ウィラーがオンデマンド型の新モビリティサービス「mobi」の本格展開を発表しました。「2km圏内の移動」に特化し、スマホで呼べば10分以内に車両が来ることを保証するそう。
ウィラーが2021年3月9日(火)、「MaaS Meeting 2021」と題したカンファレンスを京都府のけいはんなプラザで開催、そのなかで村瀬茂高(瀬の字は異体字)社長が、新サービス「mobi」の構想を明らかにしました。
「mobi」は、スマートフォンアプリなどで配車する、いわゆるオンデマンド交通のサービス。コロナ禍により通勤などの移動が減り、自宅周辺での移動が増えていることに着目し、「自宅から2km圏内の移動」に特化したものだといいます。村瀬社長は次のような特徴を挙げます。
京都府京丹後市で実証実験を行う「mobi」の車両イメージ(画像:ウィラー)。
・呼べば10分で迎えに来る
スマートフォンなどで乗車を申し込めば、天候によらず、自宅まで10分以内に迎えに行くとのこと。高齢者の利用も想定し電話予約も対応するそうです。
・運賃は「サブスク」
たとえば家族の代表を本会員として月額5000円などに設定し、同居家族は会員として1人増えるごとに500円増、といった料金プランを想定しているとのこと。1回ごとの移動コストが出控えの要因になるのを避け、家族の移動を促進する狙いだといいます。
・顔なじみの「マイドライバー」
1エリアにつき2~5台の体制で運行。利用者とドライバーが顔なじみになることで、地域の見守りにつなげるそうです。
・エリア内の全ての移動ニーズを集積・効率化
一般利用者だけでなく、法人やデリバリーの利用も想定。たとえばホテルや塾の送迎もmobiが引き受けることで、コスト削減につなげられ、その事業者の商品にサービスとして付加できるといいます。
・公共交通との連携でシームレスな移動
アプリ上でmobiと公共交通を組み合わせた複合的なルート検索を可能とし、ストレスない連携を実現。移動が2km圏内を超える場合、タクシーも配車可能にするということです。
狙いは「地域の移動総量を増やす」村瀬社長はmobiを立ち上げる背景について、次のように話します。
「テレワークの普及により、長い人で2時間かかっていた通勤時間が、手元に戻ってきています。住むところも、必ずしも通勤の便利なところではなくてよくなりました。その2時間をいかに有効に使うか、そして自宅周辺の移動が増えたという変化、ここにビジネスの機会があるのではないかと考えました」
自宅から2km圏内の移動では、「マイカーのチョイ乗り、自転車、徒歩のどれか」であり、路線バスやタクシーを使う人は少ないと考えられ、ここの移動を変えるのが重要だと村瀬社長は話します。mobiにより地域の移動総量を増やし、地域の活性化につなげるのが狙いだそうです。
「ライバルはマイカーのチョイ乗りと自転車です。どちらも、思い立ったらすぐ乗れます。

「mobi」の構想を語る村瀬社長(画像:ウィラー)。
利用者にとっては、マイカーを所有しなくても暮らせるようになるだけでなく、「(コロナが収束し)2024年くらいに人々の移動量が戻ると、コロナ前よりも深刻な運転手不足になることが想定されます」と言い、法人にとってもメリットがあると村瀬社長は胸を張ります。
「交通は移動の『ツール』として考えられてきましたが、今後は、交通が街に新たな『文化』をつくることが要求されるのでは」。このような思いで、前出した5つの特徴を打ち出したということです。
mobiのサービスは3月から京都府北部の京丹後市で実証実験を開始。5月からは、京丹後市と東京都の豊島区、渋谷区でサービス開始を目指すといいます。また、これに向け地域のサービスプランニングと運営を担う「地域オペレータ」も募集するとのこと。たとえば「渋谷mobi」など地域名、あるいは「〇〇mobi」と企業名を冠しての展開も想定しているそうです。
村瀬社長は「さまざまな事業とのサービス連携を想定しています。興味がある方はどんどんお声掛けを」と呼び掛けました。