日立製作所がイギリスの都市間高速鉄道計画向け車両を公開しました。最高速度201km/hというこの車両、電車もでありディーゼルカーでもあるという、日本では珍しい構造をしています。
日立製作所は2014年11月13日、イギリスの都市間高速鉄道計画(IEP:Intercity Express Programme)向け新型車両「Class 800シリーズ」を公開しました。
この車両の大きな特徴は、線路上空に張られた架線から電気を取り込み、電気モーターを駆動して走る「電車」でありながら、架線がなく電気が供給されない非電化区間でも、電気モーターを駆動して走行できることです。
その秘密は、Class 800シリーズの床下に搭載されたディーゼルエンジン付き発電機にあります。それを使って発電することで、非電化区間でも電気モーターを駆動して自走できるというわけです。
このように、車両へ搭載したディーゼル発電機で電力を生み出し、それを使って電気モーターを駆動、走行するというシステム自体は珍しいものではありません。「電気式ディーゼルカー」などと呼ばれる方式で、JR貨物が北海道で貨物列車のけん引に使用しているDF200形ディーゼル機関車もこの構造です。またJR東日本が2007年に小海線(山梨・長野県)へ投入した「ハイブリッド気動車」のキハE200形なども、搭載したディーゼル発電機と蓄電池を活用し、電気モーターで走行する仕組みになっています。
ただこのClass 800シリーズのように、架線などの電力供給設備がある区間(電化区間)ではパンタグラフをあげ「電車」として、非電化区間では「電気式ディーゼルカー」として走る車両は欧米ではしばしば見られますが、日本の鉄道から見ると珍しい存在です。
ちなみに、JR東日本が2016年春以降の運行開始を目指し、開発している豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」も、Class 800シリーズと同様に電化区間では架線から供給される電気を、非電化区間では搭載するディーゼル発電機で生み出された電気を使い、電気モーターを駆動して走行する仕組みを採用する予定です。
自転車を搭載し200km/hで走行Class 800シリーズが床下に搭載するディーゼルエンジン付き発電機は取り外しもでき、日立製作所によると「電化区間が拡大された際の運用変更を円滑に行うことが可能」といいます。例えば路線が電化されて不要になった場合、取り外せるわけです。
日立製作所はこのClass 800シリーズを122編成受注。
Class 800シリーズのスペックは以下の通りです。最高速度は201km/hで、自転車収納スペースやキッチンの用意もあります。
編成:5~12両
電源方式:交流25000V
最高運転速度:201km/h(125マイル)
設計最高速度:225km/h(140マイル)
車両長:26m
軌間:1435mm(新幹線と同じ)
車両幅:約2.7m
乗客定員:5両編成:315席、9両編成:627席
内装設備:コンフォートエアコン、車椅子対応トイレとスペース、CCTV、乗客情報システム、乗客用Wi-Fi、座席予約のディスプレイ、自転車収納スペース(セキュリティロック付き)、フルキッチンとケータリングサービス