京王バスが渋谷~新宿~新橋という、山手線内を横断する新路線を水素バスで運行します。ルートは観光要素もバッチリ。

ただし山手線内は急行運転で、東京駅前も通るものの停まらないのは、なぜなのでしょうか。

都営バスも通らないルートで新宿以東は急行運転

 山手線の西側を主たるエリアとする京王バスが2021年10月1日(金)から、山手線内を横断する渋谷~新宿~新橋の新路線を開設します。

京王バス“山手線横断”の新路線「渋谷~新宿~新橋」登場 東京...の画像はこちら >>

京王バスが新路線で使用する燃料電池バス「SORA」(画像:京王バス)。

 渋谷駅を発車したバスは、代々木公園の西側を通って新宿駅西口へ、そこから新宿御苑前駅へ向かいます。ここまでは、京王バスの既存路線や、同社が運行する新宿区のコミュニティバス「WEバス」のルートです。

 新宿御苑前駅からは、四谷一丁目に停車したのち、都営バスもルートにしていない皇居内の代官小路を通って、大手町(グランキューブ)に停車、その後は東京駅前を通過し、山手線をさらに越えて銀座・築地経由で新橋駅の東側に停車します。

復路は、外堀通りを経由して四谷一丁目に向かい、新宿御苑周辺でも往路とは別ルートを取りつつ、渋谷へ戻るというものです。

 京王バスの親会社である京王電鉄バスによると、路線距離は渋谷→新橋が17km、新橋→渋谷が13.8km。水素を使う燃料電池バス「SORA」にて、1日3往復の運行です。それでいて大人運賃は210円(現金・ICとも)と通常の路線バスと変わりません。

 路線開設の背景を、京王電鉄バスに聞きました。

観光路線? 数十年ぶりの山手線横断

 京王電鉄バスによると、路線開設の目的は「渋谷、新橋、四谷、大手町、新橋エリアの地上における地域公共交通網の拡大と利便性の向上」とのこと。

ルートは「京王グループで持っているバス停どうしを最短でつないだ結果」だといいます。

 大手町と新橋は、それぞれ京王バスとグループの西東京バスが郊外方面へ運行している深夜急行バスの停留所を使います。四谷一丁目は京王バスとしては新設ですが、都営バスと共用だそうです。新宿御苑周辺のバス停とルートは、前出の通り「新宿WEバス」と重複するとのこと。

 なお、車両は2020年に多摩地区で導入した「SORA」2台のうち1台を使うそうです。

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系統図(画像:京王バス)。

 かつては都営バスなど他事業者との共同運行という形で、京王バスもいくつかの路線で山手線内に乗り入れていましたが、そうした長距離路線は今やほとんどが失われ、自社エリア完結の運行が基本になっています。京王バスが山手線内に乗り入れるのは、WEバスを除けば数十年ぶりということです。

 ちなみに、往路のバスが通る皇居内の代官小路は桜の名所として知られ、はとバスなどの定期観光バスが通るルートのひとつ。お濠に沿う日比谷通りや銀座、築地、日枝神社や赤坂離宮のそばを通る外堀通りを経由することもあり、観光目的で乗車するのもよさそうです。