開業40年の節目を迎えた上越新幹線ですが、同線は上越市を通りません。代わりに同市を通るのは北陸新幹線です。

なぜ、一見矛盾しているようにも取れる事態になっているのでしょうか。

埼京線や京葉線と理屈は同じ

 本日2022年11月15日(火)は、大宮~新潟間で上越新幹線が開業した日です。40年前の1982(昭和57)年のことでした。
 
 ところで、新潟県には「上越市」という市があります。細長い同県においては西部に位置します。しかし同市を上越新幹線は通っていません。通っているのは北陸新幹線で、その玄関駅は「上越妙高」です。なぜ一見するとややこしい状態になっているのでしょうか。

“上越”通らずなぜ「上越新幹線」? 上越市は北陸新幹線の沿線...の画像はこちら >>

上越新幹線は40年前の今日、1982年11月15日に開業した(画像:JR東日本)。

 新潟県はその昔、越後国と呼ばれていました。上述の通り細長い同国は便宜上、京都に近い西側から順に上越後、中越後、下越後に分けられ、いつしか「後」は略され、その地域名として「上越」「中越」「下越」となりました。ちなみに佐渡島を含む佐渡市域は「佐渡」です。

 上越は上越市、妙高市、糸魚川市の3市から成り、上越妙高駅は上越市に所在します。そのような上越を、富山県や石川県など北陸へ向かう北陸新幹線が通過するというわけです。

 さて先述の区分でいうと、上越新幹線は「中越」と「下越」を通っています。にもかかわらず「上越新幹線」である理由は何でしょうか。

 結論をいえばこれは、地域名の「上越」ではありません。旧・上野国(こうずけのくに:現在の群馬県など)と越後国を結ぶことに由来し、それぞれの頭文字をとったものです。大崎~大宮間を結ぶJR埼京線や、東京~蘇我間を結ぶJR京葉線と同じ理屈です。

 そもそも新幹線が開業するはるか前、1920(大正9)年に上越北線が、翌1921(大正10)年に上越南線が、それぞれ部分開業しています。お互い延伸し、1931(昭和6)年に最後の区間であった水上~越後湯沢間の清水トンネルが開通したことで、「上越線」として全通しました。ちなみに当時、上越市は存在しません。同市は合併によって1971(昭和46)年に成立しています。

 つまり、在来線である上越線に沿う高速鉄道だから「上越新幹線」と名付けられたというわけです。

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