2025年4-6月期の旗艦ブランドの低成長も通期業績を楽観
現地コード 銘柄名 02020安踏体育用品
(アンタ・スポーツ・プロダクツ)
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89.80HKD
(7/16現在)
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中国のスポーツ用品最大手、安踏体育用品の2025年4-6月期の小売販売額は2桁増を達成した。旗艦ブランド「安踏」が予想を下回る半面、「デサント」「コーロン(KOLON SPORT)」などのプレミアムブランドが引き続き好調。
部門別にみると、旗艦ブランド「安踏」、イタリア発「FILA」、「その他ブランド」(ジャックウルフスキンは含まず)の小売販売額伸び率は、4-6月期にそれぞれ前年同期比1桁台前半、1桁台半ば、50-55%。個別では、「安踏」が自社予想に届かず、BOCIはこれが投資家の懸念材料になる可能性を指摘している。業績への影響が懸念されるという。
経営陣は販売面で「安踏」の弱点への対策を行った。オフラインでは弱点とされるフランチャイズ加盟店の販売成績の改善に向け、「安踏冠軍(Anta Champion)」など新たな店舗形態の運営体験を共有。営業の一時停止が小売販売額に影響したが、店舗改装などの動きにつなげた。オンラインでは、大型ECセール「618」で競合ブランドによるプロモーションの強化に直面した経緯から、運営の円滑化につながるEC部門の組織改革を実施。こうした是正策を理由に経営陣は下期の「安踏」の業績改善に自信を見せている。
一方、「デサント」と「コーロン」は好調。
2025年通期の小売売上高伸び率に関する経営陣の目標は、「安踏」が1桁台後半、「FILA」が1桁台半ば、「デサント」「コーロン」が計30%超。BOCIは対処可能な範囲としながらも、全体の粗利益率と営業利益率の下振れリスクを指摘している。
BOCIは2025-27年の予想1株当たり利益(EPS)を8%、8%、6%減額修正した。ジャックウルフスキン買収による小幅のEPS希薄化や2025年の小売環境に関する慎重見通し、4-6月期業績の予想下押しとその是正策による影響を反映させた。引き続き2025年予想株価収益率(PER)20倍を当てはめ、目標株価を下方修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。業界最大手としての地位や成長性、自己資本利益率(ROE)を考慮すれば、現在のバリュエーションは相対的に低水準にあるとの見方だ。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、小売価格の値引き率の拡大、主力ブランドのセルスルー率(在庫販売率)悪化、予想外の費用増、予想を上回るペースの店舗閉鎖、スポーツイベントのスポンサーシップ契約変更などの可能性を挙げている。
(Bank of China int.)