首都高速道路は2025年8月27日、地震災害を想定した防災訓練を横浜市で実施しました。地震をはじめ大災害が発生した場合、高速道路上はどのような対応が取られるのでしょうか。
【クルマをすばやく移動!】これが復旧に使われる「特別なジャッキ」です(写真で見る)
大地震の発生時を想定した今回の訓練では、施設の破損や車両でふさがれた道路を応急的に復旧し、緊急救援ルートを確保する「道路啓開(けいかい)」作業を中心に行われました。首都高速道路では大規模災害が起こった際、緊急車両が通れるルート1車線を、発災24時間以内に確保することを目指しています。
また、今回は初の試みとして横浜市の作業部隊も訓練に参加。実際の災害発生時にも関係機関が連携を取り、一貫性のある対応ができるか確認するのが狙いです。
訓練では、地震によって首都高横羽線 汐入付近で橋桁がずれて道路に段差が生じ、複数の車両が立ち往生したという状況を想定。「道路啓開部隊」が出動し、パトロール員が被害状況を確認、その後車両を速やかに移動させ、段差部分を応急復旧して車線を確保するという手順で、作業が行われました。
まず車両の啓開では、道路啓開部隊が現場の状況を写真で撮影した後、車両の移動を行った旨の通知書を車体に貼り付けます。これは2014年に施行された「災害対策基本法」に基づく措置で、災害時において放置車両が緊急車両の通行を妨げる場合は、道路管理者が所有者に断りなく、車両を移動させることが可能となっています。
その後、一般的な乗用タイプの車両は、各タイヤの下に設置するローラー付きの「ゴージャッキ」と呼ばれるジャッキで4輪が持ち上げられ、道路啓開部隊によって道路脇へと次々に移動させられました。また、トラックなどの大型車両は専用のレッカー車で、段差に乗り上げ動けなくなった車両は、クレーンで釣り上げてレッカー車に積載し移動させました。
「復旧は首都高の“外”でも考えていかなければ…」作業は次に、ずれた橋桁の応急復旧へと進みます。段差について、上下方向の高さ(今回は30cmで想定)と水平方向のずれ幅(同じく50cm)を計測し、土のうや渡し板、スロープなどの「段差修正材」を用いて、道路のギャップを埋めていきます。
軽量タイプの修正材で、速やかに段差が埋められていった(乗りものニュース編集部撮影)
これらの部材も、それぞれ災害復旧用に開発された軽量タイプです。土のうは一般的な土を詰めたタイプが1袋25kg、渡し板は鉄板だと1枚800kgですが、土のうは発泡ガラス系の材料を詰めることで1袋わずか5kg、渡し板もFRP製の「F-Deck」を採用することで、1枚約30kgの軽さを実現しています。
こうして、車両と段差によって通行できなくなっていた道路は1車線分が通れるようになり、最後は緊急車両が実際に走行し、点検が行われました。首都高では過去、訓練で想定したような大きな被害は経験していないとのことですが、近年頻発した震災の経験も踏まえ、防災対策の強化に取り組んでいるといいます。
また、首都高速道路 神奈川局長の木下治昭氏は「実際に災害が起これば、首都高以外での要因によって緊急車両のルートが確保できないことも想定されます」とコメントし、「各関係機関との情報伝達や連携に関しても、さらに訓練へ盛り込んでいく必要があると改めて認識しました」と今後の対策に意気込みを示しました。