緊急車両の「赤灯」をはじめ、クルマに取り付けられる回転灯にはさまざまな色と用途があります。なかには「緑灯」や「紫灯」も。
パトカーや救急車は、緊急時に赤色の回転灯を点灯させて走行します。この回転灯、赤だけではないようで、高速道路では道路管理のクルマが黄色い回転灯をつけて走っているようすもよく見られます。
パトカーに取り付けられた赤色の回転灯(画像:photolibrary)。
ほかに、どのようなものがあるのでしょうか。回転灯メーカーのパトライト(大阪市中央区)に聞きました。
――回転灯は何種類あり、どのような決まりがあるのでしょうか?
車両につける回転灯には、赤、黄、青、緑、紫の5種類があり、いずれも用途が決まっています。「赤」はご存じの通り、緊急車両のものです。

青い回転灯がついたクルマ。パトロールカーではあるが、警察車両ではない(画像:photolibrary)。
「黄」は国土交通省やNEXCOなどの道路維持管理車両が使用するものです。たとえば事故発生時に現場へ急行して交通整理を行うなどの目的で、緊急車両としても認可を受けた車両は、赤灯へ切り替え可能なものを使っています。
「青」は地方公共団体などの「自主防犯活動用自動車」、いわゆる防犯パトロールカーに使用されます。
「緑」は、幅3m以上、連結時全長16.5m以上の、大型トレーラーなどの運搬車両で、周りに注意を促す目的で使用されます。
「紫」は停車中の車両への突入を防止する「停止表示灯」です。三角形の停止表示板(三角表示板)の代わりとなるものです。
アレが運ばれるときに緑灯が使われる――それぞれ個人では使用できないのでしょうか?
紫灯を除けば、一般には使用できないものです。紫灯は個人使用が可能で、カー用品店などでも売られています。ただし走行中の使用は認められていません。
――緑灯、紫灯はあまりなじみがありませんが、具体的にどのようなケースで使われるのでしょうか?
緑灯は、たとえば新幹線といった鉄道車両など、とりわけ大きなものをトレーラーで運ぶ際に使用されます。運転台のほか、トレーラーの前後を走る「誘導車」に取り付けられることもあります。

陸送される新幹線0系。トレーラーには緑色の回転灯が取り付けられている(2008年8月、恵 知仁撮影)。
紫灯はお話しした通り、三角表示板の代わりに使われます。
――それぞれどこで、いくらくらいで売っているのでしょうか?
紫灯以外は一般向けではないので、主にはサイレンやスピーカーなどとともにクルマの架装メーカーや部品の問屋に納入しています。当社製品では、よく使われる流線型のものでおよそ2万円から2万5000円弱です。紫灯はカー用品店などでも取り扱っており、12vのもので税別4980円と一般の方にも手の届きやすい価格です。
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ちなみに、たとえば駐車場の出口や工場など、クルマ以外で回転灯が使用されているところがあります。こうした建物や施設での利用については、空港や港湾などを除けば特に規定はないといいますが、たとえば京都など、景観条例で回転灯の使用が制限されている地域もあるそうです。
【表】回転灯の色と用途

用途に応じて5種類が存在する(画像:パトライト、表:乗りものニュース編集部作成)。