新型コロナの影響により3年連続で一般公開なしとなった富士総合火力演習。ただ今年は陸自の最新装備V-22「オスプレイ」が演習に参加します。
2022年5月28日(土)に静岡県御殿場市で開催される「総火演」こと「富士総合火力演習」。これに、陸上自衛隊のティルトローター輸送機V-22「オスプレイ」が初めて参加することが確認されました。
総火演は本来、陸上自衛隊の若手幹部自衛官に対して現代戦の様相を認識させる目的で始まった公開演習ですが、それとともに陸上自衛隊最大の実弾射撃演習でもあるため、毎年話題になっており、人気のある広報イベントでもあります。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年度から一般公開は見送られ、肉眼で見られるのは自衛官のみとなっています。
そのようななか、今年の総火演ではV-22「オスプレイ」が初めて飛来します。これは注目すべきポイントといえるでしょう。
総火演が行われる東富士演習場に飛来した陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」(武若雅哉撮影)。
陸上自衛隊はV-22「オスプレイ」を2020年から運用しています。配備先は千葉県木更津市にある木更津駐屯地で、ここに所在する第1ヘリコプター団隷下の輸送航空隊で一括運用しています。ちなみに、今回参加するV-22「オスプレイ」は91705号機で、この機体は2020年7月10日に木更津駐屯地に到着した1機目の機体となります。
では、総火演においてV-22「オスプレイ」はどのような場面で登場するのでしょうか。
今回の総火演でV-22「オスプレイ」がどのように参加したのか、予行演習では次のような流れでした。
まず、海岸に見立てた会場広場に登場した水陸両用車AAV7が車体後部から隊員を下ろすと、隊員が20式小銃や89式小銃を撃ちながら前進を開始。それにAAV7も追従していき、ある程度のスペースを確保したと連絡が入ると、会場左手から固定翼モードでV-22「オスプレイ」が進入してきました。
同機は、会場上空を通り過ぎると右に大きくバンクして、いったんは上空を通り過ぎます。その後、対戦車ヘリコプターAH-1Sと観測ヘリコプターOH-1が登場し、敵の戦車や装甲車などに攻撃を加えたのち、今度は大型輸送ヘリコプターCH-47JAと多用途ヘリコプターUH-60JAが飛来し、これら搭乗した普通科教導連隊の隊員がロープで地上へと降下します。
こうして敵を排除し降着地域の安全を確保すると、いよいよV-22「オスプレイ」が会場広場に降着し、短時間で隊員を下ろしたらさっさと離陸し、飛び去りました。

総火演が行われる東富士演習場に飛来した陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」(武若雅哉撮影)。
V-22「オスプレイ」の実際の運用は、人員や物資輸送がメインとなりますが、その一方でヘリコプターのようなホバリングも可能なことから機関銃などによる対地支援攻撃も行えます。しかし、今年の総火演では人員輸送のみを披露するようです。
3年連続で一般公開が中止された総火演ですが、今年も陸上自衛隊の公式YouTubeチャンネル「陸上自衛隊広報チャンネル」でライブ配信が行われます。来年こそは一般公開されることを願いつつ、迫力あるライブ配信を楽しみましょう。