JR西日本が、新型の総合検測車「DEC741」を導入します。線路やその電気まわりの検査を、走行しながら行える車両で、多数のカメラを搭載。

AIを用いて解析されます。また2021年夏に引退した443系の装置も、移設されました。

国内の鉄道事業者で初のシステム

 JR西日本が2021年10月、新型の総合検測車「DEC741(デック741)」について発表しました。

 線路とその電気関係の設備について、現在は人が地上を歩きながら行っている検査を、このDEC741の走行・検測によって行えるようにすること(地上検査の車上化)を目的に、製造された車両です。

JR西 屋根上がスゴイ新型総合検測車「DEC741」導入 夏...の画像はこちら >>

JR西日本が導入する新型の総合検測車「DEC741」(2021年10月、恵 知仁撮影)。

 2両編成で、DEC741-1の屋根上には、50台のカメラなどからなる「電気設備撮像装置」を搭載。電柱や信号機、がいしなどを撮影します(昼夜撮影可能)。床下には、車両から線路方向の検測を行う「線路設備診断システム」も搭載します(今後に搭載予定)。

 そしてDEC741-101の屋根上には、4台のカメラなどからなる「電気設備測定装置」を搭載。架線まわりの測定(高低差、離れ)をします(昼夜撮影が可能)。

 これらの撮像装置、測定装置によって、線路の電気設備についてデータを取得(約100種類の設備データを取得可能)。AIを用いた画像解析装置を用い、診断します。

車上から広範囲に設備データを取得し、AI技術による解析を行うシステムは、国内の鉄道事業者で初だそうです。

国鉄443系の「魂」を移設

 JR西日本によると、DEC741の導入で現地での人による目視検査を減らすことにより、重大労災(触車、感電、墜落)のリスクを低減でき、またこの取組みなどにより、2030年までに鉄道設備の検査業務を約1割削減できるといいます。

 JR西日本の新型総合検測車「DEC741」は、トロリ線の検測も可能。DEC741-101の屋根上に架線検測装置を搭載し、トロリ線の摩耗を測定できます。

JR西 屋根上がスゴイ新型総合検測車「DEC741」導入 夏に引退した国鉄443系の魂移設も

2021年夏に引退した443系電気検測試験車(2020年12月19日、伊原 薫撮影)。

 その測定のため、今年2021年夏までJR西日本が使用していた国鉄443系電気検測試験車の装置を、DEC741に移設しているそうです。

 DEC741は電気式気動車で、最高速度は100km/h。JR西日本の在来線全区間の走行、検測が可能とのこと。2021年11月から試験運用が開始される予定で、2025年度からの実用化が目指されます(すでに過去443系で行っていたトロリ線の検査は順次実施)。

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