六福集団と周六福の既存店売上高がそろって改善、海外展開を加速へ

 宝飾品銘柄2社、六福集団(00590)と周六福珠宝(06168)はこのほど、相次いで投資家説明会を開催。金価格の高騰が続く中、両社ともに既存店売上高がここ数カ月、改善傾向にあることを明らかにした。

また両社そろって店舗網の最適化を進めると同時に、海外での店舗展開を強化しており、BOCIはこうした動きが小売業界の最新トレンドと合致しているとの見方だ。


 卸売主導という旧来型の拡大モデルがもはや通用しない中、「感情的価値」の提供や市場シェアの拡大を実現するためにも、ブランディング、マーケティングの差別化が重要性を増しているとした。


 また、最近の金価格の高騰を背景に、宝飾品各社の利益が2025年7-9月期から10-12月期にかけ、さらに力強く推移すると予想。個別では、金価格の変動に対する感応度が最も高い六福集団を有力視している。


 投資家説明会を開催した2社のうち、六福集団の業務指標はよりポジティブ。2026年度第1四半期(4-6月期)の既存店売上高は前年同期比5%の伸びを示した。内訳は香港・マカオが3%増、中国本土が19%増。固定価格設定の金製品の力強い需要と人気俳優チェンイーのブランドアンバサダーへの起用で、7-8月には既存店売上伸び率が加速した。


 六福集団の新コレクション「ダイアブリング」はダイヤモンドを埋め込んだ固定価格の金ジュエリーラインであり、需要は堅調。売上高は1-3月期に13-14%増加し、4-6月期もこの勢いが続いた。固定価格製品は重量ベースの金製品より粗利益率が10-20ポイント高く、全体の粗利益率の向上に寄与する可能性が高い。


 六福集団はこの先、海外市場に注力する方針。

向こう3年間に海外50店舗の純増を予定する(2025年中に20店舗)。海外店舗の業績は香港・マカオに近く、月平均の売上高は数百万元規模と、中国本土の店舗を大きく上回るという。


 六福集団はまた、金高騰に伴う収益性の改善を見込む。2025年3月通期には金関連のヘッジ損失4億9,300万HKドルを計上しており、2026年3月期もその影響が残る見込み。ただ、経営陣は既存店売上高の改善により、純利益率と自己資本利益率(ROE)が前年から大きく改善し、再び2桁台(過去の平均値)に乗るとみている。


 一方の周六福珠宝は2004年創業の急成長中の宝飾品会社(深セン市本社)。2017-23年の店舗数で中国トップ5にランクインした(フロスト&サリバン調べ)。2025年1-6月期にはネット通販(34%増収)のけん引で、売上高が前年同期比5.2%増、純利益は11.9%増と、同業銘柄を上回る好業績。人気IPとのコラボや金価格の上昇を背景に、固定価格製品の売上高が44.4%伸びた。


 周六福珠宝はブランド力の強化に向け、国内の高級ショッピングセンターへの出店を進める。カンボジア、ラオス、タイにある海外店舗の売上高は国内を上回る水準にあり、競争環境も緩やか。今後は海外基盤の拡大を進める方針を明らかにしている。


(Bank of China int.)

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