「運賃が高い」とされる北総鉄道が、値下げの可能性について検討すると発表しました。はたしてどれほど高いのか比較してみたところ、JRの2~3倍になる区間もありました。

なぜ高額なのでしょうか。

京成グループの北総鉄道

「運賃が高い」とされる千葉県の北総鉄道が2021年6月23日(水)、運賃値下げの可能性について、検討に着手すると発表しました。

 北総鉄道は京成グループで、区間は京成高砂~印旛日本医大間の32.3km。京成成田スカイアクセス線のルートになっており、成田空港方面と都営浅草線・京急線・羽田空港方面を結ぶ列車が走ります。

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左が北総鉄道の7300形電車(2018年6月、草町義和撮影)。

 さてこの北総線、はたしてどれくらい高いのでしょうか(以下、運賃はICカードではなくきっぷのもの)。

 まず、初乗り運賃について。

 3kmまでの乗車で、JR東日本の東京エリア(電車特定区間。以下同)は140円、京成電鉄(成田空港線・千原線を除く。以下同)も140円。対し北総線は210円です。高いといえば高いですが、りんかい線も210円であるなど、特別に高いという運賃ではありません。

 注目は、この先です。

小刻みにドンドン上昇 北総線の運賃を京浜東北線に当てはめると…

 北総線の初乗り運賃は3kmまで210円ですが、その先は5kmまで310円、7kmまで380円、9kmまで450円、11kmまで520円、14kmまで580円、17kmまで650円、20kmまで700円、23kmまで750円、26kmまで780円、29kmまで810円、それ以上は840円と、小刻みにドンドン上がっていくのです。

運賃値下げ検討で注目の北総線 どれほど高いの? 東京~品川380円・蒲田650円!?

北総鉄道の7500形電車(恵 知仁撮影)。

 具体的な駅名でいうと、東京駅からJR京浜東北・根岸線に乗った場合、北総線の運賃では次の金額になります(カッコ内は実際のJR運賃)。

新橋駅まで:210円(140円)
田町駅まで:310円(160円)
品川駅まで:380円(170円)
大井町駅まで:520円(170円)
大森駅まで:580円(220円)
蒲田駅まで:650円(220円)
川崎駅まで:700円(310円)
鶴見駅まで:750円(400円)
新子安駅まで:780円(400円)
横浜駅まで:810円(480円)
桜木町駅まで:840円(570円)

 北総線の運賃は、初乗りはそれほどではなくとも、7kmから20kmぐらいの乗車ではJRの2倍から3倍と、特に高い金額になるのです。

なぜ高額な運賃に? より割高に感じてしまう環境も

 北総線の運賃が高額な理由としては、建設費用が高くなったこと(1979年に開業)、沿線の千葉ニュータウンの開発が計画通りに進まず、利用者が少なくなったことが挙げられます。

 また北総線は、京成高砂駅から京成線、都営地下鉄線に直通して都心に向かう運行形態であるため、その都度運賃が加算され、より割高に感じてしまうという環境もあります。

運賃値下げ検討で注目の北総線 どれほど高いの? 東京~品川380円・蒲田650円!?

北総鉄道が管理する9100形電車「C-flyer」(2020年、恵 知仁撮影)。

 こうした北総鉄道でしたが、累積損失を2022年度中に解消できる見込みになったことから今回、「運賃値下げの可能性について検討着手」という発表を行いました。

 都心にも成田空港にも羽田空港にも直通という利便性を持つ北総線。運賃値下げが実現すれば、沿線人口や利用者の増加につながるかもしれません。千葉県の熊谷知事も、他社の運賃体系に近づくような値下げを働きかけるとしています。

 ちなみに、北総線と同様に高いとされる運賃水準の鉄道が、同じ千葉県内にあります。西船橋~東葉勝田台間16.2kmを結ぶ、1996(平成8)年開業の東葉高速鉄道です。17kmまで北総線は650円で、東葉高速線は640円。高額の工事費がその理由とされています。

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