<指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっちが優勢?~>
新NISAで中小型株!個人投資家が狙いそうな「出遅れ感のある割安株」13選
指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっちが優勢?~

8月の中小型株ハイライトは「サマーラリーの『脇役』扱い」

「夏枯れ相場」なんて言葉もある8月ですが、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)が再び史上最高値を更新。夏枯れではなく、「サマーラリー」が発動した今年の8月相場でした。史上最高値の更新にかけて、 ソフトバンクグループ(9984) を筆頭とするプライムの大型株が躍動。


 その陰に完全に隠れてしまった中小型株でしたが、それでもTOPIXスモール、スタンダード、マザーズの各指数は月間プラス。東証グロース250指数も4~8月まで5カ月連続で月間プラスとなっており、これは2012年8月~2013年5月(10カ月連続)以来です。


 このサマーラリーが意外だったのは、夏枯れイメージのあるお盆休みにかけて上昇が加速したことでした。お盆休み(夏休みシーズン)は参加者が減り、売買が減少する傾向があります。その時期に、東証プライム市場では売買代金6兆円超が連発しながら市場最高値を切り上げたわけですから、まさにうれしい誤算。


 そして、お盆休み明け直後をピークに株価は調整に転じ、売買代金も減少。世の中のお盆休みが終わってから、株式市場は遅ればせながらの夏休みといった感じになりました。


 今回のサマーラリーは、米雇用統計の大幅下ブレなど「景気減速懸念」の浮上が引き金になりました。これを「利下げ期待」に置き換え、株式市場が活気付いたことが背景。


 さらに、日米間の「関税リスク後退」とか、日本企業の第1四半期決算が「想定ほど悪くなかった」とか、自民党の中で高まった「石破茂首相への退陣要求」とか、月の前半に日本株上昇のカタリストが複合的に絡み合いました。


 前述の通りの「夏枯れ」意識と、決算発表シーズンでもあり、お盆休みもあるため、様子見ムードにより参加者も萎縮気味でした。そこに外国人投資家のビッグマネーが大型株に流れ込んだことで、大型株が中小型株のような上げっぷりに。


 そして、「なんでこんなに上がるの?」でつくられるショート(空売り)のポジションを、その外国人による爆買いが飲み込み、踏み上げ相場の様相になりました。


 踏み上げは、指数でいえば日経平均で発生するもので、無縁のスタンダードやグロース市場は史上最高値の地合いにおいて脇役でした。日経平均株価やTOPIXが終値ベースの最高値を付けたのは8月18日で、その後は買い戻しも一巡。


 ソフトバンクGや サンリオ(8136) など上昇率の高かった銘柄からアンワインドで大きな調整となった月後半は、ジャクソンホールでのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演待ち、米 エヌビディア(NVDA) 決算待ち、自民党による参院選の総括待ち…とイベントを前に様子見ムードを強めていきました。


 大型のモメンタム株の値動きが悪くなり、決算発表も終わった個別株の材料も減少します。そこで個人投資家の一角で、悪ノリのような低位株物色が目立ち始め、それが「夏祭り」のような状態にまで発展。低位株というのは、明確な定義はありませんが、株価が3ケタの「安い株」。 NTT(9432) や ソフトバンク(9434) など超大型の低位株は稀少で、ほとんどの低位株は超小型株です。


 手詰まり感の強まるタイミングで、物色の質など無視した低位株物色は起こるもの。それが月後半にかけて進んだことは、各市場の「売買単価」を見ると分かります。売買単価というのは、「(平均的に)1株いくらの株が売買されているか」を数値化した指標です。市場全体の売買代金を、売買高で割ることで算出できます。


新NISAで中小型株!個人投資家が狙いそうな「出遅れ感のある割安株」13選
グロース/スタンダード市場の売買単価のグラフ

 超小型株の中で、ビットコインを買うとか、ビットコインを買おうと思ってるとか…その手の発表をした銘柄に対し、「(なり得ないでしょうが)第2のメタプラネットになるかも?」的な思惑で急騰する事例も複数ありました。


 盛り上がった低位株でいえば、スタンダード市場では 堀田丸正(8105) 、 エス・サイエンス(5721) 、 CAICA DIGITAL(2315) 、 京都きもの友禅ホールディングス(7615) など、グロース市場では コンヴァノ(6574) 、 AppBank(6177) などが大乱舞。


 ただ、信用取引を使った個人投資家の買いでつくられる相場。東証による信用規制(増担保規制)が発動し、一気に冷え込む銘柄も相次ぎました。


新NISAで中小型株!今月の銘柄アイデアは…

「攻守交代! 個人マネー出動」


 4月から始まる2025年度は、8月まで5カ月連続で主要指数(日経平均、TOPIX、スタンダード指数、グロース指数)の全てが月間プラスを記録する異例の好地合いとなっています。


 このまま9月も月間プラスとなり、2025年度の上半期を月間「全勝」で通過するなんて、展開はあるのでしょうか? ちなみに、月間全勝で半期を通過した場合、TOPIXでいえば2012年10月~2013年3月の超絶地合い「アベノミクス相場」以来となります。


 その9月相場ですが、開始直後に地合いは悪化しました。欧米の長期金利上昇を嫌い、8月まで上昇した反動も相まってハイテクグロース株が劣勢に。金利が上がると、バリュエーションの高い株が嫌われるのは道理。


 とくに、 三菱重工業(7011) や アシックス(7936) などこれまでの上昇率が高かった銘柄は、アンワインド(巻き戻し)の動きも加わって露骨な調整となっています。外国人買いが入っていた時期に爆上げしていた銘柄ですので、これらは外国人が買っていた銘柄ともいえます。


 その外国人が8月下旬からいったん売り手に回っている中、利益確定売りの力が強くかかる銘柄と考えられます。


 一方で、9月に入ってからも、8月の流れそのままに、ゆっくり上値を切り上げている銘柄もあります。そうした銘柄は、需給サイドでいえる理屈としては、外国人が集中的に買っていたような銘柄ではなかった銘柄といったところでしょうか。


 プライム市場でいえば、紙・パルプ、建設、機械などの予想株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が低い「割安株」に9月も高値更新を続ける銘柄が多くなっています。また、9月に入り、株安、債券安、円安のトリプル安になったこともあり、安全な方へ資金を避難する動きも見られます。


 さて、そんな9月ですが、4月から8月まで5カ月連続で各指数が月間プラス。9月も月間プラスでいけるか?は、外国人投資家が9月も買い越し基調であってくれるかどうか?に委ねられてはいます。ただ、外国人が売りに回った場合でも、次の買い手として浮上することが確実な「個人投資家」に注目したいところ。


 東証が公表する投資部門別売買状況によると、個人投資家は5月以降に大幅売り越しとなっていることが分かります。外国人が買い越しを続けながら8月に最高値を更新する過程で、個人投資家は一貫して「利益確定売り」に回っていたということ。持っていた株は猛烈な勢いで現金化され、手元には動かせる現金が過去最大級にある状態と考えられます。


【個人投資家】月間売買状況

差引、単位:億円


  プライム スタンダード グロース 4月 -14 82 114 5月 -11,779 -368 198 6月 -6,869 -427 630 7月 -14,348 -255 520 8月 -11,448 -174 223 ※データ出所:JPXホームページ

 力を付けた個人投資家の押し目買いにより、日本株の下値を支える構図がここから想定されるところ。その際の投資先としては、個人投資家の趣向的に「出遅れ感のある割安株」に向かうと予想されます。

また、9月は3月決算企業の中間配当のタイミング。配当利回りで見た割安感も重要な判断材料になりそうです。


 今回は、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の成長投資枠にもおすすめの9月中間配当株を、中小型株に絞ってスクリーニングしてみます。対象は東証スタンダード、グロース銘柄。


 年初来パフォーマンスでTOPIXに負けていること(=出遅れ感)、予想PERが低く、配当利回りが高いこと(割安感)としました。厳しめのスクリーニング条件とした結果、時価総額100億円以上で抽出されたのは…スタンダード市場に上場する以下の13銘柄だけ!


出遅れ感&割安感&9月中間配当も魅力の中小型株

【条件】
(1)スタンダード、グロース上場
(2)3月決算企業(中間配当あり)
(3)出遅れ(年初来騰落率がTOPIXの10.6%以下)
(4)割安(予想PER12倍以下、配当利回り3%以上)
(5)今期が最終増益予想
(6)時価総額100億円以上
※9月5日時点、時価総額大きい順


コード 銘柄名 予想PER
(倍) 予想配当
利回り 287A 黒田G 9.5 6.7% 5013 ユシロ 7.1 4.2% 6144 西部電機 11.3 3.9% 8704 トレイダーズHD 5.6 3.6% 7570 橋本総業HD 8.7 3.8% 9994 やまや 7.2 3.1% 9908 日本電計 7.7 4.3% 4783 NCD 11.1 4.5% 3891 ニッポン高度紙工業 11.8 3.4% 3951 朝日印刷 10.6 4.2% 9857 英和 7.6 3.4% 7927 ムトー精工 7.4 5.3% 6322 タクミナ 9.0 3.1%

(岡村 友哉)

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