JR四国が、約30年ぶりとなる完全新型の特急形ディーゼルカー2600系を製造しました。全席にコンセントを備える、充実機能のトイレを設置するなど、特に快適性で大きく進化しています。
JR四国が2017年2月17日(金)、新しい特急形気動車(ディーゼルカー)2600系を報道陣へ公開しました。現在は特急「南風」や「しまんと」などで使用されている、1989(平成元)年にデビューした2000系特急形ディーゼルカーの老朽置換え用として新製されたもので、JR四国の特急形ディーゼルカーとしては、約30年ぶりの完全新型車両になります(マイナーチェンジ車両を除く)。
JR四国の2600系特急形ディーゼルカー。車体はアルミ(先頭部は鋼製)で、列車のマークを表示する装置を前面に備える(2017年2月、恵 知仁撮影)。デザインのコンセプトは「Neo Japonisme(ネオジャポニズム)」。日本の伝統意匠を現代風にアレンジし、「安らぎ」と「先進性」をあわせ持つ特急車両にしたといい、外観は、四国の豊かな自然「青と緑」に映えるディープレッドが基調。吉兆の伝統配色「赤と金」で“次世代の特急列車”を彩ったそうです。JR四国の担当者は「四国の緑に赤い列車が映える走行シーンを楽しみにしてほしい」と話します。
ディーゼルエンジンは450馬力のものを1両あたり2基搭載。最高速度は120km/hです。また「車体傾斜装置」という、車体を傾けることで乗り心地を維持しつつ、カーブを高速で通過できるようにするシステムも搭載。車体の傾斜は最大2度ですが、「振り子装置」というまた別の機構を用い車体を5度傾けていた従来の2000系ディーゼルカーと同等の速さでカーブを通過でき、かつ、機構の簡素化によるコストの削減などを実現しているそうです。
内装デザインは、車両ごとに座席の色を「臙脂(えんじ)」と「紺」に分けることで、それぞれ味わいの違いを楽しめる車内空間を演出したといいます。なお、このたび登場した車両(2両編成2本)はすべて普通車です。

座席は、背もたれと連動して座面が前方に動くリクライニング機構、可動式枕の採用などにより、座り心地の向上を図ったとのこと。各座席にはコンセント、ドリンクホルダー、コートフックなどが設置されているほか、パソコンの使用などを考慮しテーブルは大型にしたといい、JR四国の担当者は「快適な旅行を提供できる」と話します。
多機能トイレも特徴で、車椅子への対応はもちろん、オストメイト対応設備、温水洗浄便座、小さな子どもを連れていても安心して利用できるベビーベッド、ベビーキープ、また上にのって着替えられるフィッティングボードなどが設置されています。また、多機能トイレではなく一般的な洋式トイレが用意される車両には、その洋式トイレと男性用トイレが備えられました。
新型車両の2600系は今後、予讃線、土讃線、高徳線で試運転を実施し、営業運転は2017年秋からの予定。どこから営業運転を開始するかは、まだ決まっていないそうです。
【写真】新型車両は「風船」で車体を傾斜、カーブを高速走行
