自転車の走行は「車道が原則」ですが、高速道路でも立体部でもないのに、車道を走ってはいけない場所が都内には存在します。自転車では絶対に近づけないという不思議な場所すらあるのです。

その車道、自転車通れませんよ!

 電車は混雑、道路は渋滞という環境の東京23区において、自転車はとても便利な乗り物です。とくに昨今の健康志向と節約志向で、自転車の利用者は目に見えて増加している印象です。

 ただ、そんな東京23区内には「自転車が通ってはいけない道」が存在します。その代表格は、幹線道路にある立体交差の高架部分やアンダーパスなどですが、じつはそれ以外にも「あれ、こんなところが?」というNGなポイントがあるのです。その代表的なものをご案内しましょう。

レインボーブリッジ(都道482号)

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レインボーブリッジの都心側入口。
自転車は通行禁止だ(植村祐介撮影)。

 都心部に近い芝浦からお台場エリアへのアクセスルートであり、ドライブスポットとしても人気のレインボーブリッジは、上層に首都高、下層に一般道と「ゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)」が走る、二重構造になっています。さらに下層の外側には「レインボープロムナード」と名付けられた遊歩道が整備され、芝浦側からはエレベーターで、お台場側からは徒歩でアクセスできます。

 ここを自転車で走れば「都心の絶景を楽しむサイクリング」が満喫できるところですが、じつは首都高、一般道の車道部はもちろん、歩道部分も自転車に乗っての通行はNG。ただし芝浦側、台場側それぞれの入口で貸し出す専用の代車にタイヤを固定し、押し歩きで横断することだけは認められています。

 とは言え、1.5km超の距離を自転車を押して歩くのは、あまり楽しいとは言えないはず。

お台場エリアへは、晴海からアプローチできる「環二通り(都道50号)」などをお使いになることをおすすめします。

海岸通り(都道316号)

 汐留エリアから南へ、芝浦の倉庫街、再開発でオフィス街へと生まれ変わった天王洲エリアを抜け、平和島に至る海岸通りは、東京23区南部を南北に結ぶ主要幹線です。

 ところがこの海岸通りの汐留から天王洲まで、首都高速(都心環状線、1号羽田線)の高架下を走る区間の車道は自転車の通行が禁止されているのです。

 実際、この区間は路肩が狭く、高架の影で日中も薄暗く、ロケーション的にも海上コンテナを運ぶトレーラーなどが頻繁に行き交うことから、安全性を考えると止むなしかもしれません。

 なお同区間の歩道は自転車通行が認められていますが、道路に面した建物からの人やクルマの出入りは意外に多く、また街路樹や首都高の橋脚で見通しがあまり良くないことから、歩道走行はあまりおすすめできません。西に並行して走る旧海岸通りの利用が便利です。

「金〇先生、そこ自転車通れませんよ!?」

 下町の方にも、自転車が通れないスポットがあります。

新荒川堤防線(都道449号)

 荒川右岸の堤防に沿って走る新荒川堤防線は、北区の江北橋西詰から西新井橋南詰の区間で自転車の通行が禁止されています。

 同区間は信号もほとんどなく、赤羽方面と北千住方面を結ぶ絶好の裏道として機能していますが、それだけにクルマの流れも速めです。都営バスも走るルートですが、道幅も大型車がギリギリすれ違える程度で、路肩スペースはほとんどないことから、「通行禁止」の規制がなくても、自転車は走ることを躊躇したい道路です。

 なおこの区間は荒川の堤防上に河川管理用道路、河川敷に緊急避難道路という、自転車の通行が可能な道路が整備されています。歩行者や河川敷のグラウンドの利用者に注意して利用しましょう。

自転車は車道を…走っちゃダメ!? 都内の意外な「自転車NGロード」5選 “チャリで行けない東京”とは?
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新荒川堤防線の江北橋西詰(植村祐介撮影)。

東京ゲートブリッジ(東京湾臨海道路)

 お台場のさらに南、中央防波堤(中防)と江東区若洲を結ぶ、全長2618mの巨大な橋が「東京ゲートブリッジ」です。

 この橋に向かっては、中防側、若洲側の双方から、長い長い坂道が待ち構えています。自転車で走るにはちょっと辛く、また場所的に強風にあおられる可能性もあることから、車道部の自転車通行禁止は仕方のないところでしょう。

 では、歩道走行はどうでしょう。東京ゲートブリッジの若洲側には歩行者用エレベーターが設けられ、橋上の歩道からは富士山と都心の高層ビルが織りなすパノラマが楽しめます。

ところが、この歩道を使って中防に通り抜けることはできず、橋上を散策したら、また若洲側に戻るしかないのです。そのためか、歩道部の自転車の通行も禁止されています。

 中防側の「中防昇降タワー」にあるエレベーターが一般開放され、自転車での通行が可能になるのを待ちたいですね。

第二航路海底トンネル(臨港道路青海縦貫線)

 中防は現在進行形で埋め立てが進むエリアで、見渡す限り海と空という、東京とは思えない雰囲気が味わえます。しかしこの中防と青海・お台場エリアを結ぶ「第二航路海底トンネル」の車道は自転車通行禁止で、また歩道も一般向けには公開されていません。

 2020年にはすぐ東側の「東京港海の森トンネル」も開通しましたが、こちらの歩道も「当面の間、歩道部は通行できません(東京都プレスリリース)」とされています。

前述の「東京ゲートブリッジ」、さらに大田区城南島とを結ぶ「臨海トンネル」も自転車通行が認められていないことから、現状では中防への自転車での乗り入れは不可能ということになります。

 ただ中防の島内の歩道には、立派な自転車通行帯が整備されています。ここを自転車で走るには、クルマで自転車を運び、「海の森水上競技場」の駐車場を利用する以外、方法はなさそうです。

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 以上、東京で自転車通行がNGなポイントを5か所、紹介しました。もちろん、このほかにも23区内には自転車通行が規制されている場所があり、万一違反すると、「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」という重い罰則が科せられます。標識などに注意を払い、自転車ライフを楽しんでください。