いた。この日下げは限定的だったものの、144円台には売りが集まってきているようだ。
レジスタンス:
146.18円 06/24
145.95円 06/25
145.26円 06/26
144.95円 06/27
144.76円 06/30
サポート:
142.80円 06/13
142.52円 06/05
142.37円 06/03
142.11円 05/27
141.97円 04/29

ユーロ/ドルは8営業日連続で上昇を続け、1.1800ドルに迫る勢いだ。このユーロ高の背景には、トランプ関税がドルに対する信頼を低下させていることがある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、今月にも利下げをする可能性が高まっている。一方で欧州中央銀行(ECB)は、「インフレとの戦いは終わった」として利下げサイクルの終了を示唆している。
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Upside Down
今日の一言
交渉に対立はつきもの。最初からそういうものだと思っていればいい
Upside Down
米経済成長は止まるのか?米国経済に不穏な兆しが見えている。世界を圧倒する勢いで成長してきた米国経済を支えているのは、労働市場の強さと消費の底堅さ、利下げ期待、そしてAI開発の優位性である。しかし、最近になってこれら3つの柱がぐらつきはじめている。
米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの使命(デュアルマンデート)が法律によって付託されている。
労働市場はこれまでほぼ「完全雇用」の状態だったが、政府効率化省(DOGE)による政府機関職員の大量解雇や、トランプ関税の影響を受けやすい業種のレイオフが新たな下振れリスクとなっている。失業保険の継続件数は3年半ぶりの高水準まで上昇している。
消費動向を見ると、5月の小売売上高は前月比0.9%減と市場予想を下回り、2ヵ月連続で売上減少となり、5月の個人消費支出も、前月比0.1%減とマイナスに転じた。しかし、FRBはトランプ関税がインフレを悪化させるとの予測を持っているため、早期利下げには慎重である。
中国の新興企業がリリースしたDeepSeekやManusは、米国の人工知能(AI)の絶対的優位という楽観論に水を差すものであり、データセンターや半導体チップへの巨額投資見合ったリターンがあるのか疑問が出始めている。マイクロソフトは、世界各地でデータセンタープロジェクトから撤退を始めた。これはAIを動かす高性能サーバー群の計画について、同社がより厳しい見方をし始めたことを反映している。
トランプ大統領が、「MAGA(アメリカを再び偉大な国にする)」を実現しようとするなら、関税よりも、まずは減税や規制緩和などの政策を優先しなくてはならないはずだ。ところが、その順番が逆になっている。より悪いケースとしては、関税は引き上げたが減税は議会で否決される、あるいは減税による歳出が関税による歳入を遥かに上回ってしまうことも考えられる。
トランプ大統領は、パウエルFRB議長が利下げしないことを執拗に責め立てている。トランプ氏は、アメリカ経済が予想を超えて悪化した時に備えて、その責任をなすりつける人物を作り出そうとしているのだろう。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)