通常、ジェット旅客機はある程度の距離の路線で使用されるものですが、国内最短のジェット機路線として知られているのが、JTAの「那覇~久米島線」です。離島路線とはいえ県内完結で、しかもジェット機。

なぜでしょうか。

最初はJTA便から誕生

 国内最短のジェット機路線として知られているのが、JALグループのJTA(日本トランスオーシャン航空)が運航する「那覇~久米島線」、その直線距離はわずか約94kmです。

 通常、ジェット旅客機はある程度長い距離の路線で使用されるうえ、沖縄の離島路線はプロペラ機がほとんどというなか、なぜこの短距離でジェット機を用いるのでしょうか。

「日本一短いジェット機路線」なぜ運航? なぜそんなに短い? ...の画像はこちら >>

那覇空港に着陸するJTA機(乗りものニュース編集部撮影)。

 久米島は沖縄本島の西に位置する離島です。那覇~久米島線は2024年3月末時点で1日6往復。

うち5往復はJTAと同じJALグループのRAC(琉球エアーコミューター)がプロペラ機(50席のDHC8-Q400CC)による定期便を飛ばしていますが、1往復だけはJTAのジェット機、ボーイング737-800(165席)による運航となっています。

 こうした離島と本島を結ぶような短距離路線では、ジェット機の高速性を発揮できないことから、燃費効率がよく、使用する滑走路も短く済むプロペラ機が使用されるのが一般的です。JTAは同路線の開設経緯を次のように話します。

「那覇~久米島線は1967年弊社設立時に(当時は南西航空)開設した路線で、1997年からはグループ会社のRACも運航を開始し、JTA・RACの2社が運航する路線になりました。開設して56年を迎えるまでには、お客さまのニーズや需要動向など様々な環境変化がありました」(JTAの広報担当者)

国内最短ジェット機路線、なぜ? しかもフライト時間も変わってる!

 そして、JTAの担当者は「国内最短のジェット機による運航を継続する理由」を次のように説明します。

「利便性の向上を目指す一方、弊社の737-800で団体のお客さまのニーズに対応することや、島からの大型もしくは大量の貨物輸送のニーズにも対応できるよう、現環境下におけるベストミックスと捉え現在の路便としております」

「日本一短いジェット機路線」なぜ運航? なぜそんなに短い? “プロペラ機と併用”のフシギ路線
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RACのDHC8-Q400CC(乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、2024年1月のJALグループの月報によると、那覇~久米島線の利用者数は1万5478人。これは沖縄本島~県内離島間の路線では、那覇~宮古、那覇~石垣につぐ3番目の利用者数です。

 また、沖縄本島~久米島間はフェリー航路もありますが、同路線を運航する久米商船の公式サイトによると、こちらは直行で3時間、渡名喜島経由だと3時間半かかるとのこと。空路であれば、RACのプロペラ機運航では35分、JTAのジェット機運航では40分で2島間を往来できるというわけです。

 なお同路線では、ジェット機運航便のほうが、フライト時間が5分長く設定されています。こちらについてJTAの担当者は次のように説明します。

「機材による運航高度の違いやスピードの違いによる大回り旋回の影響により、RACと運航時間が異なっております」

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