夏はまだ先ですが暑くなってきました。列車に乗り込み、思わず暑いと感じる人もいるのではないでしょうか。

特に都市部の鉄道では、通常の冷房車のほかに弱冷房車が運用されていますが、温度にしてどのくらい違うのでしょうか。

通常の冷房車+2度=弱冷房車?

 夏前とはいえ、早くも各地で夏日、所によっては30度を記録するなど、日中の気温が上昇しています。すると普段の移動で気になるのが、列車内の冷房ではないでしょうか。ただ温度の感じ方には個人差があるので、暑いと感じる人もいれば、適温もしくは寒いと感じる人もいます。

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列車の弱冷房車のイメージ(画像:写真AC)。

 そこで、不特定多数の利用客に配慮したのが弱冷房車です。その名の通り、冷房の温度をほかの車両より少し高く設定しています。ただし具体的な温度については、鉄道事業者や路線によって異なります。

 運用している事業者のうち、全国的に多いのが28度。おおむね通常の冷房車より2度高くなるよう設定しています。ただし、例えば相模鉄道や西日本鉄道では27度としています。

 そもそも弱冷房車は1984(昭和59)年、京阪電鉄が初めて導入し誕生しました。

1986(昭和61)年10月13日放映のNHKニュースは、京阪の弱冷房車について「お年寄りや女性に評判がよく、個人差の大きい分野のサービスとして注目されます」と報じています。同社の2023年現在の設定温度は28度です。

低めの都営大江戸線、なぜ?

 その後、弱冷房車は大都市圏の通勤路線を中心に普及。関東では1987(昭和62)年、JR東日本が東海道線と総武・横須賀線に初めて導入しました。「『冷やしすぎだ』という根強い苦情にこたえるとともに、『省エネ』を狙った」(1987年8月1日付け朝日新聞東京朝刊)といいます。

「弱冷房車」は何度なのか 「やや高め」も路線によってまちまち 各社「服装で調整を」
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東京メトロの前身、営団地下鉄で冷房車の割合が100%になったのは1996年のことだった。写真は日比谷線で使われた3000系電車(画像:photolibrary)。

 ただし関東の大手私鉄によると、車内の混雑具合や車両の特性により、全ての車両を均一の温度とするのは難しいといいます。また別の私鉄も、相互直通運転を行う鉄道会社と協議のうえ設定温度を決めているとし、路線事情によっても多少の差異は生じてしまいます。弱冷房車を運用するいずれの鉄道事業者も、ホームページなどで「衣服の調整」をお願いしています。

 ところで、都営地下鉄大江戸線の弱冷房車の設定温度は26度です。通常冷房も22度と、同局の他路線(弱冷房車28度、通常冷房25度)や他社と比較しても低めです。

 その理由について東京都交通局の広報課は以前、取材に対し「大江戸線は車両が小さく、お客さまが大勢乗ると空気の流れが悪くなって体感上の温度が高くなるため、冷房を強くしています」と話しました。

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