高速道路のSA・PAは基本的に「逆走」禁止です。それを防止すべく、商業施設まで含め場内のレイアウトが大幅に変更されたところもあります。

停められなければ通過するのが原則ですが、実は戻れる構造になっているエリアも存在します。

「ガソリンスタンドからの逆走防ぐ」場内大幅変更のSA

 全国の高速道路で、SA・PAの駐車マス不足に対応する工事が進んでいます。なかには場内レイアウトを抜本的に変更し、従来の風景が大きく変わったところもあります。

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リニューアル後の東北道 国見SA(画像:NEXCO東日本)。

 2020年に上下線ともリニューアルされた東北道の国見SA(福島県国見町)では、駐車マスが拡充されたうえ、ガソリンスタンドや商業施設の配置まで変更されました。

 このリニューアルにおける主眼のひとつが「逆走対策」です。改修前はガソリンスタンドがエリアの中ほどにあり、そこで折り返して入口方向へ逆走していくクルマが見られたため、ガソリンスタンドを出口付近へ移設したといいます。

 SA・PAは基本的に逆走NGです。空きマスがなく停められないクルマが逆走することが考えられますが、NEXCO東日本によると、停められない場合は戻らず次のSA・PAへ、というのが基本とのことです。

 ただ、なかには「戻れるSA・PA」も存在します。

 NEXCO中日本管内、新名神の鈴鹿PA(三重県)には周回路が設けられており、場内の案内看板では「本線」と「周回」の方向を案内しています。名神の多賀SA(滋賀県)も一部の通路が周回可能になっているほか、中央道の双葉SA上り線(山梨県)も2019年に周回路が新設されました。

 しかしNEXCO東日本管内に、周回可能なSA・PAはありません。鈴鹿や多賀、双葉のようなケースは稀といえるでしょう。

なぜ周回路つくられず?

 国見SAのリニューアルについてNEXCO東日本は、「ガソリンスタンドからの逆走防止、駐車マスの拡充、SA自体の老朽化更新という3つを柱に進めました。周回路を設置するには通路をもう1本作らねばならず、そのぶん駐車マスを減らす必要があります。したがって優先順位としては低いものでした」と話します。

 近年になって周回路が新設された中央道 双葉SA上り線の場合、スマートICを利用する場合でも休憩施設に立ち寄れる構造にする目的がありました。一方で、新東名の駿河湾沼津SA上り線のように、駐車マスを増やすため周回可能な構造を廃止したところもあります。

高速SA・PAの逆走ダメ…「戻れるエリア」はなぜ増えない? 場内リニューアルで逆走阻止も
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新名神 鈴鹿PAには周回路がある(乗りものニュース編集部撮影)。

 周回路があると確かに利便性は向上する、という意見もあります。しかし、SA・PAの新設やリニューアルにあたり、なにを主眼に置くかを決めるうえで、「周回路の設置」は現在のところ、優先度が低いのかもしれません。

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