群馬県にある相馬原駐屯地で3年ぶりに第12旅団および相馬原駐屯地の記念行事が開催されました。新型コロナ感染拡大の影響で、一般公開はされなかったものの、趣向を凝らした展示が披露されました。

大改編を控えた節目の年の記念行事

 群馬、栃木、新潟、長野4県の防衛警備を担う陸上自衛隊第12旅団の創立記念行事が2022年4月8日(金)、群馬県榛東村の相馬原駐屯地(相馬原演習場飛行場地区)で実施されました。

「第12旅団創立21周年および相馬原駐屯地創設63周年記念行事」と銘打たれた今回のイベント。新型コロナの影響などにより、2020年、2021年と2年連続で実施されなかったため、3年ぶりの開催となりました。ただ、今年も感染防止の観点から規模を縮小し、一般公開されずに行われました。

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第12旅団創立21周年および相馬原駐屯地創設63周年記念行事の様子(2022年4月8日、柘植優介撮影)。

 すでに第12旅団は2022年度末、すなわち2023年3月に改編されることが決まっています。それに関連していくつかの隷下部隊が廃止や改編される予定であることから、該当する部隊にスポットを当てたプログラムになっていたのが特徴的でした。

 対象の部隊は第12特科隊(宇都宮駐屯地)、第12偵察隊(相馬原駐屯地)、第12対戦車中隊(新町駐屯地)の3つで、第12特科隊と第12対戦車中隊は廃止され、第12偵察隊は第12偵察戦闘大隊へ改編される予定です。

 そのため、部隊行進はこれら対象部隊のみで実施され、そのあとは第12偵察隊によるオートバイドリルや第12対戦車中隊による79式対舟艇対戦車誘導弾の操法展示、第12特科隊によるFH-70の空砲射撃などが披露されました。

40年前の対戦車ミサイル、遂に退役

 今回の第12旅団の創立記念行事において特筆すべきなのが、第12対戦車中隊の79式対舟艇対戦車誘導弾でしょう。

 79式対舟艇対戦車誘導弾は1979(昭和54)年に制式化された国産の対戦車ミサイルで、最盛期には全国各地の師団や普通科連隊などに配備されていたものの、陳腐化したことなどにより順次姿を消し、人力設置式のものは第12対戦車中隊のみになっていました。

 北海道と静岡に所在する部隊では、いまだ89式装甲戦闘車に搭載されたタイプがあるものの、三脚タイプのものは第12対戦車中隊が最後であり、2022年度末で同隊が廃止されるとともに姿を消す予定です。

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2022年度末で陸上自衛隊から姿を消す予定の79式対舟艇対戦車誘導弾の地上据え置き型発射装置(2022年4月8日、柘植優介撮影)。

 記念行事の操法展示では、来賓や旅団長らが見守るなか、隊員5人が息の合ったチームワークで1/2tトラックの荷台から各種装置を降ろし、手際よく地上に据え付け、射撃姿勢を展示していました。

 また操法展示では実弾の発射ができないため、隊員のひとりがミサイルになりきり、的に向けて飛翔するといったパフォーマンスも披露していました。

 第12旅団広報室の説明によると、部隊廃止により、現在、第12対戦車中隊に所属する隊員は配置転換などでほかの部隊に移る予定だといいます。なお、もうひとつの廃止部隊である第12特科隊は、新たに誕生する東部方面特科連隊の母体になるとのことで、そのため第12旅団隷下から姿を消すだけで、人員や装備、所在地(宇都宮駐屯地)などはほぼ変わらず、新部隊に引き継がれるということです。

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