世田谷の北、代田橋駅周辺で道路と鉄道、そして水道施設の改築事業が一気に進んでいます。井の頭通りは開かずの踏切の解消だけでなく、かなり走りやすくなる見込み。
京王線の代田橋~明大前間の車窓には、並走する「井の頭通り」越しに、巨大な古代神殿のような、ローマのコロッセオを彷彿とさせるような構造物が見えます。その周りが2023年現在、明らかに“大規模工事中”な様相を呈しています。
コロッセオのような和田堀給水所の1号配水池(乗りものニュース編集部撮影)。
この「コロッセオ」の正体は、1924(大正13)年に誕生した和田堀給水所(世田谷区)の1号配水池。ですが、これも今後取り壊される予定です。周辺ではいま、道路と鉄道、給水所を一体的に再構築する大規模な工事が行われているのです。
和田堀給水所は、京王線の代田橋駅前にある都水道局の施設で、敷地面積は5万4500平方メートルに及びます。この広大な施設があるため、代田橋は駅前広場などもなく、都心に近い駅の割には寂しげな印象を否めません。井の頭通りの環七通りから甲州街道(国道20号)までの区間は、その敷地と線路に沿って急カーブを描く線形となっています。
ここでは「京王線の高架化」、老朽化した「和田堀給水所の施設更新」、そして「井の頭通りの直線化」、これらの事業が一体的に進められています。
和田堀給水所ではすでに、2号配水池が取り壊されており、敷地の一部を解放する工事が進められています。
現在は1号配水池を使って給水所の機能が維持されていますが、2号配水池の更新が終わると、1号配水池も取り壊される予定です。全ての工事が終わるとどうなるのでしょうか。
早く改良して! 井の頭通りどうなる和田堀給水所の上部空間は自治体に開放され、世田谷区はそこに駅前広場と「スポーツ施設」を整備する計画です。住宅街に出現する広い空間を活かし、サッカーやテニス場などのほか、「スケートボードへの対応」を検討するとしています。
また、代田橋駅ならびに京王線は高架化され、井の頭通りとの踏切も解消されます。ただ、井の頭通りそのものは付け替えられるため、位置的には現在の井の頭通りとの踏切より、ひとつ明大前寄りになる踏切の場所を貫く形になります。
井の頭通りの踏切が解消されると、周辺の渋滞解消や交通の円滑化には大きな効果が期待できそうです。

井の頭通りの踏切。京王線高架化のための橋脚も立ち上がっている(乗りものニュース編集部撮影)。
この近くには、都内で最も交通量が多い交差点とも言われる、環七通りと甲州街道が交わる「大原」交差点があり、特に右左折のための側道部は慢性的に混雑が発生しています。
事業の完成時期は明示されてはいませんが、京王線の高架化については2022年3月に事業期間が延長され、2030年度末までとなっています。