遭遇すらレアで、「会えると幸せになる」ともいわれる新幹線のお医者さん「ドクターイエロー」。その内部はいったい、どんなことになっているのでしょうか。

普通の新幹線とは大きく違うその車内、探検してきました。

記念撮影も見られている?

 走行しながら線路設備を検査し、“新幹線のお医者さん”とも呼ばれる923形新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」。運転が10日に1回程度と少なく、なかなか見られないことから「会えると幸せになれる」ともされるレアキャラです。姿を拝むだけでも簡単ではないその車両、いったい内部はどうなっているのでしょうか。

 その車内へ入ると、モニターに線路が映し出されていました。

 これは「前方監視装置」の映像。車両の正面、ライトの下にカメラが設置されており、線路の状態をチェックするのに利用しているそうです。カメラの向きなども操作できるとのこと。「ドクターイエロー」は人気が高く、先頭部分で記念撮影する子どもたちをよく見かけます。そうした微笑ましい光景もカメラで車内へ送られ、乗っている検測員さんたちは密かに喜んでいるかもしれません。

空を見つめるためのワイパー付き座席

「ドクターイエロー」には、頭上を監視するための設備もあります。

「観測ドーム」と呼ばれるもので、ここから線路上空に設置されている架線の状態などをチェックします。

座席もあります。

 しかし基本的に、そこへ検測員が座って架線をじっと見つめている、ということはないそうです。通常はカメラを使って監視します。窓にはワイパーも設置されています。

連結部分も“らしい”ドクターイエロー

 車両の連結部分は、営業用の新幹線とは大きく異なっていました。

 幾本ものケーブルが車両間に渡されており、データを収集するための検査用車両らしい雰囲気が、連結部分にも漂っています。

 923形「ドクターイエロー」は、営業用の700系新幹線をベースに開発された7両編成。JR東海の「T4編成」とJR西日本の「T5編成」、合わせて2編成があります。

「ドクターイエロー」には、ミーティングルームが用意されています。走行中でも点検作業などに関する打合せができるように、とのこと。また車内には休憩室や、関係者の添乗に使用される通常の700系と変わらない座席も備えられています。

実はしばしばある「ドクターイエロー」車内へ入れる機会

 会うだけでも大変な「ドクターイエロー」ですが、その車内へ入れる機会は、実はしばしばあります。

 JR東海は2015年8月29日(土)、親子向けに「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」というツアーを実施しました。普段は乗れない回送線を通って大井車両基地(東京都品川区)へ向かい、その基地や「ドクターイエロー」車内を見学しよう、というものです。

「ドクターイエロー」の車内見学では解説員から説明を受けられたほか、その運転席に座ることもできました。

 JR東海は2015年10月と11月、今度は名古屋車両基地への回送線に乗車し、その車両基地と「ドクターイエロー」車内を見学するツアーを実施します。

 しかしこのツアーは9月23日(水)時点で、すべて満員です。ただその高い人気、そして現在、JR東海が「親子で楽しむ新幹線」として様々な企画を行っていることから、今後も同様のツアーが開催される可能性は高いでしょう。

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