新型コロナ禍にJALが実施した、フライト自体を目的とする「どこにも行かない」チャーター便。国内航空会社でも実施されていますが、その強みはどこにあるのでしょうか。

そして今後について、企画担当者からファンにはうれしい話も聞けました。

「海外に行ったような気持ち」になれるような「こだわり」

 新型コロナウイルスの影響で国際線の需要低迷が続くなか、国内航空会社で広がっているのが、フライト自体を目的とした「どこにも行かない」遊覧チャーター便の運航です。JAL(日本航空)が2020年9月26日(土)に実施した、成田発成田行き「空たび 星空フライト」のこだわりは「夕焼け」「夜景」と「飛行時間」でした。

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JALが実施した「空たび 星空フライト」の様子(2020年9月26日、乗りものニュース編集部撮影)。

「空たび 星空フライト」は、国内線仕様機と比べると一般的に豪華な設備である国際線用の飛行機が選ばれました。「海外に行ったような気持ち」になってもらうことが狙いといいます。

同社のなかでコロナ禍の5月頃から構想されていたとJALの企画担当者は話します。

 当日使用した飛行機は、平時はホノルル(米ハワイ)、コナ(同)、バンクーバー(カナダ)線などで使われている国際線用のボーイング767-300ER型機(機番:JA617J)です。機内はホノルル線をイメージし、機内食なども同路線で提供されるものをアレンジしたものが出されます。

 成田空港の出発は16時頃。離陸後は西に向かい小松(石川県)の上空で南西の四国方面へ進路を取り、土佐清水(高知県)で折り返し、成田へ戻ります。到着は20時頃を予定しており、機内で夕焼けと夜景が楽しめます。

ちなみに航路を見るとハート形になっているのも特徴です。

 JALの企画担当者はこのフライトプランの意図について「国際線に乗っていて最もワクワクする時間のひとつは、空の色の移り変わりです。また成田空港であれば、夜景も魅力のひとつなので、そういったところが楽しめるよう企画しました」としています。

今後はどうなる? JALの「どこにも行かない」フライト

 今回の「空たび 星空フライト」は、先述のとおり16時頃に出発し、夜20時に到着します。このスケジュールは、2時間以内が多い国内航空会社の遊覧チャーターのなかでは異色の長さです。これについて企画担当者は「国際線気分を味わい、機内食をゆっくりと召し上がっていただきながら、飽きない時間を模索した結果」としています。

 そしてこのフライト自体を目的とした「どこにも行かない」遊覧チャーター便は、企画担当者によると1回きりでは終わらないとも。「具体的な内容はまだ言えない」としながらも、内容などを大幅に変え、今後も継続していく方針を明らかにしています。

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JALが実施した「空たび 星空フライト」の様子(2020年9月26日、乗りものニュース編集部撮影)。

 今回使用されたボーイング767-300ER型機は、ビジネスクラス24席、エコノミークラス175席、計199席を配していますが、今回の搭乗者数は幼児含め94人でした(先着順で受付され即日完売)。最大搭乗人数の半分程度となった今回の便ですが、これも「くつろいでいただけるよう模索した結果」で、「今回の経験をもとに、今後はお客様の数を増やした遊覧フライトも企画できれば」と担当者は話します。

 この日の搭乗記念品は搭乗証明書やアメニティセットなどのほか、整備士が手作りした、機体の端材を使ったキーホルダーも配られています。

「星空フライト」の名にちなみ、「JL1146(いい夜)」便と名付けられたこのチャーター便は、約80人のJALグループのスタッフ、貨物コンテナに描かれた「いってらっしゃい」の文字、横断幕で盛大に見送られています。