JR常磐線の各駅停車しか止まらない、東京都葛飾区の亀有駅。この駅付近を通る予定の鉄道新路線計画が複数存在しており、将来、乗換駅として存在感を高めてくるかもしれません。

ただ、実現可能性は未知数です。

亀有駅から北のほうへ

 マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる、東京都葛飾区の亀有。将来、その亀有駅は「鉄道の乗り換え」で存在感を高めるかもしれません。

 現在、亀有駅には東京メトロ千代田線に直通するJR常磐線の各駅停車しか停まりませんが、新しい鉄道路線の計画、構想があります。

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亀有駅(画像:写真AC)。

 まず亀有駅から北に向けて、足立区の東部、つくばエクスプレスの八潮駅(埼玉県八潮市)、JR武蔵野線の越谷レイクタウン駅(埼玉県越谷市)を経由し、東武野田線の野田市駅(千葉県野田市)までを鉄道で結ぶ構想が存在。

さらに野田市から利根川を越え、茨城県坂東市方面へ延伸する案もあります。

 これは、東京8号線(東京メトロ有楽町線)の延伸計画として存在するものです。

南西側から延びてくる東京8号線 亀有駅に届くか?

 その東京8号線(東京メトロ有楽町線)は亀有駅まで、南西側から延びてきます。

 有楽町線の豊洲駅(東京都江東区)から北へ向かい、住吉駅(東京都江東区)で東京メトロ半蔵門線に合流。押上駅(東京都墨田区)から四ツ木(東京都葛飾区)を経由し亀有駅へ到達する、というもの。

 しかしこの構想は、2016年に国土交通省の交通政策審議会が出した答申では「事業性に課題あり」とされており、実現性は未知数です。

東京・葛飾の「亀有」は将来「鉄道の乗り換え」で有名になる?

2021年2月に運転を開始した有楽町線の最新車両17000系(2020年8月、恵 知仁撮影)。

 ただ、このうち豊洲~住吉間については、同じ答申で「事業化に向けて合意形成を進めるべき」とされ、2021年1月には、小池都知事がその延伸を東京メトロが主体となり実施することを赤羽国交相に要望。東京8号線の延伸に関し、実現の可能性がもっとも高い区間といえます。

 また、八潮~野田市間を先行開業させ、八潮駅でつくばエクスプレスに直通、もしくは乗り換えする構想を推進する取り組みも、都心直結の鉄道路線を持たない野田市で行われています。

「7」+「8」で羽田空港直結の可能性も

 亀有駅には、南東側と西側への鉄道路線構想もあります。「メトロセブン」と呼ばれている路線で、亀有駅のすぐ東側にある環七通りの地下を走行。

亀有駅や西新井駅(東京都足立区)、青砥駅(東京都葛飾区)などを経由し、JR赤羽駅(東京都北区)とJR葛西臨海公園駅(東京都江戸川区)を結びます。

 また「メトロセブン」は、JR赤羽駅から環八通りの地下などを通る鉄道路線構想「エイトライナー」と連携する構想も存在。両方が開業すれば、東急田園調布駅(東京都大田区)、東急二子玉川駅(東京都世田谷区)、JR荻窪駅(東京都杉並区)、JR赤羽駅、そしてJR亀有駅などを経由して、東京をぐるっと囲む路線が羽田空港~葛西臨海公園間へ誕生することになります(羽田空港方面は東急と京急が直通する「新空港線(蒲蒲線)」計画を踏まえ検討)。

東京・葛飾の「亀有」は将来「鉄道の乗り換え」で有名になる?

東急多摩川線と京急空港線をつなげる「新空港線(蒲蒲線)」構想(画像:大田区)。

 ただ「メトロセブン」「エイトライナー」の構想は、先述の答申で「事業性に課題がある」「高額な事業費が課題になる」とされており、実現性は未知数です。

 亀有駅に関連する新路線として、実現性がもっとも高いのは亀有駅に到達しない豊洲~住吉間。

コロナ禍による影響も考えられるなか、亀有駅の鉄道路線は現在と変わらない可能性もありうるのですが、はたしてどうなるでしょうか。