埼玉県内の首都高を北へ延伸する「新大宮上尾道路」の事業により、その途中にある巨大な一般道の立体交差「宮前IC」がさらに“成長”しようとしています。数えきれないほどの道が複雑に交差する実質JCTはどう生まれたのでしょうか。
東京とさいたま市を結ぶ国道17号「新大宮バイパス」。この道路に沿う高架道路である首都高S5埼玉大宮線を、与野JCTからさらに北へ延伸する「新大宮上尾道路」の事業が進んでいます。そのなかでもいち早く橋脚の建設が進んでいるのが、一般道の立体交差「宮前IC」をまたぐ箇所です。
宮前IC。右下が国道17号東京方面、左下が国道16号川越方面(画像:Google earth)。
宮前ICはインターチェンジを名乗りますが、仮に高速道路であれば、実質的にジャンクションです。国道17号バイパス2路線(新大宮バイパス、上尾道路)と国道16号「西大宮バイパス」が交わり(北東方向は国道17号新大宮バイパスと国道16号の重複区間)、地図や航空写真で見ると「X」字を描く形で、各方向を信号ナシで相互につないでいます。Xの端から端までの距離は約1kmほどです。
しかし、より拡大して見ると、本線やそれらを相互につなぐランプが幾重にも折り重なっており、極めて複雑な形状をしています。さらに複雑さに輪をかけているのが、周囲の県道や関連道路が敷地に沿って張り巡らされ、一部ではICをくぐったり、またいだりしていることです。これらにより、広大なICで隔てられるエリアどうしの行き来も可能になっています。
南側はJR川越線が東西方向に通っていますが、それを跨ぐ道路だけでも8本(国道の上下線別、歩道橋含む)。
さらに、上下線が分離された国道からロードサイド店や生活道路へアクセスする側道が、一方通行ではなく双方向通行になっています。生活道路からほぼUターンに近い角度で国道にアクセスできる箇所もあり、「逆走しているように見える」などとしてSNSでもしばしば話題になります。
「何度通っても一瞬戸惑う」などといった声もある宮前ICに、新大宮上尾道路が通ることで、さらに複雑になるのでは……と心配する向きもあるようです。
宮前ICの“でき方”宮前ICは一気にここまで複雑になったわけではありません。これまでも“成長”を重ねて現在の姿になっています。
もともと、鴨川西岸の農村地帯だったこの地には、国鉄川越線と現在の県道上野さいたま線が平面交差する以外には、いくつかの生活道路があるのみでした。
ここへまず、南~北東方向の国道17号新大宮バイパスができ、県道と鉄道をまたぎました。この当初から、新大宮バイパスの上下線は橋桁どうしをかなり離してありました。
やがて南西方向へ国道16号西大宮バイパスが接続し、北東方向は16号と17号の重複区間に。このときに県道もルートが付け替えられたほか、前出したループランプの中のループ道路といった関連道路もできました。
さらに2010年には北方向へ国道17号「上尾道路」が接続し、「X」字のジャンクションが完成。

宮前ICの案内標識の例。上尾道路については方面を書かず「上尾道路」という表記に(ドライブレコーダー)。
このため、場所によっては短い区間に2か所の分岐が連続するようになったほか、案内標識が複雑になりすぎて走行中に判読が困難とされたことから、国道は方向別にカラー舗装と標識のカラー矢印を組み合わせた改良が施されています。
ちなみに、新たに高架が建設される新大宮上尾道路は、宮前ICには直接接続せず、通過するだけとなります。ICから南の新大宮バイパス上に「宮前南出入口」、北の上尾道路上に「宮前出入口」(いずれも仮称)がそれぞれ設けられます。