施設の長い通路などに設置されている動く歩道。エスカレーターは「立ち止まって乗る」ことが呼び掛けられていますが、動く歩道はどう利用されているのでしょうか。

アンケートからは、周知や運用がバラバラな実態が明らかになりました。

歩く人7割 「歩け」といわれた時代も?

 エスカレーターの乗り方はしばしば話題になりますが、同じく移動を補助する乗りものとして、主に水平に移動する「動く歩道」があります。「乗りものニュース」では2021年9月3日(金)から9月6日(月)にかけて、動く歩道の利用に関するアンケートを実施。777人から回答が集まりました。

 どのように乗るか質問したところ、「歩いて」が70.7%、「立ち止まって」が24.8%、「動く歩道を利用したことがない」が4.5%でした。多数派の「歩いて」と答えた人からは、次のような理由が聞かれました。

「動く歩道」歩く?立ち止まる? 実際どう乗っているか聞いた ...の画像はこちら >>

羽田空港内の「ターミナル連絡通路」は約400m。動く歩道が設置されている(2019年11月、乗りものニュース編集部撮影)。

・そういうものだと思うから(全世代で多数)
・“動く”歩道だから(全世代で多数)
・歩いた方が早く移動できるから(全世代で多数)
・ほかの人が歩いているから(45~49歳、男性など複数)
・場所によって異なるが、歩くことを音声で推奨しているところが多いから(20~24歳、男性など複数)
・エスカレーターとは異なり平面であるため、危険ではないと判断しているため(25~29歳、男性など複数)
・動きが遅く、エスカレーターの時には感じない劣等感があるから(45~49歳、男性)
・立ち止まって利用するような案内を見たことがない(25~29歳、女性)
・昔はアナウンスで「立ち止まらないでください」と呼びかけられていた(50~54歳、男性)

 動く歩道はエスカレーターのように乗り方があまり周知されておらず、「歩いて利用するものだ」と思っている人が多い結果に。また、時期や場所によっては「歩くこと」を推奨していた例もあるようです。

協会「立ち止まって利用して」

「立ち止まって」を選択した人の理由は以下の通りです。

・止まった方が安全だから(全世代で多数)
・楽したいから(全世代で多数)
・本来は立ち止まって利用するものだから(40~44歳、男性など複数)
・本来は歩行が困難な方にも利用しやすくするためのバリアフリー設備なので、歩くと転倒して怪我させる危険があると思うから(40~44歳、男性)
・足元が不安定であるとともに、降りたときに慣性が働いてバランスを崩しやすいから(35~39歳、男性)
・足が悪いので(50~54歳、女性)
・スマホを見ていても、歩きスマホにならずに移動できる(~19歳、男性)
・歩かなくても済むようにあると思うから(60~64歳、男性)

 安全だからという意見に加え、一時休憩場所のように楽して移動できるといった意見も多く見受けられました。

 なお「乗りものニュース」では同時に、エスカレーターの乗り方についてもアンケートを行っており、回答者がエスカレーターと動く歩道で乗り方を変えるかどうかを集計しました。結果は、エスカレーターで「立ち止まる」と回答した人の64.6%が動く歩道では「歩く」と回答。その逆、エスカレーターで「歩く」と回答した人のうち動く歩道で「立ち止まる」と回答した人は、わずか3.2%でした。

 一般社団法人 日本エレベーター協会によると、動く歩道は安全上の理由から、ハンドレールをつかんで立ち止まることを前提にしているといいます。歩くことを推奨している例がある点について聞いたところ、設置後の運用は各施設側の判断にゆだねられるとしつつ、大型商業施設や空港などでは人流をさばくことを目的としている場合もあるだろうとしています。

 また日本エレベーター協会は、動く歩道には傾斜移動(斜度15度以下)するタイプもあり、転倒防止の観点からも立ち止まって利用してほしいといいます。

■アンケート実施概要
・調査期間:2021年9月3日17時から9月6日14時まで
・調査方法:Questantのシステムを利用して調査
・対象:「乗りものニュース」のSNS(Twitter、Facebook)のフォロワーなど
・有効回答数:777

編集部おすすめ