7月3日のドル/円は、米雇用統計の発表後にドル買いが急速に強まる中で、夜遅くに145.24円まで円安が進んだ。


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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 ドル/円 7月の相場を考える 」


今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは145.55下値メドは143.75円

中国投資:海外投資家は、中国株のエクスポージャーをさらに縮小
トランプ減税:控除額縮小を財源の一部に充てる考え
豪ドル:ブロックRBA総裁「市場は利下げを期待しすぎている。追加利下げは未定」
FRB:インフレが落ち着くまでは、利下げには慎重であるべき
日銀:政策金利の引き上げ目標は1.5%。「経済に引き締めの影響は認められない」


前日の市況

 7月3日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比1.25円「円安」の144.93円。1日のレンジ幅は1.79円だった。


一気に145円まで円安!6月米雇用統計の結果は?
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2025年132営業日目は143.69円からスタート。東京時間朝につけた143.44円がこの日の安値で、前日の安値(143.32円)には届かなかった。日米貿易交渉に悲観的見通しが強まる中で、日本銀行が当面金利を据え置く考えを示したことも、円高に動きにくい理由となった。


 この日発表された米6月雇用統計は堅調。トランプ関税の影響による労働市場の悪化懸念が和らぎ米国の利下げ期待は後退した。雇用統計発表後にドル買いが急速に強まる中で、夜遅くには6月26日の高値(145.26円)にほぼ並ぶ145.24円まで上昇した。


レジスタンス:
148.03円 06/23
146.18円 06/24
145.95円 06/25
145.26円 06/26
145.24円 07/03

サポート:
143.44円 07/03
143.32円 07/02
142.68円 07/01
142.52円 06/05
142.37円 06/03


2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング Born in the U.S.A.

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6月雇用統計レビュー

 6月の雇用統計は市場の懸念をよそに堅調な結果となった。非農業部門雇用者数(NFP)は15万人近くまで増えて予想を大きく上回り、失業率は4.1%まで低下して雇用環境が安定していることを示した。


 民間部門の雇用の伸び鈍化など、減速の兆候もないわけではないが、米連邦準備制度理事会(FRB)が今すぐに政策を変更する必要はなさそうだ。

FRBは引き続き、経済データの結果に基づいて政策を決定する「データ依存型」のアプローチを維持する。そして当面は雇用よりも物価の安定(インフレ)に政策をフォーカスしていくことになるだろう。


一気に145円まで円安!6月米雇用統計の結果は?
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 7月3日に発表された米労働省労働統計局(BLS)による2025年6月の雇用統計ではNFPは14.7万人増加して、市場予想の11.0万人増を大幅に上回る結果となった。5月の就業者数は当初発表の13.9万人から14.4万人に上方修正されたが、6月はさらにそれを上回る結果となった。


 失業率は4.1%で前月から0.1ポイント低下した。市場予想は4.3%だった。失業率の予想外の低下は、政府部門の雇用が7.3万人増と堅調だったおかげだ。ただその一方で民間部門の増加は7.4万人にとどまり2024年10月以来の低水準となった。時間当たり賃金の伸びは鈍化。前月比0.2%増、前年比3.7%増と前月(0.4%増、3.8%増)を下回った。


 6月雇用統計の実績は、FRBが利下げまでにもうしばらく様子見する時間ができたことを意味する。7月(今月)の米連邦公開市場委員会(FOMC)は据え置きが濃厚で、今年の利下げ予想も、3回から2回へ下がっている。


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今週の注目経済指標

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(荒地 潤)

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