山形新幹線が進化に動き出しています。福島駅に「アプローチ線」を設ける改良工事がいよいよ始まる予定で、その効果は山形新幹線のみならず、JR東日本関係の新幹線全体の安定性向上に寄与しそうです。
山形新幹線が進化に動き出しています。
2021年3月2日(火)の福島民報によると、福島駅にて「アプローチ線」新設工事が4月に着手されるとのこと。
山形新幹線「つばさ」(画像:写真AC)。
現在、山形新幹線「つばさ」と東北新幹線「やまびこ」は、福島駅で連結、切り離しを行っていますが、連結を行う東京行き上り「やまびこ」は、その際、東北新幹線の下り線を2回も平面交差せねばなりません。
つまり、高速走行する東北新幹線下り列車の隙間を縫って、その線路を2回も横断し、上り「つばさ」と「やまびこ」を連結しないとならないため、ダイヤ設定の柔軟性が低く、遅延発生時には復旧までの時間が長くなる要因になります。
福島駅の「アプローチ線」は、この2回の平面交差を解消するもの。東北新幹線の下り線とは無関係に上り「つばさ」と「やまびこ」の連結が可能になり、ダイヤ復旧時間の短縮が効果として期待できます。またこれにより、福島駅で下り「つばさ」と上り「つばさ」の同時発着もできるようになります。
広範囲へ波及しやすい新幹線運行状況新幹線の東京~大宮間は、山形新幹線のほか北陸新幹線、上越新幹線など、様々な方面への列車が同じ線路を共有。この区間から他線区へ、各新幹線の遅れが波及する可能性があります。
そのため、遅延対策の強化である「アプローチ線」新設による福島駅の改良は、JR東日本関係の新幹線全体の安定性を高めるもの、ともいえるでしょう。今後、北陸新幹線の敦賀延伸、北海道新幹線の札幌延伸も予定されているなか、局所的な改良ではありますが、その効果は広いかもしれません。

新設される福島駅のアプローチ線(画像:JR東日本)。
2021年4月に工事が始まる予定である福島駅「アプローチ線」は、2026年度末の使用開始が目指されています。
なお、盛岡駅でも「こまち」と「はやぶさ」が連結と切り離しを行っていますが、東北新幹線下り線の横断は上り「こまち」が1回すればいい線路の接続(配線)で、福島駅と異なるなどの理由から、特に大きな問題とはされていないようです。