北陸新幹線の金沢~敦賀間の延伸開業にあわせ、福井県内のJR北陸本線は第三セクター鉄道「ハピラインふくい」へ移管されます。特急も廃止となるなか、どう変わっていくのでしょうか。
北陸新幹線の金沢~敦賀間が2024年3月16日に延伸開業し、東京から金沢を越えて、福井県内までが直結されることとなります。
そのかわり、新幹線と並行する在来線「JR北陸本線」は、JRから第三セクター鉄道「ハピラインふくい」へ移管。福井県主体の私鉄として再出発することとなります。
「JRから切り離されるので『青春18きっぷ』が使えなくなる」など、旅行者からは惜しむ声も上がっていますが、JRの経営から離れたということは、良くも悪くもサービスをより「地域に合わせて」柔軟に変化させられることにもなります。では、来年3月以降、福井県内の「北陸本線」はどうなっていくのでしょうか。
JR北陸本線で使われている521系電車。第三セクター化にともない「ハピラインふくい」へ移管される(画像:写真AC)。
ハピラインふくいの運行計画については、沿線自治体による「利用促進策の実施計画」で調整が行われています。そこでどのあたりまで検討が進んでいるのか、見ていきましょう。
●特急の運行は無し
8月末にJR西日本は、北陸方面行き特急「サンダーバード」「しらさぎ」を敦賀までに短縮し、通勤特急「ダイナスター」を廃止すると発表。ハピラインふくいでは、特急の運行は無くなります。
●快速を新たに運行
その代わり、通勤・通学や「特急利用からの転移」を見込んで、快速が設定されます。
●「金沢直通」は今までどおり
現在の北陸本線は、福井駅を境に「南は敦賀行き、北は金沢行き」というのがメインです。金沢行きはJRによる運行から、県境を越えて「IRいしかわ鉄道」への直通することとなりますが、この運行は踏襲されます。
なお、ハピラインふくいとIRいしかわ鉄道の境界は、県境に近い大聖寺駅です。しかし「大聖寺駅止まり」という列車は想定されておらず、今までどおり、人の移動に沿った運行体系となりそうです。
増便に新駅、「一日乗車券」の発売も●福井~鯖江~武生の区間列車が大増便へ
現行ダイヤとの最も大きな変化が、福井~武生の区間便が、1日5本から「1日18本」に大増便となることです。嶺北エリアの二大都市圏である福井市と鯖江・武生エリアの日常移動にフォーカスし、必要十分な区間列車が投入されることとなります。このきめ細かさが、地元県主体の第三セクター鉄道ならではの取り組みの成果のひとつと言えるでしょう。
●その他の列車も「微増」
2地点間の移動で見ると、敦賀~福井は47本から56本へ増便、福井~金沢は変わらず、福井~芦原温泉は59本から64本に増便します。全体としては、102本から126本に増便となります。
●3つの新駅を設置
福井県内で3つの駅の設置計画があります。
実現に向け協議中なのが「森田~福井」新駅です。設置場所は九頭竜川手前の高木町周辺です。もうひとつが「武生~鯖江」新駅で、鯖江市南部のイベント会場「サンドーム福井」の隣接駅となるべく動きがありますが、県ではまず鯖江駅東口の整備を優先するとしています。
●JR越美北線は福井駅まで直通継続
線路は手前の越前花堂駅で北陸本線と合流しており、福井駅までは「ハピラインふくい」のものになりますが、JRの車両が乗り入れる形で、引き続き福井駅発着となります。
●一日乗車券は?
発行される予定で、「1500円相当」と表現されていることから、発売額はそのあたりになりそうです。
●観光列車は?
観光列車や、遠足・老人クラブ・婦人会などの行事にあわせてイベント列車を運行すべく、検討が続けられます。イベント列車は開業にあわせて運行開始を目指しています。
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ダイヤの詳細発表は冬ごろとなっています。運賃は国への認可申請が近々おこなわれる見込みで、実際の金額は冬ごろ発表される見込みです。