東京駅100周年を記念し、同駅の社員食堂が2日間限定で再び一般開放されることになりました。そこでは「懐かしの駅食堂」「懐かしの食堂車」の味を楽しめるそうですが、なぜ駅の社員食堂で「駅食堂」はまだしも、「懐かしの食堂車」の味を楽しめるのでしょうか。
2014年10月11日から13日の3日間、「鉄道の日」を記念した「東京鉄道祭」に合わせて東京駅の社員食堂が一般に開放されました。普段は入れない場所であるため多くの注目を集め、当日は待ち時間が1時間になることもあり、泣く泣く食事を断念した人も少なくないと思われます。
しかし再び、東京駅の社員食堂で食べられるチャンスをがやってきました。2014年12月20日の東京駅開業100周年に合わせ、12月20日(土)と21日(日)にも2日間限定で一般開放されることになったのです。
営業時間は11~15時で、ラストオーダーは14時30分。当日は次のメニュー4種類が提供されます。価格はすべて税込み600円です。
・懐かしの食堂車カレー(100周年版)
・懐かしの駅食堂のハンバーグ定食
・当食堂人気 から揚げ定食
・当食堂人気 とんかつ定食
「懐かしの食堂車カレー(100周年版)」は、「100周年当日にふさわしく『100』の文字をポテトとイカリングで表した」とのこと。また食事をした人には、100周年記念のポストカードがプレゼントされます(なくなり次第終了)。
ところでなぜ駅の社員食堂で、「懐かしの駅食堂」はまだしも、「懐かしの食堂車」の味を楽しめるのでしょうか。これには昭和初期からの歴史的背景があったりします。
東京駅の社員食堂を運営しているのは、JR東日本グループの「日本レストランエンタプライズ(NRE)」という会社です。
1938(昭和13)年、鉄道省(当時)の列車や駅で食堂車・食堂を運営していた企業が共同で「日本食堂(日食)」という会社を設立しました。以後この会社が中心となって、食堂車や駅食堂をはじめ駅弁、車内販売など「国鉄の食」を支えます。
そして1987(昭和62)年に国鉄が分割民営化されると、日本食堂も分社化。この流れを汲む会社が各地に誕生し、そのひとつがJR東日本エリアのNREです。よってNREが運営する社員食堂で「懐かしの食堂車」「懐かしの駅食堂」の味を楽しめるのは、まったく不思議ではないのです。
東京駅グランスタダイニング内に、「食堂車時代から受け継がれる『デミグラスソース』をさらに進化させた」メニューを提供する「日本食堂」という店舗がありますが、これを運営しているのはもちろんNREです。また同社は現在も寝台特急「カシオペア」「北斗星」で食堂車を営業しているほか、新幹線の「グランクラス」、首都圏の普通列車グリーン車におけるサービスなども担当しています。
さて、今回再び一般公開される東京駅の社員食堂。運営するNREは「10月に実施した鉄道の日イベントでもご好評をいただきました。なかなかない機会ですので、是非ご利用下さい」としています。今回も人気が予想されますので、時間を上手く調整して「東京駅の社員食堂」という非日常の空間で、こうした歴史ある「懐かしの味」を楽しんでみてはいかがでしょうか。